いよいよ5,000メートルに〜Deburingまで

Wiskey Nara~Deburing
6/30 (962days)

流石に標高が高いからか、眠りが浅く4時半には目が覚める。
まだ薄暗い空に目を凝らすと、どうやら曇空のようだ。

ご飯を食べ、陽がのぼってくると、徐々に曇が晴れてきた。
やはり標高5,000メートルの峠に到達する時は晴れであってほしいので、ほっとする。

朝食を食べ終わってテントを撤収しようとすると、グランドシートから異臭がする。
グランドシートとは、テントを設置する前に地面に敷くものなのだが、どうやら敷いた所には、以前誰かが小便をしていたようだ。
シートを敷いた時には気付かなかったが、シートはぐっしょりと濡れている。

僅か数十メートル先に公共のトレイがあるのに、何で立小便を、しかもレストランであるテントのすぐ裏にするかね!?
本当にインド人の教養のなさ、マナーの悪さにはほとほと呆れる。

取り敢えずティッシュペーパーで拭いて応急処置をし、グランドシートは鞄には入れずに剥き出しで持ち運ぶことに。
5,000メートルの峠に挑戦するということで気分も高揚していたのに、すっかり萎えてしまった。

7時過ぎ、そんな気分の中での出発。

ウィスキー・ナラから峠のLachung La(ラチュン・ラ峠)までは僅か7キロ程。

日の出からもう1時間半ほどは経っているのだが、道にはまだ陽が当たらない所が多い。
影になっている所は寒く、陽が当たっている所は暑く、温度調整が難しい。

九十九折が峠に向かって延びているのだが、その一つ一つの直線が長く、1キロ以上もある。
四つ目のカーブを曲がり終え、峠への最後の直線に入ったところで標高は5,000メートルに突入。
流石にこの標高になると、ちょっと力を込めてペダルを踏むだけで息が上がる。
ボリビアで空身の自転車で5,000メートルに達した時は、ここまで息苦しさは感じなかったのだが、やはりフルパッキングだと体への負担が大きいのだろう。

8時半過ぎ、ラチュン・ラ峠に到達。
標高は5,059メートル。

峠には小さなモニュメントと、タルチョがあるだけで閑散としている。
しかし、初めてフルパッキングの自転車で標高5,000メートルに到達した喜びは、その寂しいモニュメントと反比例するように、とても大きい。
やはり自転車旅行車としては、荷物と自転車全てひっくるめて相棒、だという潜在意識があるのだろう。

写真撮影を終えて、9時過ぎにダウンヒル開始。
谷の合間の断崖絶壁に道が通されており、遙か下まで続いていく。

谷は徐々に狭まり、岩山に圧迫されるようにして進んでいく。
気温は特に寒くもないのだが、岩山から流れる滝がカチコチに凍りついている。

進むにつれて道の状態は悪くなり、凸凹や砂利が多くなってきた。
あまりに状態が酷く、自転車へのダメージを考えると降りて押したいところなのだが、この日は歩いて進んでいられるほど、時間の余裕はない。
仕方なく、ダメージが無いよう祈ることだけし、自転車に乗っていく。

こんな酷い道で笑えるかい。

11時、標高4,500メートルに位置するPangの集落に到着。
いくつかレストランがあり、その中の一軒で昼食休憩を取る。

レストランで水道とバケツを借り、グランドシートを洗わせてもらったのだが、それでも匂いが取れない。
これはアルコール消毒するしかないんじゃないか…レーに到着したら本格的に洗わなければ。

ラチュン・ラ峠からPangまで随分と標高を下げてきたが、Pangからすぐに、再び九十九折が始まる。

九十九折を走り、標高が4,700メートルに達したところで、上り坂は終わり、高原地帯が広がるように。
まるで南米のアルティプラノ(高原地帯)そっくりの風景が、ここラダック地方にも広がっている。

道は平坦、もしくは緩やかな下坂で、奥にある山に向かってスーッと延びている。
追い風も相まって、これまでの厳しい道中が嘘のように、楽々と進んでいく。
時速50キロなんてスピード、一体いつ振りに出しただろうか。

テント村のDeburingには15時半到着。
この日もレストランの裏手に、テントを張らせてもらう。

明日はいよいよ最後にしてマナリ・レーハイウェイ最高標高の峠、タグラン・ラへ挑むことになる。

(走行ルート:Whiskey Nara→Deburing)

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