涼風一陣〜Nakaeまで

Phang Khon~Nakae
2/28 (831days)

ベトナムビザの承認メールを待つ名目で、深夜までネットで遊んでいたツケか、今朝は非常に体が怠い。

その怠さに釣られるようにダラダラと準備し、8時過ぎと遅めの出発。
読者の中には、「8時出発が遅い?」と思われる人がいるかもしれない。
私は東南アジアでは自炊をしていないため、宿を出てから朝食を食べなければならない。

仮に朝食に30分掛かると考えると、実際の走り出しは9時頃となるのであり、これはかなり遅い部類になる。

今日の朝食は焼き鳥のモツ入り。
値段は50バーツ(約180円)であり、食費に関してはラオスよりも安く感じる。

食べた後、店先に並べてある焼き鳥を撮ろうとしたら、おばちゃんがしっかりポーズを取ってきた。
これまでの東南アジアの人は慎ましい人が多かったのだが、タイ人は陽気な人が多い気がする。

さて、今日も地獄の道を走りますか。

自転車で走る時は当然ながら前を見て走るのが基本なのだけれど、延々に続く直線の道だと、どこに目の焦点を持っていっていいか分からなくなる。
余りにも風景に変化がなく、それに脳が麻痺するのか、ぼやーっと視界が狭まるような感覚に陥る。
そして、もうほとんど走っているということすら忘れて、考え事に集中するようになったりする。

ふと我に帰る瞬間があって、スピードメーターを見れば驚く様な距離を走っていることもしばしば。

ちょっと前にYahoo!ニュースのトップで、「タイは覚醒剤天国になっている」という見出しを見た。
選挙戦ののぼりにも、どうやら大麻合法化を訴えていると思われる内容のものがあったりして、ドラッグ問題はこの国で結構大きな問題になっているのかもしれない。

タイは比較的大きな町に入ると、必ず皇族の写真がお出迎えしてくれる。

そして県が変わると、その県の観光名所を写真付きで紹介してくれる。
田舎の町なんかだと日本人旅行者が行っていなくて、基本的に情報が出てこない。
そのため、こうして写真付きで紹介してくれることで初めて知る様な観光地も多く、結構助かったりする。

退屈な道にも飽きていたし、写真で紹介されているWat Phrathat寺院がちょっと気になったので、寄ってみることに。

行ってみてびっくり、豪華絢爛とは正にこのことで、白と赤と金で非常にカラフルな寺院だ。

ただその見た目に反し、この寺院が厳粛な場であることは、寺院の入り口で靴を必ず脱がなければならない事と、熱心にお祈りをする人々の姿を見て分かる。

この寺院、ある特徴がある。
風が吹くと、本殿の屋根の下に取り付けられた風鈴が揺れ、音が鳴るのだ。
風鈴はいくつもあり、風が吹くたびにシャララン、シャラランと爽やかな音を奏でる。

境内は人が少なく、この風鈴の音に聞き入ることができる。
風と鈴の音が、タイの厳しい暑さを一瞬忘れさせてくれる。

ちょっと小休止がてらに寄ってみるかという程度だったのだが、来てみて本当によかった。
そこまで大きくない敷地なのだが、がっつり写真撮影するくらいに気に入った寺院だった。

予期していなかった観光で気分を良くし、ちょうど腹も減っていたためそのまま昼食休憩とすることに。

ここでもやはり氷が入ったコップが出てきた。
無料で飲める冷たい水の美味しいことよ。

先程の寺の風鈴といい、この氷といい、ちょっとした事なのだが、私の中でのタイ株はグングンと上昇していく。

後は風景が楽しかったら完璧なんだけどなぁ。

途中、ガソスタ併設のカフェに入り、60バーツと激高なライチジュースを注文して休憩。

翌日にはラオス入りの予定なのだが、ベトナムビザが承認されなければこのプランは全て見直さなければならない。
昨日から走っている最中に「ビザが下りなければどうしよう…」と不安感が出てきたのであり、そろそろ精神衛生上よくないため、wi-fiのあるカフェでメールを確認したかったのである。

結果は、無事ベトナムビザ取得!
これで心置きなくラオスを通過して、ベトナムへと向かえるってもんだ。

メールの確認後は不安感はなくなり、漕ぐペダルも軽やかに。
後はこの日の眠る場所を求めて走るだけである。

ただ、このタイという国は、宿を見つけるのが非常に難しい。
というのも、タイでは英語で「Hotel」と書かれているホテルはまぁ見つからない。

これは私の推察だが、そもそもこの地域に英語圏の人間がこないことと、外国人観光客に頼らなくても、自国民の消費で十分に経済を回せる国力があるからだと考える。

ラオスだと、どれだけ小さな集落にある安宿でも「Hotel」や「Guesthouse」と英語表記がなされていた。
これは、ラオスが外国人観光客を当てにしないと商売が成り立たないからであり、タイとは真逆の状況である。

それでも地図に大きく表記されている町なら、流石に宿は見つかるだろう。
そう思い、日没寸前にNakaeという町に到着。

だが、なんとNakae程の大きさの町でも、英語表記されている宿が見つからない。
ほとほと困り果てたところに、警察署があるのを発見。

中南米ではよくやっていたのが、消防署や警察署に頼んで敷地内にテントを張らせてもらうということ。
治安に不安がある国でも、その2つならまぁ安全に夜を明かせる。

ただ、アジア諸国では今のところまだ頼んでみたことはない。
しかしこのままでは、野宿場所を求めて日没後に走ることになる。
ダメ元でこの警察署に頼んでみることに。

こういう事もあろうかと、タイ語で「今晩だけここで寝てもいいですか」となる文章をメモ書きしていたのであり、それを片手に警察官に伝える。

発音が正しくないのか、何度目か繰り返すうちに理解してくれ、食い気味に「あぁ、泊まりたいのか!オッケーオッケー!」と快諾してくれた。
対応してくれたのが三人の年配の警察官だったのだが、その内の一人が自転車が好きらしく、「トイレはあそこだ」等々の説明の世話を焼いてくれ、とても親切に対応してくれた。

いやぁ、今日も寝るところが決まってよかった。

(走行ルート:Phang Khon→Nakae)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です