エベレストのご来光を見よう〜Pangbocheまで

Gorak Shep~Pangboche
4/21 (883days)

3時45分起床。外は当然真っ暗。
ガイド達からは「早朝のカラパタールは凍ってしまうくらい寒いぞ」という忠告をもらっていたため、アンダーアーマーの寒冷地レイヤーを下に着込み、靴下を二枚重ね
手袋は4枚重ねにして出発する。

多くのトレッカーがご来光を見るためにカラパタールを目指しており、ヘッドライトの光が蛍の様に、暗いトレッキングコース上で揺らめいている。

体は大丈夫なのだが、足と手の指がとてつもなく凍える。
寒いとかそんな次元ではなく、痛みを感じる程で、もしかしたら凍傷になってしまうのでは…というくらいだ。

上に向かって進むにつれ、トレッキングコースに積もる雪は増え、コースがどれだかはっきりしない。
先に進んでいるトレッカーの残した足跡を頼りに進んでいくしかない。

徐々に空は白み始め、クンブー氷河の対岸側、アマダブラムの連峰には日が差し始めた。
このままだとご来光に間に合わないかも…そう思うと足が自然と速まり、息が上がる。

そしてカラパタールには6時到着。ご来光にはどうにか間に合った。
既に10数人の欧米系トレッカーが先行して到着しており、カラパタールのモニュメントを占拠していてテコでも動きそうにない。

展望台からは、右からヌプツェ、エベレスト、クンブーと並ぶ連峰が望める。
真ん中の、山の背後に隠れたのがエベレストになる。
トレッキング開始から8日目にしてようやく拝めたエベレストの姿。
遠近法の関係でヌプツェの方が高く見えて目立つが、間違いなくこれが世界最高峰なのだ。

エベレストとヌプツェの間からは、日の光がサーチライトの様に見えている。

しかし、待てども待てどもご来光は姿を見せない。
カラパタール背後の7,165メートル峰のプモリにまで日が当たっているのに。

そして、日の出が迫るに連れて更に気温は下がった様で、足の指が千切れそうに痛い。
必死に足踏みをして何とか耐えようとするけれど、それも全く効果がない。
二枚ばきしているとはいえ、3シーズン用の靴下では準備不足だったというのか…

それでもかなり頑張って待ってみたのだが、遂に痛みに耐えきれなくなり、ご来光を待たずに下山を決断。
凍傷も怖いし、凍傷にまでならずとも動けなくなることが怖い。

しかし帰り道は、トレッカーが踏みしめたために雪が氷状になっており、とても滑りやすい。
道は急斜面で、足を取られればそのまま崖に落ちて大怪我間違いなしだ。

途中、登ってくるエヴァンと合流。
出発は同じタイミングだったのだが、彼のペースじゃとてもご来光に間に合わないため、放っておいたのだ。
そしてエヴァンもあまりの寒さにギブアップし、一度山小屋に戻っていたのだという。

日の出が近くなり、今またカラパタールを目指していた所でかち合ったのだ。
上の状況を伝え、とてもじゃないがエヴァンの履いているスニーカーでは登頂は無理だと忠告する。

エヴァンも納得し、二人で雪がほとんど無い所まで下り、そこでご来光を待つ事にした。

そして、ついにご来光の瞬間が。

これがEBCトレッキングの集大成。
エベレストから覗く太陽の光を浴びると、凍えた体が温まり、元気が湧いてくる様だ。
十分に太陽を浴びて堪能し、さぁこれで思い残すことはない。

山小屋に戻り、荷物を回収し、朝食を食べて9時頃に下山を開始。
下山は高山病を心配しなくていいため、来た道をガンガン下っていく。
下りもお互いのペースなので、エヴァンはあっという間に後方に遅れ、見えなくなった。

Lobuche、Thoklaと進んできて、Thoklaの山小屋で昼食をとる事に。
この山小屋の女主人が日本語が堪能で、本来はホテル宿泊者のためのトイレに案内してくれたり、濃厚なホットレモンティーをご馳走してくれたり、物凄く良くしてくれた。

Thoklaからは来た道とは違い、タブチェ横の峡谷を通る。

谷の終わりにはPhericheという集落があり、ここ以降は一つ大きな登り返しが待ち構えている。

登りきった後は、Shomareという集落までは下り、また登り返しにゲンナリ。
思った以上に予定地のPangbocheまでは距離があり、到着は15時45分に。

来た時と同じ山小屋に投宿し、エヴァンが来るのを待つ。
しかしかなり長い時間を待ってもなかなか到着せず、「これはちょっと距離を離しすぎたかな?」と心配になるも、2時間遅れてエヴァンも無事到著。

標高は3,930メートルまで降りてきて、空気の濃さを実感できる。
これでもう、高山病の心配をすることはないんだ…。

翌日は更に下り、ナムチェバザールまで戻る予定だ。

(トレッキングルート:Gorak Shep→Kala Pathar→Pheriche→Pangboche)

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