SMILEY〜Zhetybai南65kmまで

Beynew南西220km~Zhetybai
10/20~10/21 (1074~1075days)

10/20
早朝のウスチュルト台地の地表には靄が立ち込め、神秘的な雰囲気が漂う。
靄の上の白亜の大地は、朝の優しい日差しを黄色く染まる。
まるで、雲よりも高い場所に山頂を持つヒマラヤやアンデスの山々を見ているかのようだ。

深夜はかなり冷え込んだようで、霜が降りてテントがぐっしょり濡れている。
朝食を食べ終えた時間でも肌寒く、テントが乾くまで待つのも辛いので、濡れたまま撤収し、出発する。

本当なら、道を外れて砂漠のオフロードを走り、ウスチュルト台地の内陸にあるトゥズバイル塩湖を訪れるつもりだった。
しかし地図に表記されているオフロードの入り口が見当たらず、トゥズバイル塩湖は諦め、仕方なくそのまま先へ進むことに。
この日も延々と砂漠が続く。

もう飽きるほど遭遇してきたラクダ。
しかし、何故か見つける度に、カメラを向けてしまう。そうさせる何か不思議な魅力が、この動物にはあるのだ。
口角がクイッと上り、微笑んでいるように見える表情が、そうさせるのかもしれない。
人だろうが動物だろうが、笑顔を向けてくる者に悪い気分は覚えない。
孤独な砂漠の中にあって、笑顔を向けてくれるラクダは癒しを与えてくれる存在なのだ。

この日走る道は、多くの区間で路肩にガードレールが設置されている。
少し強めの風が出ていることと、アップダウンが多い事から、横風に煽られた車が丘の下に転落するのを防ぐためだろう。
30キロほど走り、このガードレールにテントを引っ掛けて干しつつ、昼休憩を取ることに。

ガードレールの裏側にもたれて食事をとっていると、ハエがどこからともなくワンワンとやってくる。
水も食料もないこの砂漠で、普段どのようにして生き延びているのだろう?

昼食以降も、アップダウンが続く。
ウズベキスタン以降、初めての立体的な道で、風景の変化に嬉しく思うと同時に疲れも感じる。
しばらく登り坂を走っていなかった足は完全に平地専用と化していて、楽を覚えてしまったようだ。
大したことのないアップダウンなのに、とても疲れてしまう。ここいらで性根を鍛え直してやらないとな。

途中チャイハネがあったので、サモサを注文して小休止。
サモサ二個とチャイ一杯で、500テンゲ(約125円)。
今見返すこの日の日記には、「500テンゲ。カザフスタンは物価が高い」などと書かれており、アジア走行で私の金銭感覚はすっかりぶっ壊されたようだ。

でも確かに、チャイはカザフスタンは高い。
キルギスやタジキスタン、ウズベキスタンでは同じ値段でポット丸々一個分のチャイを飲めたのに、カザフスタンではカップ一杯しか飲めない。

チャイハネで電子機器の充電を済ませた後、出発。
風は少し緩やかになってくれ、走りやすくなった。

上り坂の頂には動物の像が設置されていることが多い、とは以前の記事で紹介した。
この日はフラミンゴの像があったのだけれど、この辺りに生息しているのだろうか?今のところ見かけたことはない。

16時半、Shetpeという町に到着。
この町で道は分岐しており、メイン道路はアクタウという大きな港街へ伸びる。
私が目指す、カスピ海を渡る船が出るクリークは、ローカル道路の方になる。

Shetpeの町で、食料とガソリンを買い足していく。
商店で食品を物色している間、10歳にも満たない男の子だろうか、私の横に着いてジーっと私の顔を見つめていた。
こんな僻地にくる東洋人顔の旅行者なんて、見たことないのだろう。

Shetpeから更に走ること10キロ。
地図上にはチャイハネがあるはずなのだが、そこには一軒の家しかない。
その時点ですでに日没を迎えており、完全に当てが外れてしまった。
幸い、家主に庭にテントを張らせてもらえないか尋ねると承諾してくれたので、事なきを得た。

10/21
7時に起床。外はまだ真っ暗で、日の出時間がどんどん遅くなってきていることに、冬の到来を感じる。
朝食を食べ、フリースと厚手の手袋を着用して出発。日の出を迎えた後も、しばらくは寒くて仕方ない。

カザフスタンでは、公衆トイレを見かける機会が多い。
紙は設置されていないが、公衆衛生観念が他のアジア諸国よりもしっかりしている。

この日は追い風のチャンスタイム。
しかもその追い風が強烈で、後ろからグイグイ押してくる。
行列に並んでいる時、後ろにいる大阪のオバちゃんくらいグイグイ押してくる。

時速20キロ以上で巡航できるのなんて、いつ以来だろう。ちょっと記憶にない。
お昼前にもう40キロを走っており、順調そのもの。
路肩に現れた休憩所の小屋に腰掛けて、昼食を取る。

13時頃、Zhetybaiという集落に到着。
地表の至る所にクレーンが設置されており、どれも首が忙しなく上下している。
恐らくは地下にあるガソリンか何かを採油しているのだろう。

Zhetybaiを抜けて10キロほど走ると、分岐が現れる。
この分岐を南へと向かうとクリークの港町だ。
距離的には、明日に到着できる。

分岐以降は交通量がガクッと減ったのだが、道の状態も悪くてかなりアスファルトが崩れている。

17時半、砂漠に突っ込んでウズベキスタン最後の野宿。
明日は久しぶりに、海が見れるはずだ。目が青色に飢えている。

(走行ルート:Beynew南西220km→Shetpe南10km→Zhetybai南65km)

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