カトマンズ奔走記

Kathumandu
4/25~5/2 (887~892days)
4/25
10日間にも及ぶトレッキングから帰ってきた翌日は二度寝三度寝、いや四度寝はしたいというのが人情というもの。
しかし、そうも言ってられない現状。
7時に起床し、8時過ぎにはインドビザセンターへ。
事前情報ではビザ申請に写真がいるとのことで、ちょうどビザセンターの隣に旅行代理店があったため、そこで申請書も含めて一式作成してもらうことに。
作成費用は750ルピー(約750円)。
申請書や写真など、自分で用意しようと思えばできるのだが、わざわざ旅行代理店を挟んだのは、インドビザ取得までの乱雑さが挙げられる。
というのも、インドビザは取得するまでに3回、ビザセンターに足を運ばなければならない。
1回目は申請書提出と代金支払い、2回目はパスポートの提出、3回目はパスポートの受け取り…という流れになる。
1回目の申請書の時点で不備があり再提出、ということになると取得日数がどんどん延びていく…ということになりかねない。
ということで、申請書の作成だけはプロに頼んだ次第。
なおそのプロは、自宅住所と母の名前を間違えて入力する仕事っぷり。
そしてその不備がある書類を提出しても、結果的にはインドビザが取得できた事実。
プロの仕事とは一体。ビザの審査とは一体。
「3回足を運ぶのが嫌なら、こっちで全部代行するよ」との申し出は慎んでお断りしておいた。
さて、その書類を手に隣のビザセンターへ。
ビザセンターは9時半に営業開始とのことで、正門の前で30分ほど待つことに。
この30分の間に続々とビザ取得希望者が集まってきたのであり、疲れた身に鞭を打って早めに来て本当によかった。
そして9時半ちょうどに開門し、一番手で待ち時間なく案内される。
書類を提出し、申請費用の1,760ルピーを支払う。今日の手続きはこれで終わり。
そしてカウンターの女性が、「じゃあ次は5月1日に来てね」と私に告げる。
はいはい、5月1日ね…
は?5月1日!? 6日後!?
おいおい、6日間待ってパスポート提出、その次の日に受け取りができるとして、最速でも1週間はカトマンズに釘付けかい…
ネパールは5月末になると雨季になってしまう。
インドに入国するまで一ヶ月は掛けて走る予定だから、1週間もカトマンズで浪費するのは 雨季に掴まる可能性が高まってしまう。
まぁ、言っても仕方がない。
一ヶ月以上放置しているブログ記事を更新するいい機会だと思おう…
なお、結果的にこの期間に更新したブログは僅か2日分ほど。
これは泊まっているホテルが日本人宿で、漫画が山程に置かれていることに起因するのであり、私の責任ではないということははっきりさせておきたい。
4/29
さて、インドビザの他にもう二つ、取得しなければならない許可書がある。
TIMSとACAPと呼ばれる書類である。
TIMSはトレッキング許可書、ACAPは標高8,091メートル峰・アンナプルナ周辺の国立公園に入るのに必要となる許可書である。
アンナプルナ周辺にはいくつものトレッキングコースがあり、エベレストトレッキングにも引けを取らない程の人気がある。
その中でも取り分け人気なのが、アンナプルナサーキットと呼ばれるコースだ。
これは文字通りアンナプルナを一周するもので、凡そ10日間程掛かる長丁場のトレッキングである。
道中にはチベット仏教の寺院や、標高5,460メートルの峠が待ち受けている。
そしてこのアンナプルナサーキット、なんと自転車で走ることができるのだ。
ヨーロッパ走行を終えて一時帰国していた際、世界地図を毎日眺めて面白そうなルートを探していた。
南米のアンデス山脈走行以来、私は山岳地帯を走ることに傾倒しており、標高の高い山の周辺を走る道を地図で探し、結果アンナプルナサーキットに行き着いたのだ。
