人生の伴侶〜Bhabhanagarまで

Rampur~Bhabhanagar
6/8 (931days)

昨日見た天気予報で今後の走行に少々不安はあるものの、今朝は晴れてくれて胸を撫で下ろす。

暑くて仕方なかった昨日終盤の気温も、今朝はそこまで暑くなく快適な条件の中での走り出し。

ここまですぐ近くに川がある中を走ってきたが、徐々に道と川に高低差ができ始め、川沿いというよりも崖沿いに道が続くようになってきた。

途中、ニュージーランドのサイクリストと遭遇。
彼らもこれからスピティバレーの上流へ向かうというのだが、年齢実に70歳だというのだから、外国人の自転車旅行者の強靭さには驚かされる。

日本は世界一の長寿国で、確かに今の60、70歳代はまだまだ若々しい方が多いけれど、欧米人の様にアウトドアをバリバリ現役やってます!という人はなかなかいないのではないか。
いわゆる定年の歳を迎えた後も、こうして生涯の伴侶と自転車旅行をするなんて、羨ましくて仕方がない。

出発前、「自転車旅行者は一人でやるもの」という先入観があった。
いざアラスカから走り始めてみると、一人で走っている自転車旅行者の方が少数派なのだということを知るようになった。
欧米人、ラテン系のサイクリストはほとんどカップルで、逆に「何で一人で走ってるんだ?」なんて聞かれることもあったりする。

日本人は自転車旅行を「冒険」と捉えがちだが、欧米人はもっとカジュアルな「スポーツ・遊び」として気軽に楽しんでいるように思う。

自転車旅行に限らず、日本人にとってはアウトドアスポーツというのはまだまだ垣根が高いんだろうな…という事を、この旅行を始めてから思うようになった。
私にも彼らの様に、一緒にアウトドアスポーツを楽しみ、思い出を共有できるような伴侶ができる日は来るのだろうか。

ニュージーランド夫婦とはペースが違うため、別々で走る事に。

多少工事区間はあるものの、概ねアスファルト舗装がなされていて走りやすい。
たとえ工事をしていたとしても、通過する時に工事現場の人たちが笑顔で挨拶してくれるため、気分が良い。

やはりスピティバレーはインド国内でも人気の旅行スポットなのか、モーターサイクリストがとても多い。
そして旅行にきているためか、どのインド人もとても良い笑顔で挨拶をしてくれる。

わざわざバイクを停めて挨拶をしてくれる事も多く、普段はインド人の最低最悪の運転マナーに辟易する私も、ここでは彼らの笑顔に釣られる様に、気分よく挨拶を交わすことができる。

道は曲がりくねったカーブの連続で、先がどうなっているのか見通すことができない。
そのため岸壁には対向車に注意を促す様に、というクラクションを誘うマークが所々に描かれている。

普段からクラクション鳴らしまくりのインド人なんだから、わざわざこんなマークしなくてもええよ!と突っ込みたくなる。

昼食にターリーを食べた後、しばらく走るとKINNAUR地方に入った。

Kinnaur地方以降、それまでも崖沿いに作られていた道がよりダイナミックになり、崖を削ってトンネルになった道なんかが現れ始める。

この道を完成させるのには長い年月を掛けて大工事したんだろうな…と想像すると共に、「インド意外とやるじゃん!」と感心してしまう。

14時半、Bhabhanagarという集落に到着。
家や店が全部崖にへばり付く様に建てられており、石段を登って行き来するという、ちょっと変わった造りになっている。

まだまだ早い時間帯なのだが、1時間ほど前から雷がしきりと鳴っているのが気になっていた。
地図を見るに、この先で宿がある様な集落はよっぽど先で、そこに到着するまでに雷雨に遭うかもしれない。

しばらくうーん、と考えていたのだが、考えている内にポツポツと降り出してきた。
こりゃイカン!ということでここで宿を取る事に。

大急ぎでそこらにいる人に安宿はどこにある?と聞くと、崖のかなり高い位置にある建物を指差し、あれだと言う。
おいおい、よりによってあんな上にあるんかい…

まずは自転車を道路に置き、石段を駆け上って宿へ向かい、値段の確認。
800ルピーと少し高いが仕方ない。他に選択肢がない。

荷物と自転車を合計4回に渡って部屋に運び入れた時には、もうクタクタ。
ただ、全て運び入れた時に雨脚が強まってきたので、英断だったと言えよう。

スピティバレーの集落の造りが全部こんな感じだったら、身がいくつあっても足りんな…
こういう時、伴侶がいてくれたら荷物運びも協力できるのになぁ…という点でも、欧米人サイクリスト達が羨ましくなった一日だった。

(走行ルート:Rampur→Bhabhanagar)

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