カトマンズを脱出〜Malekhuまで

Kathumandu~Malekhu
5/3 (893days)
ようやくカトマンズを出発する時が来た。
ホテルをチェックアウトし、軒下で自転車に荷物を付けていく。
空身の自転車が、みるみるうちに大きくなっていく。
全て荷物を取り付け終え、ハンドルを握ってみると、物凄く重たく感じる。
よくもまぁ、こんな重たい物体に乗ってたもんだ…
フラフラと我ながら頼りない足取り、いやタイヤ取りで一ヶ月ぶりに自転車を走らせる。
10時前とかなり遅い時間に出発したため、もう既に通りは人とバイク、車で賑わっている。
カトマンズの小さな路地は石畳でできており、自転車が跳ねて仕方がない。
交通量の多さと合わせて非常にストレスが溜まる。
そして排気ガスの多さ。
間違いなく体に悪い、真っ黒い排気ガスを撒き散らして車が往来している。
そんな悪い煙は吸いたくないため、黒い煙を吐く車を発見したら、煙が霧散するまで息を止める。
時々、「わざとやってんのか?」と思うほど、タイミングよく抜きざまに排気ガスを吐いてくるトラックもあり、そんな時は息止めが間に合わない。
深呼吸している時だったり、欠伸をしている時にこれをされたら、溜まったもんじゃない。
カトマンズを抜ける前に、ストーブにガソリンを補充していく。
順番待ちをしていると、後からどんどんと順番抜かしを平気でしてくる原付達。
最初は行儀良くしていた私だが、そっちがそうくるなら、と原付を掻き分けて先頭までいってやる。
交差点では、警官が手信号で交通整備をしている。
停電が頻繁に起きるネパールでは、信号を設置しても役に立たないのだろう。
カトマンズは盆地になっており、市街地を抜けるのに延々と坂道を登り続けなければならない。
排気ガスと、舗装が剥がれ落ちて状態の悪い道路。
あまりの走行環境の悪さにイライラしながら進んでいく。
そしてやっと峠の頂上に到達!と思ったら、ちょうどそのタイミングでポツポツと雨が降り出した。
嘘でしょ、まだギリギリ乾季でしょ!?
雲を見ると本降りになりそうな黒い色をしており、慌てて来た道を少し戻った所にあったガソリンスタンドへ逃げ込む。
逃げ込んですぐに、屋根を激しく打つ本降りの雨となった。
どうせすぐ止むでしょ…という予想とは裏腹に、一向に止む気配のない雨。
自転車旅行者が物珍しいからか、ジロジロと視線を投げかけてくるネパール人。
普通はこっちが見返すと、視線を逸らす人間が多いのだが、ネパール人は御構い無しにじーっと見つめてくる。
そういう時は、こちらから笑顔で「ナマステ〜(こんにちは)」と先制攻撃を打って出る。
挨拶を返してくれれば悪意がないとわかるし、返してこなければこっちは少し警戒心を持つようにする。
この時は挨拶を返してくれたネパール人が英語が話せ、しばらく彼と話して時間を潰すことができた。
明日はネパールの母の日なんだとか、水牛は食っていいけど牛はダメ。なぜなら水牛は黒くて汚いけど、牛は白くて美しいから神の使いなんだ…とかそんな話をしてくれた。
結局、この雨はたっぷり2時間降り続け、出発して1時間しか経っていないのに随分な休憩となってしまった。
幸いちょうど峠の頂上だったため、その先は下りになっているのが分かっているのが精神衛生上大変よろしい。
かなり狭い道路の癖に交通量が多く、しかもそのほとんどがトラック。
さらに更に、そのトラック同士が登りも下りも追い越ししようとするものだから、必然的に渋滞が発生して身動きが取れなくなっている。
そんな渋滞も、自転車ならトラックの隙間をぬって走ることができる。
こういう時、自転車旅行者でよかったと心から思える。
下り坂が落ち着き、川沿いにアップダウンの連続の中を進んでいく。
途中、小腹が減ったのでちょうど通りがかりにあった商店で間食。
サモサという揚げ料理で、コロッケの様に中にはポテトや野菜が詰まっている。
中の味付けはマサラ、カレーの様な味のスパイス、で味付けされており、様はカレーコロッケ。
南米のエンパナーダそっくりの料理で、高山地帯の文化は自然に似てくるのかもしれない。
17時前に、Malekhuという集落に到着。
道路沿いに宿やレストランが並び、宿場町となっているようだ。
宿はトイレ・シャワーが共同で500ルピー。(約500円)
個室でこの値段で泊まれるなら非常にありがたい。
晩御飯はダルバート。
EBCトレッキングで食べた時と同様に、お替りで大量に盛り付けてくれるため、腹が減った1日の終わりには嬉しい。
(走行ルート:Kathumandu→Malekhu)