自転車旅行者に習う婚活〜Phuyenまで

Thanh Son~Phuyen
2/9 (812days)

昨晩泊まった宿は部屋に蚊帳が吊っているタイプで、これが意味することは蚊が非常に多いということである。

幸いにしてまだそこまで蚊が気になる程多くは無いが、さっさと標高の高いところにいって涼しくて蚊とは無縁の場所にいきたい。

宿の写真を撮ろうとしたら、オーナーのおばちゃんもしっかりポーズ撮って写り込んできた。
こういうところ、外国の人というのは人懐っこいなと思う。

どうやらベトナムでは朝食はフォーくらいしか選択肢がないようで。
一応、どの店もフォーの他に突き出しでどっさりと生野菜のサラダを出してくれるのだが、やはりエネルギー不足は否めない。

まだまだ山岳地帯に入る手前であり、本格的な峠越えは始まっていないのだが、アップダウンは結構増えてきた。

それに伴ってか、水田も棚田づくりへと変化してきた。
私がこれから向かうベトナムの山岳地帯はこうした棚田が有名で、特にMu Chang Caiという村に広がる山肌一面の棚田は、絶景としてガイドブックにも紹介されるほど。

なので、ルートとしてはそのMu Chang Caiを目指して走っているところ。


ただ、そのMu Chang Cai周辺の天気予報が思わしくなく。
昨夜に調べた所、ここから数日間雷雨が続くらしく、流石に私もそんな悪天候の中で獲得標高3,000メートルとかのキツイ峠越えはしたくない。

北ベトナムを縦に切り裂く山脈の右側にMu Chang Caiがあるのだが、その逆側の山脈左側は、この先1週間は快晴が続く。
これはベトナム東にある海からの湿った空気が、この山脈でストップすることに起因するのだろう。

山脈左側も結局厳しい峠越えにはなるのだが、一応ルートは2通りパターンがある。

そしてこの日35キロ走り、そのルートの分岐点に到着。
ここで否が応でも決断しなければならない。

ま、飯食いながら決めようか。

で、適当にレストランに入ったのだが、フォーは食いたくない。
かと言ってベトナムのレストランにはメニューが置いてない。

何とか米とおかずを食いたいことを伝えると、魚の煮物が出てきた。
海からは随分と離れているから、川魚だろうか。
白身魚をトマトベースのソースでしっかり煮込んでいて、美味しい。
何故か古くなったバナナもくれるし、ベトナム人は気前が良いなぁ。

で、会計をお願いすると100,000ドン!(約500円)
は?昨日の宿代より高いぞ!ふざけんなよ!

かと言って私に文句を言えるベトナム語能力もないし、そもそもベトナム料理の相場がフォー以外全く分からないし…
魚料理はこういう風に、思わぬ高級料理だったりすることがあるので、注意が必要なのは重々承知だったのだが…

釈然としないまま、会計を済ませて先へと進むことに。

結局、分岐は山脈の左側へと進むことに。
レストランで天気予報を確認したら、やはりMu Chang Cai方面は変わらず数日間雷雨のようなので、残念ながらパス。
縁がなかったということで。

そして、分岐からは本格的に登りが始まる。
しかもかなりきつい斜度で、12%なんて登っている身としては、壁に向かって走っているんじゃないかと感じる。

ヒイヒイ言いながら登っていたら、対向車線の二人乗りの原付が止まり、原付を降りてこちらに近付いてくるではないか。

あぁ、私も旅行3年目にして遂に強盗に遭うのか…と半ば真剣に覚悟する。
すると、彼らは私の自転車の後ろに回り、全力で押してくれるではないか。

ほんの数100メートルではあったが、大汗かいて全力で押してくれたおかげで、少し元気をもらえた。
ありがとう、とても嬉しかったです。

助けもあってようやく峠を超えたと思ったら、今度は逆にとんでもない斜度での下り。
この時点で標高はまだ500メートル弱であり、これからまだまだ標高を上げることを思うと、下り坂の存在はあまり歓迎したくないのだけれど。

