广西チワン族自治区に〜乌家まで

青平〜乌家
1/28 (800days)

前夜に晩御飯でボラれたため、印象の悪い青平の町だったのだが、実は前日の内から気になっていた場所があった。

それは、市場である。

晩御飯を食べたのも市場だったのだが、それとは別にもっと古い、地元住民しか使わないであろうローカルの市場があった。
そこには食堂はなかったのだが、普通なら市場が閉まる夕方過ぎにあっても、まだまだ賑わっていたため、気になっていたのだ。

宿を出て朝食を食べる前に、市場が最も活気付くであろう朝の時間帯に、もう一度行ってみることにした。

やはりこの早い時間帯が、最も売り物も人も多く、この小さい町の市場にあって非常に賑わっている。

この市場は小さいながらも非常に豊富な品揃えで、各種海産物はもちろん、果てはスッポンなんてものまで取り扱っている。

とても興味深かったのが、この市場ではほとんどの売り物が、まだ生きている状態で取引されている、という点である。
普通は魚や鶏などは既に捌かれた状態で売られていることが多いが、この市場では注文が入ってから、その場で捌くようだ。
私自身、鶏が屠殺されている現場を見たのは初めてのことだった。

朝から面白いものが見れて、昨晩のボッタクリの溜飲も少しは下がったかな。

朝ごはんはお粥と腸粉。
これで9元。
そうそう、中国での飯は、これくらいリーズナブルな物を求めているのですよ。

青平から20キロ走り、广东省から广西チワン族自治区に突入。
チワン族とは中国最大の少数民族であり、この地域は彼等の自治区に指定されている。

自治区という関係からか、省を跨ぐと一層田舎になったというか、インフラの整備が行き届いていない様に感じる。
道路の舗装はガタガタで、狭い道路の上をサトウキビを満載に乗せた大型トラックが、忙しなく前から後ろからやってくる。

道路に草を敷き詰めて、車にわざと踏ませている現場を見たのだが、それをやっているのがどうも飲食店らしい、というね。
まさかこれを客に出してるのか?

畜産と農業しか産業がなく、また買い手も恐らくは地元住民ばかりであろう。
まさに地消地産。

そうなると食材も新鮮なのか、ただの定食屋の飯もめちゃくちゃ美味く感じる。
豆腐と豚肉の炒め物で、レバーも入っていてとても美味しい。

走っていると、お寺が道端にあるのが目に入ってきた。
中国ではお寺なんて珍しくもなんともないのだが、このお寺は何だか様子が違う。

金剛力士像みたいな、強そうな2体の像が守る門の中に見えるのは…

裸の恵比寿さん?

立派な外観のお寺であり、熱心にお祈りをしている人も数人いたのだが、祈る対象が裸のおじさんとは、これ如何に。

提灯もなんだかちょっと愉快な感じだし。

それでも奥の方には、ちょっと真面目そうな人たちが鎮座していた。
あれか、まずは裸の恵比寿さんで「カジュアルな親しみやすい宗派」をアピールして新規を獲得し、その後に真面目に教えを説いていくお寺なのかもしれない。


細かなアップダウンが多く、風も追い風になったり向かい風になったりしてペースが安定しないながらも、なんとか乌家に到着。

ロードバイクのレースでもあったのかな?

乌家は村程度の規模で、それでも宿は見つかったのだが、受付に誰もいない。
滅多に客が来ないのだろう、電話番号だけ残されており、そこに電話してくれたら駆けつけるわよ、のスタイルの様だ。

私は電話を掛けれないため、外の屋台のおばちゃんに身振りと筆談で「この宿に泊まりたい」ことを伝え、代わりに電話をしてもらえることに。

しかし、帰ってきた答えは「泊まれない」とのこと。
恐らくは管理者がこの日は帰ってこないためだろう。
「50キロ先に大きい街があるから、そこで泊まれるわよ」なんて、自転車旅行者に簡単に言っちゃいけません。

困ったなぁ…と考えていると、他の屋台のおばちゃんが「この村にもう一個宿があって、そこなら泊まれるよ」という。

はて、こんな小さな村で見過ごしたとは思えないのだが…と疑心暗鬼ながら言われた方に言ってみると、屋台のテントに隠された路地があるではないか。

その路地には確かに宿の看板が出ており、その前で遊んでいた少年少女たちが留守番をしているのだろう、受付をしてくれた。
1泊50元であり、ここ最近は毎日中国での宿泊最安値を更新している気がする。

独房みたいだが、私は寝られれば部屋の質には特にこだわりはない。

いやぁ、後50キロも走らされることにならなくてよかった。

(走行ルート:青平→乌家)

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