想定と違う使い方〜苏圩まで

大塘〜苏圩
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市場。

そこは、その町で最も人、金、物が集まる場所。
その町の雰囲気を感じたければ、市場に行くのが最も手っ取り早い。

町に住む人の顔、使われている貨幣、食べている物。
市場の小さな空間だけで、全て知ることができる。

昨晩にちらっと覗いただけでも、随分と活気がある市場だなと感じていた、その予感に間違いはなかった。
朝から売り子の呼び込みがあちこちで掛かり、それに呼び寄せられたかの様に、どの出店の前も客で一杯である。

最も賑わいを見せているのはやはり、肉の出店。
肉は捌いてからの鮮度が大切だから、朝の早い時間が最も品揃えも客足も多い。

中国は野菜の種類が豊富で、薄暗くなりがちな市場に、いい具合に彩りを与えている。

中国人はとにかくなんでも食う、という印象だが、それに間違いはなく、カエルなんかも平気で食材として取引されている。

子「お母さ〜ん、今日の晩御飯なに〜?」
母「今日はカエルのシチューよ〜」
父「おっ、母さんのカエルシチューは天下一品だぞぉ〜」
母「ふふっ、あなたに初めて作った手料理が、これだったわね」

なんてやりとりが、一般家庭であったりするのだろうか。

ちなみに朝食は、ありふれた粥でした。

この日は目的地の南宁までわずか60キロを走ればいいだけなので、非常に気が楽である。

なお、ベトナムのマルチビザは結局取得しないことにした。
というのも、調べてみると3ヶ月マルチビザは取得に2万円近くかかる様で。
それなら一回ベトナムを出国した後、ネットで取得できるシングルの1ヶ月ビザで十分、という判断。

なので、南宁ではただ休むだけ…が目的である。
下調べではユースホステルがあり、安く泊まれるみたいだし。

さて、チワン族自治区に入ってからサトウキビ畑ばかりなのだが、今がちょうど収穫時期であるらしく、収穫後の刈り残しを燃やしている。
そのため、非常に煙たい空気の中を進んでいく。

サトウキビを燃やしているのだから甘い煙かといえば、そういうこともなく、普通に煙たくて鬱陶しい。

途中でとんでもない大渋滞があり、橋の上から一向に進まない。
こういう時自転車やバイクというのは特で、隙間を縫って少しずつ進んでいくことができる。

その渋滞の原因が、事故でもなんでもなく。
ただ、信号のある交差点を車もバイクも全てが信号無視しているため、進に進めない…という、実に中国らしいバカな理由であった。

ほんと、中国人に車というオモチャを与えるのは50年くらい早いと思うよ。

で、50キロほど走り、南宁の端っこに到着。
中心部にいくと安い定食屋が無さそうなので、ここいらで食べておく。

さて、改めて中心部へ。

どうやら今年は、チワン族の自治が認められてから60周年だそうで。

下調べしていたユースホステルの方へ向かったのだが、ビルごと取り壊しされていた。

マジかよ…でも、確かもう一つユースホステルがあったな!
と、そちらへと向かう。
宿が閉鎖されていることなんてよくある事なので、こんな事で動じる程、旅行初心者ではない私。

二軒目…
なんとそちらもビルごと取り壊し。

流石に二軒目も取り壊されているとは思ってもおらず、仕方なくそこらへんにあるホテルに飛び込む。
110元という料金表示の上に、「外国人は泊まれないアル」ときた。

さよなら南宁。

ユースホステルなんかの安い宿が見つからないのなら、大都市に留まる意味は全くない。
ここ最近の宿の安さを考えると、もっと進んで田舎で泊まった方が安上がりになる事は、火を見るよりも明らか。
ということで、南宁を離れることに。

ここら辺の切り替えと判断の速さというのは、旅行初期の頃と比べると格段に成長した部分だと思う。
自転車旅行において、路上に立ち止まって長考しても、いい結果にはほぼならない。

南宁以降は向かい風に苦しみながら、サトウキビ畑の中を進んでいく。

結局、南宁から40キロ程走って苏圩という町に到着。

宿も首尾良く50元で見つかった。

部屋に荷物を運び入れ、ふぅっと一息ついて天井を見上げると、ギョエェッー!
と、叫びだしたくなるくらい、おびただしい蚊が。

いかん、どこでも寝られる私ではあるが、流石にこのままでは病気になる。
町へ出て、蚊取り線香を購入し、早速点火。

私は蚊取り線香の事を今まで過小評価してきた人間であり、おまじない程度のもんでしょ?と思っていた。
しかし、火をつけて煙を上げてものの10分もしない内に、蚊が空中戦で戦闘機に撃墜されたかの様に、続々と落ちてくるではないか!

凄いぞ蚊取り線香!

なお、それでもやはり蚊は多いままである。
かつ天井からベッドに墜落してくる蚊の量がおびただしいのが気持ち悪く、結局ベッドの上にテントを張ったのであった。

(走行ルート:大塘〜苏圩)

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