チェーン店の鑑〜Solanまで

Panchkula~Solan
6/5 (925days)
昨夜は非常に暑く、全裸になって床に就いたらお腹が冷えて今朝は下痢に。
仕方なく朝食も食べずに5時半には出発。
早朝のインドはまだ車もそれほど走ってなく、いつもの喧騒が嘘のように静か。
これが2時間も経てばカオスな世界になるのだから、インドではこれくらいの時間から走り始めるのがベストなのかもしれない。
道はいよいよインド北部の山岳地帯へと向かっていく。
Panchkulaの街から早速ダラダラとした上りが始まる。
7時ごろ、レストランに入って朝食。
今日は朝食を食べずに出発していたので、このままレストランが見つからないままだと山岳地帯はキツイ…と思い始めた頃だったので助かった。
なお、さすがのインド人も朝食の時にカレーは食べないらしい。
正直ターリーとカレー以外のメニューを知らないので、それらが無いと言われると途端に注文に困る。
レストランではタンドール(釜)があり、ナンらしきものを焼いている。
他の客はみなそのナンらしきものととチャイ、ヨーグルトらしきものを食べている。
私もそれを指差して注文。
数分後に出てきたものは、確かに形はチャイやナンと似ているのだが、どうも味が違う。
味覚を集中させて味わってみると、ジャガイモや玉ねぎの味がする。
マサラ(インドのスパイス)も入っているようだ。
「この料理は何て言うの?」と尋ねると、「プランタ」という答えが返ってきた。
以降、インド走行中は朝食にこのプランタを食べる機会がとても多かった。
インド北部では、プランタとヨーグルトというのが定番の朝食メニューなのだろう。
この日は暑く、朝食から走り始めて間もないのに汗が噴き出す。
勾配はそれなりにキツく、それが汗の量に拍車を掛ける。
汗がつたって目に入り、痛みを伴って染みる。
何度も汗を拭うけど、イタチごっこでしかない。
この暑さには猿も滅入るのか、工事用の水桶に顔を突っ込み、喉を鳴らして水を飲んでいる。
道と並行するようにして、鉄道の線路が通されている。
この線路はカルカ・シムラ鉄道(Kalka Shimla Railway)と呼ばれ、その名の通りカルカとシムラの二つの街を結ぶ山岳鉄道である。
1900年代にインドを植民地支配していたイギリスによって建設され、未だ現役で稼働している。
2008年に世界遺産に登録されていたのだそうで、知っていたらこの鉄道に乗ってシムラまで行くのも乙だったな…と記事作成中の現在ちょっぴり思ったり。
峠のピークは2,600メートル。
スタートしたPanchkulaの街は標高360メートル。
標高を2,300メートルも上げる上に、距離も120キロと長い。
とてもじゃないが今日だけでは峠を越えることはできない。
時速6、7キロでゆっくりゆっくり進んでいく。
ゆっくり進んでいると、なんとマクドナルドが現れた。
どうも偽物ではなくて正規店の様だ。
ヒンドゥー教では牛は神聖な生き物であるため、食べることは厳しく禁じられている。
ハンバーガーチェーンのマクドナルドにあって、商売が成り立つのか?
後日、インド国内でマクドナルドに入店する機会があったのだが、牛肉と豚肉は提供しておらず、メニューには鶏肉だけだった。
世界規模のチェーン店としては、世界人口の一位二位である中国、インドというのは超魅力的かつ避けては通れない市場だろう。
その一位二位が商売をする上で、超めんどくさそうな国…というのは一消費者の身ながら同情を禁じ得ない。
それでも進出しているのだから、さすが世界最大のファストフード。
チェーン店の鑑ですな。
暑さに朦朧としながら進み、出発から35キロ走った11時頃、路肩に現れたレストランで昼休憩。
意外と補給できる商店やレストランは点在しているため助かるのだが、レストランではターリー(インドの定食。カレーや米が付く)がなく、プランタしかないという。
プランタ自体は結構美味しいのだけれど、所詮は小麦に玉ねぎやジャガイモを混ぜて焼いただけの物なので、すぐ飽きる。
後半はチャイで何とか流し込む。
昼食をとってからは工事区間が増え、片側通行になることもしばしば。
そして片側通行なのにそれを整理する現場員はおらず、自分の事しか考えていない、考えられない糞ドライバーがどんどんと突っ込んできて渋滞発生。
アイスを買った店では玩具も売っていたのだが、物凄いパチモノ臭。
その後も登り続け、標高1,800メートルに到達。
そこから少し下り、程なくしてSolanという町に到着。
山にびっしりと家が貼り付き、自然と人間社会の境界線が見あたらない。
コロンビアとかエクアドルとかのアンデス山脈でも、こういう風景をよく見た事を思い出す。
Solanには安宿がないのか、1,800ルピー(約2,700円)くらいからが相場らしい。
この辺りの地域はインド人にとって避暑地となるので、基本的にはグレードが高いホテルしかないのかもしれない。
交渉してなんとか1,300ルピー(約1,980円)にしてもらったけど、内装を見たら値切りすぎて申し訳なくなった。
ブラブラ歩いていると、なんとモモを売っているレストランを発見。
モモとはチベット文化圏の料理で、見た目も味もそのまんま餃子。
私は結構好物で、エベレストやアンナプルナなどのチベット文化圏にあるネパールでは、よく好んで食べていた。
これから北上するとチベット文化圏になるというが、ここSolan辺りから見られるとは予想より大分早い。
お持ち帰りして味噌汁と米は自分で作り、ホテルで食す。
(走行ルート:Panchkula→Solan)