四万十川バイクラフト・その②〜四国カルスト編

松山で一夜を過ごした翌朝。
この日の目的地は、四国カルストの頂上・姫鶴平。
松山からの距離は約70キロで、標高1,400メートルまで上がらなければならない。
流石に折り畳み自転車でそこまで走り切れる自信がないため、朝一番の路線バスで、中間地点の久万高原まで輪行する事に。
路線バスだと流石に輪行もキツイかな…と心配だったのだが、運転手の方からも問題ないと言ってもらえ、無事に乗車する事ができた。
TrabvoyⅡ自体も畳んでしまえば、座席を占領する事がなく、迷惑にならない。
1時間ちょっとで、久万高原に到着。
自転車を組み立てて走り始める。
久万高原から33号線を、しばらく平坦な道が続き、順調に進んでいく。
33号線から440号線に入って、地芳峠に向けて登り坂が始まった。
路肩には彼岸花が咲いている。紅葉のシーズンを先どって、山深い緑の中に紅い色を少しだけ差している。
登るごとに、どんどん秘境感が増していく。
こんな山奥にも集落があり、そこで畑仕事をしている人たちがいる。
ベトナムやラオスで見た様な風景が広がり、都会から離れれば日本にもこんな場所があるんだ…と、自分の知らない日本を見る事ができるのが、なんだか嬉しい。
道中、ごうかく駅というバス停が現れた。
どうやらちょっとした観光地になっているらしく、受験生達が験担ぎのために多く訪れている様だ。
1時間に一本しかバスが通らないここまでやってくるのに相当時間が掛かるはずだから、その時間で勉強した方が合格に近付くんじゃ…という野暮なことは、言ってはいけない。
さらに山深くなって来た。
見たことないくらいに澄んだ川が、眼下を流れている。
しかし進むごとに車の交通量が多くなり、かつ道が狭くなってそこで糞詰まりが起き、大渋滞が発生する様に。
先を行っていたバイクが引き返して来て、「ここから先は大渋滞で進めないから引き返した方がいいよ」と言ってくる始末。
そう言われてもここまで来てしまった以上、何十キロも戻って迂回などできないし、進みしかない。
幸い、その後は特に渋滞に掴まる事なく地芳峠、そして姫鶴平に到着。
標高は1,400メートル。自画自賛になるが、ブロンプトンとトレーラーというスタイルで四国カルストに到達した人間は、そうそういないのではないだろうか。
当初、姫鶴平のキャンプ場で泊まるつもりだったのか、余りにも混雑していて、とてもじゃないがここで寝泊まりしたくない。
幸い時間はまだ14時前と早いので、そのまま先へと進むことに。
四国カルストを目指してやって来たサイクリストやバイカーがこの日も多く、大変賑わっている。
私を含め、走るのが好きで、いつもは回遊魚の様に止まれずにいる人間達が、この四国カルストでは足を止め、その風景にしばし見惚れてしまう。
そんな素晴らしい光景が、ここには広がっている。
姫鶴平から約20キロ、標高600メートルまで降り、梼原町に到着。
太郎川キャンプ場でテントを張ることに。ここは混雑していないし、キャンプ場のすぐ隣に温泉があり、姫鶴平のキャンプ場よりもよっぽど良い環境に思える。
防寒対策としてULダウンジャケットを持って来ていたのだが、それだけでは夜中はテントの外に出られないくらいに冷え込んだ。
あのまま姫鶴平でキャンプしていたら、ちょっと危ないくらいだったかもしれないので、太郎川キャンプ場まで降りて来て正解だった。
翌日以降、いよいよ四万十川まで行き、パックラフトに自転車を乗せての川下りが始まる。