山を越えれば文化も変わる〜Song Cauまで

Da Nang~Song Cau
3/9~3/11 (840~842days)

3/9

2泊させてもらったTABII HOTELの小野さんにお礼を言い、少し遅めの9時半にダナンを出発する。

そういえばベトナム屈指のビーチリゾートなのに、一度も泳がなかったな。

海沿いに進んでいくのだが、しばらくはホテル街が続いて車の量が尋常じゃなく多い。

ベトナムという国は中国と比べると逆走してくる車は減ったが、それでも運転マナーが良いとは言いがたい。
こちらがメイン道路を直進していて、脇道から車やオートバイが合流してくる際、脇道側の車が一旦停止してから無理なく合流する…というのが日本の常識であろう。
いや、日本でなくても、南米でもそこら辺は守られていたように思う。

ここベトナムでは、脇道合流側の車やオートバイは一切停止せず、また首振りでの確認もせずにメイン道路に合流してくる。
後に「何で合流する時にチラッとでも確認しないの?」とベトナム人に聞いてみたのだが、「メイン道路走っている奴は、こっちが合流してくるのを見て分かってるわけでしょ?じゃあメイン道路側が避ければいいじゃない」という答えが返ってきて、納得すると共に呆れた経緯がある。

ベトナムでは犯罪には巻き込まれはしないだろうが、交通事故に巻き込まれるなら、この国だろうな…と思うほどに、ベトナムの交通マナーは悪い。

国道は交通量が多く辟易としたため、一本外れた小さな道を走ることに。
この選択が間違いだったのか、道中に補給ポイントが一切ない、砂漠の様な道になってしまった。

おまけに向かい風がきつく、全くペースが上がらないうえに疲労が溜まっていくばかり。

「ベトナムは常に北風が吹いてるから、北から南への縦断はめちゃくちゃ楽だよ」と、出会う自転車旅行者全員に聞かされていた記憶があるのだが、とんでもない。
この日はばっちり南風で、めちゃくちゃにきつい向かい風だ。

彼等が嘘を付くとは思えないので、私が相当に運が悪いのか…

40キロ走って、ようやく数軒レストランがまとまっているポイントを発見。
恐らくはここを逃せば、この先何十キロも補給できる場所はないだろう、迷いなく突っ込んで昼食を注文。

出てきたのが、海鮮系のぶっかけ飯。
海鮮系のご飯は、実は高級料理ということがあり得るので、注文した後に「しまったなぁ」と思いつつも、これしか食べるものがないのだからとビビりながら食べる。

実際には20,000ドン(約100円)と、いつも食べるぶっかけ飯よりも安く、この値段で海鮮系が食べられるのは流石海沿いのレストランだと、関心してしまった。

昼食後はやはり予想通り、小さな商店すらない砂漠地帯がずーっと続く。
そして不気味なことに、この道路は数十キロに渡り、路肩に墓地が続くのである。
それもかなりおびただしい数の墓が並んでいるのであり、ともすればベトナム中の死者はここに埋葬されるのでは?と思うほどである。

墓地なんて珍しくも何ともないのだが、流石にここまで数十キロも墓地の中を進む経験はなかったので、やはり気分は良くない。
何だか自分が現世と冥界の狭間にでも迷い込んでしまったかのようで、さっさと抜けたい一心でペダルを踏み込んだ。

逆風に悩まされながらも、17時にNui Thanhという町で安宿に投宿することができた。

3/10
昨日、Nui Thanhの町の手前で国道1号線に合流していたため、交通量が非常に多い。

国道は交通量が多くて嫌になるが、それとトレードオフする形で補給には全く困らないのでその点ではありがたい。
私は2時間に一度は何かを口にしたいタイプなのであり、ベトナムでは大体10時、12時、14時、15時過ぎと昼食も含めて休憩をするようにしている。

この日も10時になり、ちょうど町に差し掛かったためチェー休憩を取ることに。
屋台で販売しているチェーで、味も素朴な甘みで美味しく、それを売るお母さんの笑顔も素朴で癒される。