登り坂は覚悟していたことだからさて置き、ここまで暑くなるとは全く予想もしていなかった。
大汗かいて体温上がっているところにキツイ直射日光、かつ湿度の高い東南アジアの気候が合わさって、熱中症になりそうだ。

たまにある使われなくなった露店の跡で、小休止を挟みつつ進んでいく。

そんな感じでペースも上がらないまま進んでいると、集落に通りがかった。
家の前にテーブルを出して一家団欒してテトを満喫しているようで、微笑ましい。

するとお母さんが、こっち来いと手招きするではないか。
こういうお誘いを無視する私ではないため、ホイホイ寄って行く。

ベトナム語は分からないが、勧められるままにお茶とお菓子を頂く。
冷えたお茶が喉を潤す感覚というのは、こうも幸せな物なんですね。

テーブルの脇に長い竹があり、私が気になってチラチラ見ていたのをお父さんが気付き、「これは水タバコだよ」と教えてくれた。

竹筒の先にタバコの葉を詰めて吸うのだが、竹筒の中には水が入っており、吸う時にゴボゴボゴボと大きな音が立つ。
物は試しと私も吸わせてもらったのだが、一気に吸い込みすぎてむせてしまった。

タバコを吸いつつ、お父さんとお母さんが「どうだ、私の娘と結婚しないか?」らしき事を言うのであり、しどろもどろする私。
娘さんを見るとまだ高校生くらいじゃないのか。

数年後、旅行が終わった頃に迎えにきますよ。
今度は自転車じゃなくて、飛行機と車に乗り継いで。

未来のご家族にお礼を言って出発。
その10分後にはまた別の家族に捕まるというね。

こっちは完全に酔っ払いのノリであり、ちょっと鬱陶しいくらいの接し方だったのだが、お菓子とキンキンに凍ったペットボトルのお茶で簡単に懐柔される私。

こっちでも「私の娘を嫁にどうだ?」という話をされたのだが、おいおいまだ3歳児くらいじゃねえの?
20年後くらいに迎えにきますよ。

日本では昨今、私を含め結婚できない男、というのが増えてきているらしい。
結婚できない事で悩んでいる日本男児は、荷物満載の自転車でベトナムの山岳地帯を走るといい。
簡単に嫁が見つかるから。親公認で。

思わぬお誘いの連続で、すっかり時間は夕方手前になってしまった。
幸いそこからは大きな登りはなく、棚田を傍目に細かいアップダウンを繰り返して進んでいく。

16時過ぎ、Phuyenの町に到着。
ベトナムの町の作り方の特徴としては、幹線道路沿いに家が並び、町全体が縦に長い。

Phuyenの町を縦の端から端まで走ったのだが、中心部には宿がなく、結局町の入り口付近にある安宿に投宿。

宿を探すと同時にレストランやチェー屋がないかもチェックしていたのだが、Phuyenにはやたらとチェー屋がある。
小さな町なのだが、5店以上は見かけただろうか。

よしよし、今日は夕食後のデザートが期待できるぞ。

宿でシャワーを浴びて、早速夕食を食べに町へと繰り出したのだが、どのレストランも「やってない」の一点張り。
シャッターも下ろしていないのに閉店とは、これ如何に!?
どうやらテトの期間中は、夜は開けないのがベトナムの常識なようだ。

なぜかチェー屋は営業しているのであり、仕方なく晩ご飯はチェー。
チェーが狂おしいほどに好きな私ではあるが、まさか晩ご飯にする時がくるとは思ってもいなかった。

かき氷なんて胃に入れば溶けてしまうため、腹の足しになどこれっぽっちにもなりゃしない。
宿に帰って鞄に何か食料がないか探すと、この日の昼食を食べたレストランで古くなったバナナをもらったのを思い出した。

いやぁ、高い金払っててよかったよ。

(走行ルート:Thanh Son→Phuyen)

コメント

  1. 嫁さんがベトナムの娘さんでもお母さんは仲良くするよ☺️

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