タイに再入国〜Sakeoまで

Siem Reap~Sakeo
3/29~3/30 (860~861days)

3/29
3泊したシェムリアップを出発する。
泊まった日本人宿には数匹の猫が住み着いていて、その猫がダニを持っているのか痒くて痒くて仕方なく、正直あまり休まった気はしない。

出発して間も無く、シェムリアップの市街地を抜け切らない内に一人の自転車旅行者と遭遇。

インド人サイクリストのサルーン。
インドの南部出身との事で、これまでバングラデシュ、ラオス、ベトナムと走ってきて、ゴールのシンガポールを目指して走行中との事。

進行方向が同じになるため、別にどちらが言い始めたわけでもないけど一緒に走ることに。

サルーンは自転車旅行者には珍しく、ベジタリアン。
「宗教上の理由なの?」と聞いてみたら、「健康上の理由だよ。インドで肉を食べると病気になるかもしれないから、自然とそうなった」と言っていた。

食事を注文する度に、肉無しの料理を出してくれと、英語の通じないカンボジア人相手に身振り手振りで伝えているのがとても興味深かった。
苦労して伝えたと思ったら、結局肉入りの料理が出てきて、作り直してもらうことも度々あった。

私にとってほとんど初めて接するインド人なのだが、私が抱いていたイメージと違い、サルーンは綺麗な英語を話して知的で理性的な男だ。

ちなみに私はバリバリ肉料理を食べます。

路肩で子供が仮装していた。
祭りをしているとかではなく、道路を挟んで量側の路肩で二人が仮装して、車からお金をもらおうとしているようだった。

途中、暑くなってたまらずココナッツを売る屋台で小休止を取ることに。
東南アジアのココナッツは中身が詰まっていて量が多く、甘くて美味しい。
メキシコで人生で初めて飲んだココナッツは量が少なくて、水の様に薄く、ココナッツは美味しくない印象を持っていた。
それが、ここ東南アジアで随分と印象が変わった。

ちなみに飲みきった後は、殻を割ってくれて中の果肉をスプーンで食べる。
これがまた美味しい。

この日112キロ走り、Sereysophornに到着。
サルーンはホテルにほとんど泊まらないストロングスタイルな自転車旅行者なのだが、調理器具を持っていない。
そのため、夕方に到着した町で夕食を食べ、暗くなってから野宿場所を探すスタイルだと言う。

じゃあまずはご飯を食べようか、ということになり適当なレストランに入ったのだが、出来合いのオカズを一瞥してベジタリアンフードが見当たらなかったのか、「違うレストランに行くよ」と言う。
私はもう注文してしまった後だったので、結局別々のレストランで夕食を摂るという不思議な状況に。

ベジタリアンというのは大変だな。

夕食後、すっかり暗くなってから二人で先へと進み、道路のすぐ側に廃墟を見つけたため、その軒下でテントを張る事に。
廃墟+道路傍という組み合わせは、夜中に誰か来るか、もしくはホームレスが住み着いている可能性が高いため、一人だと絶対にテントを張らない物件である。
二人なら、防犯上多少は大胆に野宿できるため、こういう時ありがたい。

3/30
6時に起床して出発準備をし、7時には出発する。
サルーンは調理器具を持っていないし、私も今は食料を持っていないため、必然的に早い時間帯に出発となった。

この日はカンボジアを出国し、タイへと入国する予定。

この日はやたらと結婚式の現場に遭遇し、合計で3件程見かける事に。
行列を作って会場となるテントに入っていくのが慣例らしく、みな何かお供え物の様なものを持っている。

カンボジアは一旦街を抜けるとレストランが少なく、朝食を食べるために随分と走らないと見つからない。
この日も15キロほど走り、ようやく見つけることができた。

で、40キロ走り、10時にカンボジアとタイの国境に到着。

まずはカンボジア側の出国手続きとなるのだが、ここで私が一悶着。
私はカンボジアのビザをインターネット経由で取得したのだが、その控えを入国時と出国時の合計2枚、提出しないといけないらしい。

ベトナム出国の時も同様で出国用の控えがなく、危うく出国拒否となるところだったのだが、iPadに保存しておいたデータを見せ、事なきを得た経緯がある。

カンボジア出国でも同じようにiPadを見せれば大丈夫だろ、と思っていたのだが、管理官は許してくれず、「向こうの旅行会社でコピーできるから、控えを持ってこい」という。

旅行会社に向かうと、白黒のデータを一枚コピーするだけなのに、100タイバーツ(350円)というボッタクリ甚だしい吹っかけ。
多分私のような、控えを持たない旅行者が相当数いて、いい鴨にしているのだろう。
値下げ交渉をしてみたが、圧倒的に不利な状況ではそれも叶わず、釈然としないまま紙切れ一枚に大金を払う事に。

控えを持っていくと、数秒で出国スタンプが押されたのを見て、やはり釈然としない。

お次はタイの入国審査。
このタイ国境は厳しいとの評判で、確かに管理官はかなり厳粛な態度だ。
日本人はタイ入国にビザは必要なく、すんなりと入国スタンプをもらえた。
しかしインド人はビザ必須であり、サルーンは別室に連れていかれ、1時間ほどしてようやく入国スタンプをもらっていた。

ま、とりあえず入国できたし良かったとするか。

これでタイの入国は2回目で、その発展具合と道路の完璧さには初回も随分驚かされたけれど、今回はカンボジアからの入国ということもあり、あまりのギャップには思わずポカーンとなる程。

今まで色んな陸路国境を跨いで来た。
国が変われば匂いや舗装状況の違い、流れている音楽、人々の着ている服の違いなどから、「あぁ、違う国に来たんだな」と実感してきた。
タイでは、そこかしこにあるセブンイレブンによってそれを実感させられる。

国境付近の田舎のガソスタに日本料理屋があるのには、心底驚いた。

タイの道路は片側3車線が続く完璧な道路状況で、等間隔でバス停小屋が設置されている。
昼過ぎになると猛暑となるタイにあって、このバス停がいい避難場所となってくれる。

なお、タイでバスが走っている現場は見たことがなく、このバス停が使われているのも見たことがない。

夕方になり、Sakeoの街に到着。
この街から分岐が始まり、翌日以降私はタイの古都・アユタヤ方面へと、サルーンはマレーシア方面へと向かう。

前日同様にレストランで夕食を済ませ、暗くなってから鉄道駅に移動して野宿する事に。

サルーンが出会いを祝してと、私の今後の旅行の無事を祈ってということで、ビールを奢ってくれた。
すっかり涼しくなり、うっすらと電灯が灯る駅舎の下、ほろ酔い気分で少し体を揺らしながら二人のサイクリストが杯を交わすタイの夜長。

(走行ルート:Siem Reap→Sereysophorn→Sakeo)

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