交わる轍〜Beysehirまで

Konya~Beysehir
12/13~12/14 (1128~1129days)

12/13
セマーを鑑賞した二日後、コンヤを発つことに。
トルコでの最終目的地は西海岸、エーゲ海沿いのイズミールという都市。
現在いるコンヤはほとんどトルコのど真ん中で、まだ随分と距離がある。

内陸は非常に冷え込むというのは既に身を持って実証しており、当初予定ではコンヤ以降、比較的暖かいと言われる南海岸、地中海沿いを走ってイズミールへと向かうつもりだった。
しかしコンヤで地図を見るうちに、コンヤ西の内陸に湖がいくつもあることに気付いた。ツーリスティックな地中海沿いよりも、自然の景観が楽しめそうだということで急遽予定変更、このまま内陸を突っ切ってイズミールへと向かうことに。

輪人さんは地中海へと抜けてイズミールを目指すとのことで、それならルートが別れるまでの二日間くらいは一緒に走りましょうか、ということに。
私はタイ以来のペアラン(誰かと一緒に走ること)、輪人さんは初めてのペアランということで、普段とはちょっと違う走行に新鮮味を感じる。

コンヤ市街地を出発しようかという時に、輪人さんの自転車にトラブル発生。ギアとチェーンの噛み合わせが悪く、チェーンが脱落してしまう。
先日メンテナンスしてもらった自転車屋に行くも、メカニックが不在との事で、店頭で原因を探るもよく分からないまま。
とりあえずイズミールまで行ってから対処しようということで、改めて走り出す。

コンヤ市街地を抜けると長い上りが始まった。
強くペダルを踏み込むとチェーンが外れるようで、坂道の間中ガッチャン、ガッチャンと凄い音を立てている輪人さんの自転車を見て気の毒に思いつつも、先へと進んでいく。
しばらくすると展望台があり、そこからコンヤ全域を見渡せる。しばらく自転車を止めて休憩がてら、この風景を堪能する。
いつもなら一人で黙って堪能する景色も、誰かが近くにいると「綺麗だ」とか「ここまで坂がキツかった」だとか、口に出してその感想を共有するので、これも普段とは違っていて新鮮だ。

展望台からも登り続け、標高1,450メートルの峠に到着。雲が広がっており、かなり寒い。
峠から下ると、眼下に湖が見えてきた。地図で見る限り、名前のないダム湖のようだ。
この日わずか20キロしか進んでいないが、天気も悪いし早めにテントを張ろうということで、湖畔で野宿をすることに。
久しぶりに自分以外のテントを見て、お互い持っている違う装備についてあーだこーだ感想を言い合うのも、楽しい時間の一つだ。

12/14

野宿した湖からは、アップダウンが続く。
標高1,540メートルをピークに、しばらくは高原が続き、高級別荘住宅地が広がる。トルコの夏季休暇用の別荘なのか、人の気配は一切なく、背後の山には雪が積もる。

友人関係や恋愛、結婚にも相性があるように、ペアランにも相性がある。
サイクリストの相性が何で決まるかというと、走行速度が相違や休憩頻度、旅行にかける予算の違い…という物になる。

サイクリストは自転車に乗っている間の人格(降りてる時とは別人格が現れる!)として、総じて我が強く、ワガママだ。
基本的に、他人に合わせる気などほとんどなく、相性がちょっとでも合わないと途端にイライラするペアランとなる。

その点でいうと、輪人さんとのペアランにはイライラする事なく、走ることができている。
お互い好きなところで写真を撮るし、それに対してわざわざ止まって待つこともしない。自分の走行リズムを守りながら走ることができている。
輪人さんが大人で、私に合わせてくれていた…ということもあるかもしれないが。

この日80キロ弱を走り、Beysehirという街に到着。
ペアランをしていると、スーパーで買い出しをするのも楽でいい。一人が自転車を見張っていられる。

コンヤ以降、私達が進むルートには、景勝地になり得る湖が4、5つ程ある。
このBeysehir湖は、その最初の湖となる。かなり大きな湖だが、空気が澄んでいるからか対岸にある雪山もはっきり見通せる、美しい湖だ。
地元民の憩いの場なのだろう、湖畔には多くの人がいて、カモメに餌をあげたり、腰を下ろして語り合う恋人達の姿がある。

湖畔にはよく分からないオブジェがあり、どれを見ても首を傾げたくなる。
憶測だが、トルコの昔話的なものをそのままオブジェにしたのだろうか。

街の市街地に広い林があり、この日はそこにテントを張る事に。
ちょうどよく整地されていて、野宿には快適だ。小さい街だし、治安にも問題ないだろう。
輪人さんとテントを並べて眠ったその夜、事件は起こるのだった。

(走行ルート:Konya→Konya西20km→Beysehir)

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