この日は昨日の砂漠地帯と打って変わり、水田がずっと続く。
緑色は人の心を癒す色として、科学的にも証明されていると聞くが、確かにその通りだと、昨日の地獄の様な茶色い風景と比較して、心の中で何度も頷く。

路肩では時折脱穀前の米が、乾燥のためなのか車に牽かせて脱穀するのか、大量にぶち撒けられている。

この日110キロ走り、時間も15時過ぎとなったところで最後の小休止を取ることに。

見つけたチェー屋のメニューに、「SHINTO(シントー)」なる物を発見。
実はこのシントー、これまでにも気になっていたのだが、一度も注文したことがなかった。
シントーの看板を掲げている店は、ショーウィンドウにフルーツを並べていたため、フルーツジュースか何かかな?とは思っていたのだが…結局いつもチェーを注文していた。

せっかくだから新しい物に挑戦だ!ということで、初めてシントーを注文することに。
氷とグラスに注がれたシロップの様なものが出てきて、「あれっ、チェーと一緒じゃん」というのが最初の感想。

氷をグラスに放り込んで食べてみると、これがチェーとは全く違う。
チェーは豆を元に作られているため、金時かき氷によく似た味だ。
シントーは、フルーツに練乳を混ぜた物がシロップになっており、チェーよりも爽やかでフルーティな甘さを感じる。

「これはチェーよりも美味しいぞ!」と、初めてのシントーの旨さに感激したことを覚えている。
値段はチェーよりも少し高くて15,000ドン(75円程)するのだが、それでもこの後のベトナム走行では小休止時間になると、「SHINTO」の看板を探し求めるようになったのだった。

この日は128キロ走り、Bong Sonにて投宿。

3/11
朝の時間帯だとぶっかけ飯を出す様な定食屋が準備中なので、必然フォーやブンといった米粉麺が朝食のメインになる。

ただ、流石に飽きてくるし量も少ないので、この日はそこら辺の屋台でいくつか見繕って食べることに。

こちらはバイツン。
ハノイでお世話になったハナさんの家で、何度も食べさせてもらったベトナムの代表料理。
バナナの皮で米を蒸した料理で、ほんのりと甘くて美味しい。

こちらは名前はわからないが、饅頭。
中身は黒糖が詰まっており、非常に甘い。

こちらもベトナムの代表料理、バインミー。
フランス統治時代の影響から、ベトナムではこうしたパン食の文化も一般に広がっている。

ハイヴァン峠を越えたことで、いよいよベトナムの南部に突入したのだが、南部に入ってから南国フルーツを見かける機会がぐっと増えたように思う。

普段はサトウキビジュースを小休止に飲むのだが、この日はココナッツを飲むことに。
注文してその場で鉈(なた)を使ってカットしてくれる。

ココナッツ丸ごと1個を飲むというのは誰しも憧れることだが、味が薄かったり量が少なかったりでがっかりすることが多い。
私もメキシコで初めて飲んでみたが、その時のものは水のように薄くてがっかりした。

ベトナムのココナッツは量は多いししっかり甘くて、非常に美味しい。
飲みきった後は実を半分に割って、中の果肉をスプーンで食べるのも楽しみの一つである。

値段は20,000ドン(約100円)と少し高いが、満足度は高い。

この日の昼食の突き出しのスープに、ゴーヤが出てきた。
この日以降、スープや野菜炒めにゴーヤが使われている料理が増えてきたのであり、ハイヴァン峠を挟んで明らかに食文化に変化が現れている。

獣は火を恐るというが、ベトナム産の牛はそんなこと気にせず草を方張っている。
直射日光がキツイから、火程度どうということはないというのか…

ベトナムはここ最近で大幅な道路工事を終えたばかりなのか、私の持っている地図と実際の道が違っていることが多々ある。
地図に載っていない新道は有料道路でトンネルがあるためか、自転車が通ることができない。
旧道は峠道になっており、大体は入り口に看板が立っていることが多い。
そのお陰で、「DEO=峠」というベトナム語だけは覚えることができた。

この日はSong Cauの町に投宿。
126キロ走り頑張ったため、ご褒美のシントー。

(走行ルート:Da Nang→Nui Thanh→Bang Son→Song Cau)

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