トルコ入国、カッパドキアへ〜Göremeまで

Kutaisi〜Göreme
11/14~11/27(1099~1112days)
クタイシの世界遺産・ゲラティ修道院での観光を終えた後、黒海沿いの都市・バトゥミに着いた。
バトゥミで一泊し、翌日にトルコとの国境へと向かう。
わずか18キロの距離を走り、午前11時に国境に到着。
午前中なのに、ジョージア側の出国処理は既に長蛇の列になっており、しかもスタンプを押された後に通るであろうゲートが、自転車が通過できないくらい幅が狭い。
列に並ぶ前、管理官に「自転車でもこの列に並ぶの?」と聞いたら、「んなこと言われたって知らんから黙って並べ」とのたまう。
結局、やはり私の自転車はゲートを通れず、「じゃあ君は別のゲートから出国処理して」とのことで、20分以上待たされた私の時間は何だったのよ?
何はともあれ、ジョージア側の出国処理は終了。
トルコ側の入国処理は一瞬で終了。対応も笑顔で、非常に印象がよろしい。
トルコに入ってからは、延々と黒海沿いの走行が続く。
予定では、海沿いにゆったりと走るのを想像していたのだが、住宅街が途切れず、ガードレールが敷かれた国道をずっと走らされる。交通量も多く、全然ゆっくりできる感じでは無い。
海沿いには所々に東屋と、それに併設されたファイヤーピットが存在している。
どうやら公共施設らしく、多くの車がガードレール沿いに路駐して、トルコ人家族がその東屋でピクニックを楽しんでいる。
私も黒海走行中の昼食休憩には、この東屋にお世話になった。
昼時になれば東屋で持っているパンとチーズを食べ、少し休憩する間にタジキスタンで買った釣竿で、黒海の魚を狙う。
…投げ方が間違っているのか、ルアーが2mも飛ばずに目の前で落下してしまう。
結局、国会では一匹も魚が取れることはなく…。
東屋で休憩していると、そこで休憩している家族が結構声を掛けてくれる。
「チャイ(お茶)はいるか?食べるものは?」と、こちらを気遣って施してくれる所に、イスラム教の国に来た実感を覚える。
黒海沿いの道はほとんど起伏がないので、走行自体は非常に楽だけれど、ガードレールに囲まれていることと、住宅地がほとんど途切れないため、野宿地を見つけるのが非常に難しい。
漁業組合の事務所に頼んだり、住宅街の内の一軒に頼み、軒下にテントを張らせてもらったりしてなんとか夜を過ごす毎日。
さて、トルコといえばやっぱり楽しみにしていたのが、世界三大に数えられる料理。
そして実際、そう讃えられるのが納得できるくらい、どの料理も美味しい。
料理としては単純なものが多い印象だけれども、バリエーションの多いこと。
毎日違うメニューを食べられる事実が、楽しい食卓にさせてくれることを、トルコ料理は改めて気付かせてくれる。
日本でも馴染みの深いケバブ。
ケバブとは肉のことで、生地でロールしたものをドネル・ケバブという。
ピザの原型と言われる、ピデ。
細長い形が特徴で、チーズがふんだんに使われている。
ひき肉の煮込み料理・キョフテ。
私はこのキョフテが好きで、トルコでは最も食べた料理かも。
黒海沿いは、サバを使ったサンドイッチをよく見かけた。
このサバが美味しくて、レモンをよく絞って酸味をつけて、豪快にガブッ!サクッ!
固めのパンとサバが絶妙にマッチにして、これまた好物の一つだ。トルコ内陸に入ると見かけなくなって、ちょっと残念。
これはアイランと呼ばれる乳飲料。
薄味の飲むヨーグルトで、ちょっと塩味を感じる。
ケバブのお供にするのが定番なんだそう。
アメリカでいう、ハンバーガーにはコーラ!という感覚と同じなのだろう。
料理名がわからない物も多かったが、とにかくどの料理も美味しくて、トルコでは食事の時間が待ち遠しくて仕方なかった。
トルコに入国して数日間続いた黒海沿いの走行は、サムスンという街で終わりを告げ、トルコ内陸部へと進んでいく。
当然ながらアップダウンが増え、標高1,000メートル弱の峠が続くように。
これから雪が降り始めると、チェーンを巻かないと走れなくなるくらい積雪するのだろう。トルコ内陸を走るのは、今が最後のチャンスなのかもしれない。
実際、この時点でも標高次第では日中でも寒く、休憩する時にはフリースを着込むことも。
イノシシが出るのは分かるんだけれど、この内陸にカメが出てくるの…?
日を追う毎に、日没の時間が早まってくるのが分かる。
この時期になると16時には夕暮れが始まり、17時半にはもう日没となる。
一日の日照時間が短いため、早起きしてできるだけ走行距離を稼ぎたいのが人情ではあるが、早朝は寝袋から出るのが辛い時期にもなってきた。
この旅行中、ドイツ〜ノルウェー間の北欧でも寒い時期に走ることはあったが、初春から初夏と徐々に暖かくなる時期であった。
今回は晩秋から初冬へと入る時期で、もう寒くなる一方。それが、早起きしようとする私の気力を折りにくる。
トルコに入国してから12日目、サムスンからは走り始めて5日目、ギョレメの町に到着。
ギョレメというと全くピンとこないが、ここは海外旅行好きには知らない人はいない、超有名な世界遺産・カッパドキアを有する町である。
私自身も、トルコでは最も楽しみにしてきた観光地だ。
ギョレメには郊外、市街地問わずに無数の奇岩が生えている。
どちらかというと岩と岩の隙間に家がある、という感じで、とても現実世界の風景とは思えない。テレビゲームのRPGの世界に飛び込んだかのようだ。
ギョレメでは実は待ってもらっていた人がいて、その人と合流することができた。
日本人自転車旅行者で、2019年から世界一周を始めた輪人さん。
Twitterで交流があり、「どこかでお会いできたらいいですね」という話をしていたのだが、ちょうどこのギョレメに輪人さんが滞在中で、数日中に私が到着するということを知って、待ってくれていたのだ。
ギョレメでは輪人さんの泊まっている洞穴ゲストハウスに宿泊。
カッパドキアでは、隠れキリシタン達が迫害を逃れるために奇岩に洞窟を掘って暮らしていたのだが、今ではその洞窟の一部がこうして再利用されているのだ。これもまた、異世界感を感じることができる。
数日間、このギョレメで滞在し、カッパドキア観光を楽しむつもりでいる。
(走行ルート:Kutaisi→Ureki→Batumi→Pazar→Trabzon→Tirebolu→Caytepe→Samsun→Havza→Corum→Corum南83km→Corum南190km→Göreme)