冬になる前に〜Mokhisiまで

Tbilisi~Mokhisi
11/11 (1096days)

ステパンツミンダへの観光も終わり、滞在する理由もなくなっていたのだが、トビリシのコンフォートプラスホステルの居心地が良く、そのままずるずると滞在を続けていた。
すっかり顔なじみになった長期滞在の人達とは仲良くできているし、新しくチェックインする旅行者の人も結構いて飽きがこないのが、理由としては大きかった。

ただ、もう11月も中旬に差し掛かろうというところで、冬はもうすぐそこまで来ている。
数日前に訪れたステパンツミンダは標高2,000メートル程度ですっかり積雪していたし、本格的な冬を迎えるトルコにも、その程度の峠はあるだろう。うかうかしていたら積雪で進めなくなった…なんてことにもなりかねない。

そういうことで、よっこいしょとため息混じり、重たい腰を上げてトビリシを出発することに。

ホステルの宿泊者の人たちに見送られ、12日ぶりに乗り出す自転車。
1週間も漕がない日が続くとフルパッキングの自転車はめちゃくちゃ重たく感じるのだが、運動もせずに毎晩酒をガバガバ飲んでた日々を送っていた身としては、普段以上にズッシリくる。
しかし見送られている以上、ふらついてかっこ悪い姿は見せられん。なんとか平然とした様子で大勢を整え、曲がり角に入ってみんなの姿が見えなくなってから、ふぅーっと大きなため息を一発、そして途端にふらつく自転車。

自転車旅行者はクールに去るぜ。

トビリシ以降、ルートの選択肢は二つあった。
一つはトルコ内陸部、東アナトリア地方の都市・エルズルムへ抜けるルート。
二つ目は、黒海沿いを走ってトルコ沿岸部の都市・トラブゾンへ抜けるルート。

当初は一つ目のルートを取るつもりでいたのだが、エルズルム周辺は顕著な大陸性気候で、夏は暖かいが冬は極寒になる。
地球の歩き方という、バックパッカー御用達のガイドブックには、「冬のエルズルムはマイナス40度を計測することもある」と書いてある。もしそんな寒波に襲われたら、いかに冬用の寝袋でも凍死は免れまい。
エルズルムはトルコでも屈指の山岳地帯ということで景色も良さそうだし、周辺には面白そうな遺跡もあったので楽しみにしていたのだが、さすがにジョージアのステパンツミンダでの積雪を見て、来訪はすっかり諦めた。

ということで、現実的に取れるルートは二つ目の黒海沿いのルートにならざるを得ない。
こちらはジョージアを抜けてトルコに入国した後は、特に観光地もなくただつまらない道が延々続く…というのは、道中出会ったヨーロピアンのサイクリストに教えられていた。
ただ、黒海沿いということもあって気温もそこまで下がらず、雪も降らないらしい。

今走っているところでも、遠くに見える山は山頂に雪が冠り始めているし、山岳地帯に突っ込むリスクはちょっと取りづらい。

ただ、沿岸部のルートは退屈だろうけれど、それでもトルコには大いに期待している。特に食に関して。
トルコは世界三大料理に数えられる通り、食に関しては非常に評価が高い。遠く離れた日本でもトルコ料理のケバブは親しまれているし、トルコアイスだって一時期だが凄く流行ったこともある。
美味しい料理が食べられるならそれをモチベーションに、多少の退屈さはなんとか走り切れるだろう。

ここジョージアの時点で料理は美味しいのだし、さらにワンランク上の料理を食べられるのかも、と思うと今から喉が鳴りますな。

昼食以降はアップダウンが続く。
流石にメイン国道だけあって路肩は広いけれど、交通量がとにかく多い。
そしてたまに現れる橋には継ぎ目があり、これを超えるのが苦労する。乗ったまま越えようとして、思いっきりガツンと継ぎ目にタイヤが落ちてしまい、ちょっとしたトラウマになってしまった。

流石に山が多い国だけあって、トンネルがいくつかある。
迂回路がなくて、トンネルを通らざるを得ない。普通なら旧道が自転車や原付用の迂回路になっている事が多い海外のトンネル事情だけれど、それが無いということは、ここ数年でようやく開通した道なのかもしれない。

抜けてからは平坦な道が続き、日が暮れてきた。
そろそろ野宿場所を探したいのだが、道路はガードレールに囲まれていて出られないし、田園風景が続いて隠れられる場所が全然見つからない。

日没を迎え、ちょっと不味いなー…と焦り始めた頃に、ようやくガードレールが途切れてくれた。
線路のすぐそばに茂みがあり、そこにテントを張る。
ジョージアを抜けてトルコまでは、まだ四日、五日間は掛かる距離がある。
これはちょっと苦労するかもしれない。

(走行ルート:Tbilisi→Mokhisi)

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