25カ国目・タイへ〜Udonthaniまで

Vientiane~Udon Thani
2/26 (829days)

普通、首都というのは国防上の都合で、自国の内陸側もしくは他国と接していない大海沿いに位置することが多い。

その条件に照らすとラオスはセオリーを全く無視している国で、首都・ビエンチャンに沿って流れるメコン川を挟み、すぐそこが隣国・タイなのである。

ビエンチャンが首都となったのはフランスの保護国時代の1893年からである。
当時はインドシナ連邦として、現在のベトナム・カンボジア・ラオスはフランス領であり、フランスなりの何か思惑があったのだろうか。

結局、ラオス独立後も首都はビエンチャンのまま、現在に至っている。

とまぁ、難しい事をそれらしく語ってはみたが、理由は私にはわからない。
ただ、これから入国するタイの国境までは、ビエンチャンから走ること僅か20キロということだけは分かっている。

自転車旅行において、首都から抜けるのも、国境を越えるのも一苦労であり一大イベントの一つである。
それが僅か20キロの間に二つ同時に降りかかってくるのだから、如何にこの日は慌ただしい事になるか、昨晩から戦々恐々としていた。

それでなくても国境越えは手続きに時間が掛かるため、早めにイミグレーションに着いておきたい。

そんなわけで、昨晩は早めに眠り、今朝は6時起床、出発準備もスムーズに済ませて7時半に走行開始。
非常に良い滑り出しで国境越えの朝を迎えた。

…まさか宿から1キロも走らないうちに豪雨に巻き込まれるとは。

確かに宿を出るときに「あれ、少し曇っているな」とは思ったものの、これまでの経験上すぐに雨になるようなものでは無い、と判断したのだが…。

ポツポツと降り始めてすぐにバス停に避難し、「5分くらい待てば止むだろう」と楽観していたのだが、これがとんでもない豪雨に発展することに。

みるみる内に目の前の道路は冠水し、原付バイクが次々にバス停へと避難してくる。
排水処理能力が低いのか、はたまた余りにも激しいからなのか、冠水が道路に収まりきらず、道路よりも少し高いバス停にまで水が浸水してくる事態に。

地元住民である彼等がスマホで撮影しだしたくらいだから、よほど珍しいくらいの激しさなのだろう。

結局たっぷり30分足止めをくらい、普段と変わらない走りだしとなってしまった。
ただ、あれだけの豪雨だったにも関わらず、メイン国道は少し濡れた程度で非常に水捌けが良い。
というのも、ビエンチャン内を走るメイン国道は日本がODA支援して作られたものであり、流石のクオリティ。安心・高品質のメイドインジャパン。

そんなことで、水溜りによる二次被害で自転車が汚れる、なんてことにはならずに無事にラオス側の国境に到着。

入国の際に「入国税」という名目で訳の分からない金を払わされたラオスだが、実はこの国境でも条件次第で「友好橋の使用料」という訳の分からない金を払わなければならない。

友好橋とはタイ・ラオスを隔てるメコン川に掛かる橋の名称である。
1994年に開通した割と新し目のこの橋は、自国で生産出来るものの少ないラオスにとって、タイからの輸入路として非常に重要なインフラ整備なのだとか。

そして条件とは、平日の時間外(8時〜13時以外の時間帯)もしくは土日祝日の終日には友好橋の使用料として、ラオスのイミグレーションに支払わなければならない。
ちなみにタイからラオスへと入国する際、タイ側では使用料など徴収していないらしい。

この日は平日であり、時間帯もまだ11時。
そもそも、昨晩の時点できれいさっぱり手持ちのラオス通貨は使い果たしてゼロ。
「使用料払え」と言われたらどうしようかと内心びくびくしていたのだが、支払いを求められることなくラオス側はあっさりと出国スタンプをゲット。

ラオスの国境オフィスを出て、自転車で友好橋をいざ渡らん。

ちなみにラオスでは車は右側通行だったが、タイは日本と同じく左側通行となる。
ラオスとタイの力関係が現れているのか、友好橋ではラオス側もすでに左側通行へと切り替わる。

ちょうど橋のど真ん中が国境ラインであり、橋の上でラオスからタイに越境となる。

橋を渡りきり、お次はタイの入国処理。
タイは入国審査が非常に厳しい国であると噂に聞いていたのだが、全く時間がかかる事なくあっさりとノービザ入国の30日をゲット。

私にとって25カ国目となる国である。

タイのトゥクトゥクは随分とゴツいな。

国境を越えるということは文字通り国が変わるのであり、それが陸路でとなると変化を如実に感じ取ることになる。
ラオスからタイへと入国してまず感じることは、「なんとまぁ完璧な道路か!」ということ。
片側3車線、それも広い路肩付きで、日本でだってあり得ない快適さである。

タイ語は読めないけど、英語も併記されているためこれも問題なし。

このまま快適に走れるかな、と思っていたのだが、再び空に暗雲立ち込め、再び豪雨に。
降り始めた時にちょうど運良くガソリンスタンドがあり、そこの軒下へ避難。

このスコールも中々止んでくれず、軒下で釘付け状態。
もう正午を回っており、いい加減お腹も空いている。
ガソスタに商店が併設されているが、まだタイの現金を下ろせていないため、何も買うことができない。

このスコールにも30分足止めされ、散々空腹にされた挙句に解放された。
その後もATMがなかなか見つけられず。標識はあっても見つけられず。

ようやく見つけたATMは、一回の引き落としの手数料が222バーツ(約700円)と南米並みの高さ!
ひでぇあこぎな商売もあったもんだ。

そのままATMの横にあった露店で昼食。
カオニャオと鶏肉を焼いたものが出てきた。
まだラオスとの国境が近いからか、食文化もラオスと全然違いがない。

お腹も膨れ、この日の後半戦へ。
タイはラオスと同じく仏教国で、そこかしこに仏教寺院を見かける。

装飾は豪華で、金色にピカピカ光ったものが多い。

タイに入って見かけるようになったのが、人物の肖像写真が町の入り口や、学校などの公共施設に飾られている場面だ。

タイは正式名称はタイ王国であり、君主制を採っている。
この写真は恐らくは国王か、皇族の一員なのだろう。

この日走ること85キロ、Udon Thani(ウドンターニ)という都市に到着。
この年の入り口にも、もちろん国王の肖像写真。

タイは入国してすぐにセブンイレブンがあり、その後もかなり小さな町でもセブンイレブンが乱立していたのを見て、「日本と変わらないなぁ」と感じていた。

それが、ウドンターニにはなんとUNIQLOがあるではないか!
こりゃあ本格的に日本と変わらねーな。

ウドンターニには意外にもバックパッカーズホステルがあり、ドミトリー(相部屋)があったのでそこに投宿。
値段はドミトリーで320バーツ(約1200円)だから、かなり高額。
初日だから相場が分からないし、この分だと他の個室宿はもっと高いだろうから仕方ないけど、タイは物価的には苦労しそうだ…

宿の受付で教えてもらった、ウドンターニで一押しの観光スポット。
超巨大・アヒルちゃんです。

宿泊代は高いが、ウドンターニには屋台が並ぶマーケットがあり、そこでの食事は安い。
マーケットの外にはベンチと机が並べられており、買ったものをそこで食べられるように配慮もされている。

大体一品が20から30バーツ程度であり、調子に乗って何品か買ってばくばく食っていた。

食に関しては、困ることはなさそうだな。

(走行ルート:Vientiane→Udonthani)

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