写真映えする集落〜Dankharまで

Tabo~Dankhar
6/15 (947days)

昨日の終盤に吹き始めた風は、夜が更けるに従って勢いを増し、テントが吹き飛ばされるんじゃないかという暴風にまで発達した。

フライシートが煽られるバサバサという音に不安と、こんなうるさくて寝れるんかいな…という心配はあったが、気付いたらすっかり熟睡しているのだから、図太い神経してるよなと、我ながら思う。

とりあえず無事朝を迎える事ができ、今朝は風も少し弱まってくれた。
ゆっくりと撤収準備をし、9時に出発。

ほとんど平坦に近いだらっとした上りが、川沿いに続く。

人口30人の集落。
どうやって集落を維持しているんだろう。

広場ではクリケットに興じる男達がいる。
集落にいる男全員が参加してるんじゃなかろうか。

途中から谷が狭まって峡谷となり、上から小さな石がパラパラと落ちてくるようになった。
いつ崖崩れが起きてもおかしくないような状況で、前と上に視線を忙しく動かしながら進んでいく。

この日20キロ走ったところで峡谷が開け、川幅の大きなところに出てきた。

峡谷の出口にはレストランが一軒あり、そこで昼休憩。
モモを注文する。

レストランの脇にはマニ石が積み上げられている。
石に経文が刻み込まれており、チベット仏教ではよく見かけるものだ。
このように石に刻まれていることもあれば、石板に刻まれていることもある。
どのマニ石も手抜きなく、丁寧に刻み込まれいている事から、彼等の信心深さが窺い知れる。

レストランからしばらく走ると、分岐が現れる。
Dankharという集落へ続く上り坂と、川沿いに続くメイン道路とに分かれている。

Dankharは、Taboで出会った地元民が「Dankharはとても綺麗な集落だから是非行ってみてくれ」とお勧めしてくれた場所だ。
分岐から10キロ程、坂を登らなければならないのだが、折角なので行ってみることに。

分岐を曲がると、早速上り坂が始まる。
ただ斜度は緩く、周りの景色を楽しむ余裕すらある。

その景色は素晴らしいものがあり、雪を被った山々がぐるっと辺りを囲んでいる。

チベット仏教の寺院が古くからあるくらいだから、これらの山々は 信仰の対象として崇められてきたのだろう。
そう思うと、とても神々しい物として目に映る。
そして緩やかに上る道はその山々へと延びているようで、天国にでも向かっているんじゃないか、とすら思える。

JULLE(ジュレー)というのはチベット文化圏のあいさつで「こんにちは」という意味。

かなり高度を上げてくると、二つの谷を流れる川が合流しているのが目に入ってきた。

左側から合流しているのはPin River(ピン・リバー)で、その川に沿って続くピン・バレーはとても美しい…とも、Dankharを教えてくれた住民が言っていた。
ピン・バレーには道が通されており、その奥にはチベット文化圏の集落が点在しているのだとか。

ピン・リバーはスピティ・リバーに合流し、そのままスピティバレーの奥へと続いている。

さらに高度を上げると、ようやくDankharの集落が視界に入ってきた。
お鉢の様になった山肌に、民家が張り付く様にして集落が形成されている。
集落にはごく僅かな緑と、奇岩がニョキッと生えており、ジブリ作品の「風の谷のナウシカ」に登場する集落を連想させられる。

15時前に、Dankharに到着。
標高は3,800メートル。

Dankharにもチベット仏教寺院がある。
仏教寺院は集落の中でも最も高い位置、そして最も急峻な所に建てられている。

複数階層の石造りで、本堂には仏像が安置されている。
その仏像の前には僧侶達の座席が一席ずつ設けられ、そこには食事に使うお椀やらが置かれている。
食事も仏の前で摂る、というところに何だかストイックさを感じる。

Dankharには寺院がもう一つあり、そちらは新しく建てられた物でコンクリート造りになっている。
そちらに頼み、境内でテントを張らせてもらえた。

手持ちの野菜が底を付いていたので、Dankharで買い足す腹づもりだったのだが、何故かこの集落には 商店がない。
ホテルはいくつかあるし、集落自体は滅茶苦茶小さいわけでもないのに…

ホテル併設のレストランへ行き、晩ご飯はターリーを注文する。
ターリーはご飯がお替りできるので、自転車旅行車には至高のメニューだ。

(走行ルート:Tabo→Dankhar)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です