アンナプルナサーキットを地図上で発見した時は大興奮で、「きっと自転車旅行者では私が最初の発見者に違いない!」と思ったのだが、欧米系サイクリストには人気コースで、日本人も数年に一人は走っていた。
しかしやはり標高5,000メートル超の、それもヒマラヤ山脈真っ只中を走れるのは私にとって物凄くロマンを感じるものがあった。
ネパールの雨季は5月末から始まる。
アンナプルナ周辺も例外ではなく、雨季が始まると展望は望めないという。
そういう事情があり、中国の再出発からタイのバンコクまでかなり駆け足だったのも、ミャンマーを泣く泣く諦めたのも、全てアンナプルナサーキット走行のためだったのである。
ということで、上述した2つの許可証を取りにNepal Tourism Boardという建物へ。
宿泊しているホテルから歩いて30分程の距離にあり、着いた頃にはかなり汗だくに。
私が到着した午前9時くらいの時点で、既に何組かの旅行者が来ており、見た感じ全員欧米系。
アンナプルナの方には、あまり中国人や日本人は行かないのかもしれない。
TIMSとACAPは同じ建物で取ることができ、TIMSが2,000ルピー、ACAPが3,000ルピーとなっている。
証明写真が必要なのだが、無料で撮影からコピーまでしてくれ、しかも余った分はタダでもらうことができた。
待ち時間はほとんどなく、30分くらいで無事取得することができた。
ちなみにトレッキング日程を申請する必要があるのだが、そこら辺は適当で構わないようだ。
私は結局、申請した日数を超えてトレッキングを終えたのだが、チェックポイントで特に何も言われることは無かった。
5/1
約束通り、この日にインドビザセンターへ再び向かう。
2回目の本日は、パスポートを預けるだけ。
10時頃と少し遅く行ったためか、既にかなりの人数が受付待ちをしており、たっぷり1時間待たされて、ただただパスポートを預けるだけ。
パスポート提出後、自転車屋へと向かう。
どうもディスクブレーキのローターがブレーキ本体に接触している様で、微かながら音が聞こえる気がする。
おそらくはローターが変形していることに起因しているので、レンチで曲げればすぐ解決するはずだ。
結局見せてみたものの、「問題なし」ということで特に処置もされず、ただミルクティーをご馳走になって1時間くらい店主と喋っていただけという。
SHIMANOのXT以上のグレードのブレーキローターは柔らかいため、曲げようとするとすぐ割れる…との事。
コロンビアの自転車屋はツール使って曲げてたけど…どっちが正しいのか素人にはわからない。
インドビザ取得を待っている間、ざっと今後のルートを確認。
これからアップダウンが多くなりそうで、一日の走行距離が読みにくく、持ち運ぶべき食料の計算が立てにくい。
先人の自転車旅行者のブログを見てみると、植村味噌なる保存食を自作して携帯しており、面白そうなので私も作ってみることに。
植村味噌は、かの有名な冒険家・植村直巳が考案した保存食で、細切れにした野菜を味噌に合わせて混ぜるだけ…というとてもシンプルなもの。
市場で玉ねぎやナスなど、水分が少なめの野菜を買ってきて、片っ端から細切れにして味噌にぶち込んでいく。
味噌に混ぜることで野菜が腐りにくくなり、かなりの日数保ってくれるとのこと。
これをおかずに白米を食べるだけで、かなり食が進みそうだ。
5/2
この日はインドビザの受け取り。
夕方に来てね、とのことで、昼までダラダラしてからビザセンターへ。
無事に発給されており、ようやくビザを受け取ることができた。
なお、取得したビザは90日間のシングルビザ。
やれやれ、まさかカトマンズで10日間も足止めを食らうとは思ってもいなかったが、これでようやく次の国への門が開かれた。
しかしインドビザのカウントはパスポートの提出日から始まるため、ネパールでこれ以上ぐずぐずしている余裕はない。
ちゃっちゃとアンナプルナサーキットを片付けなければ。