無限地獄〜Phang Khonまで

Udonthani~Phang Khon
2/27 (830days)

宿には無料の朝食が付いているのだが、大抵この手の安宿は食パンとコーヒーという、おやつ程度のものしか出てこない。

となると量をかっ込むしかないわけで、パンを9枚食べてやった。
取り敢えずこの瞬間はお腹が膨れるのだが、腹持ちが悪いためすぐに空腹になるのは明らか。
さぁ、どこまで保つやら。

ちなみにルートとしては、ウドンターニから東へと進み、再びラオスへと向かう。
ラオス国境には後2日もすれば、到着することになるだろう。

昨日ラオスを出国して、なぜまたラオス?と思われるかもしれないが、私はベトナム南部とカンボジアをどうしても走りたいのであり、このルートを選択した。
タイの首都・バンコクまで南下して、そこから反時計回りでカンボジア→ベトナム南部も考えなかったわけじゃないが、それだとあまりにも時間がかかり過ぎる。

タイを走り始めてまだ2日目の午前中なのだが、もう既に飽き飽きとしてきている。
確かにタイの道路は完璧だし、その点では文句の付け所がないのだが、あまりにも退屈すぎる。

平坦な道が延々と続き、軒に並ぶのはガソリンスタンドと工場ばかり。
カーブすら存在しない、どストレートのハイウェイ。

他の自転車旅行者はどうか分からないが、少なくとも私は走行中の疲労であったり気温の暑さ寒さ、道のキツさ等に関して、文句は言うが苦にはならないタイプである。
自転車旅行ではそういったものは避けられないし、楽しむべき要素であるとも考えている。

ただ、退屈な道というのは苦行でしかない。
ただ距離を稼ぐためにペダルを漕いでいるような虚しい気持ちになってくる。
「もう随分走っただろう」とスピードメーターを見ると、前に見た時から2キロしか進んでいない時など、無限地獄に堕ちたんじゃないかという絶望感すら覚える。

タイのガソリンスタンドは立派で、セブンイレブンやカフェが併設されていることが多い。
タイが左側通行の国である事と、前述の退屈な道を併せてみるに、「ここは日本なのじゃないか?」と錯覚してしまう。

アメリカ大陸や東南アジアの他国では、治安面の心配であったり交通マナーの悪さから、走行中はある程度緊張感を纏って走っていたように思う。

タイはそれらの国と比較して、交通マナーも道路状況も、治安も格段に良い。
そんな状況が、私から緊張感という布を剥ぎ取ってしまった。
走っている最中にタイ語の標識を見て、「あ、そうだ。今は海外にいるんだ」とハッとするくらい惚けてしまう程である。

途中からはそのガソリンスタンドや工場ですら無くなり、茶色く枯れた草原地帯が続くばかり。
半日走っただけで、退屈でもう気が狂いそうだ。

サイクリストが罪を犯したら、刑罰としてこの道を走らせてやればいいと思う。
「判決。タイのウドンターニ周辺の道を毎日100キロ走る刑、10年の実刑に処す」なんて、サイクリストには死刑よりも辛い判決だろうさ。

ウドンターニからメイン国道を離れたためか、集落や町がほとんど現れない。
それでも道路脇に、何軒か露店が並んでおり、昼食休憩には困らなかったので助かった。

タイも米粉の麺料理が盛んな国なのかな。
料理そのものより、氷付きのコップを渡され、無料で水が飲み放題なことに驚いた。
氷なんていつ以来だ!?

昼飯そのものよりも、氷水の方で腹が膨れたんじゃないかというくらい、ガバガバ飲んでいた。

後半戦も、地獄の道のりが続く。

タイは現在選挙戦の真っ只中の様で、道路脇には候補者達の物と思われるのぼりがいくつも立っている。

さすがに数十キロも走っていれば区が変わるのか、候補者の面子も変わってくる。
これが唯一の風景の変化。

道中があまりにも暑く、ちょうどかき氷屋台を見つけたので食べていくことに。
シロップを掛けただけの、日本と変わらないもの。

普通、国境を接する国と食文化というのは似た物になるか、共通になるはずである。
それが、ベトナムの誇るかき氷・チェーは門外不出、ベトナムでしか見かけないのはどういう事なのか。

あぁ、あの餡蜜の掛かったかき氷がもう一度食べたい…

この日100キロほど走り、ようやくまともな街・Phang Khonの入り口に到着。
道中の殺風景な草原地帯から、人工物である建物がまとまって見えた時は、「あぁ地獄から解放された」という安堵感さえ覚えた。

結構大きな規模の街なのだが、メイン道路上に宿が全然見つからない。
街の出口付近になって、ようやく英語で「HOTEL」と書かれた宿を見つけてそこに投宿。
400バーツのところを300バーツ(1500円→1050円)に下げてもらったのだが、それでもやはりタイの宿泊代は高い。

野宿することも考えたのだが、インターネットで申請したベトナムのビザ取得の返信を待っている状態なので、メールをどうしても確認したかったのだ。

なお、返信はまだきていなかった。
「ベトナムビザは下りる」ものだと思い込んでどんどん進んでいるけど、これで承認されなかったら今後のルート、すげぇ面倒くさいことになるな。

(走行ルート:Udonthani→Phang Khon)

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