ルーティンを壊せ〜泉州まで

蒲田江口〜泉州
1/7(779days)
日本で暮らしていると、日々の生活がルーティン化していることに気づく瞬間がないだろうか。
毎日決まった時間に起き、出勤し、お気に入りの定食屋か弁当屋で昼食を取り、決まった時間に就寝し…
旅行の醍醐味とは、そうしたルーティンから離れ、非日常を味わうことに他ならない。
しかし、旅行も長期となればルーティンというか、お決まりというか、代わり映えしない物になってくることもある。
特に海外だと、例えば食事でいえば定番のメニューばかりを頼む様になり、あまり冒険したりせずに安定して美味しい物を選ぶようになる…といった様なことは、結構多くの人が賛同してくれるのではないだろうか。
かくいう私も、中国での朝食はほとんどパンやバナナで済ませてきたのであり、お決まりごとと化してきていた。
この日はそのお決まりごとをぶっ壊すべく、朝ごはんを屋台で食べる事で、より中国の文化に触れてみることにした。
まぁ実際には、単純に、朝起きた時にホテルの窓から見える階下の屋台風定食屋が、やたら人でごった返していたため気になっただけなのだが。
荷物をまとめ、自転車を押し、その人でごった返している定食屋へと行くと、どうやら肉まんの店頭販売をしているらしい。
観光客など全くいないであろうこの町で、ここまで人に溢れているということは、地元民の定番の朝ごはんなのだろう。
値段を見てみると、拳大の肉まんがなんと一個1元!(16円)
これは買うしかないと、モウモウと湯気が立つ肉まんと小籠包を指差し、合計4つも購入してしまった。
店から離れ、少し走ったところにあった公園のベンチに腰掛けて早速肉まんに齧り付く。
ちょっと味噌で味付けされた肉の味と、その肉汁が口いっぱいに広がる。
小籠包の方は、こちらは薄味で野菜のシャキシャキ感と肉の味がいい感じに混ざり合っている。
これで合計が4元というのが信じられない。
「男を捕まえるなら胃袋を掴め」とはよく言うが、たかが4元程度の食事に私の胃袋はがっちり掴まれてしまった。
このままだと散々な目に遭わされてきた中国を好きになってしまうかもしれん。
そんな満足感で一杯の朝食を終え、走り始める1日の始まり。
走り始めてすぐに蒲田の都心に突入。
結構な大きさの地方都市で、あいも変わらず原付がそこら中に走り回っているのだが、いつもの電動原付ではなく、ガソリン駆動の原付ばかりのようだ。
中国は排ガス規制が厳しくなり、電動駆動の原付になったと聞いたのだが、地方によってはその規制が緩かったりするのだろうか?
そんな自治が許されるような地方でもないはずなのだが…つくづく中国という国は不思議だな、と思う。
60キロほど走り、昼食休憩。
朝食のいい流れのまま、昼ごはんもいいものを食べたい。
そうだ、麻婆豆腐が食べたいな。
そう思い、筆談で注文するも「没有(メイヨー・ない)」とのこと。
じゃあ青椒肉絲だ!
そう思い、紙に書こうとする。
あれ、チンジャオロースーってどう書くんだっけ…
ええい、「青肉」って書けばなんとなく通じるだろ!あ、あと「白米」ね!
その文字を見た親父はウンウンと頷き、厨房へと消えていった。
数分後、私の目の前にはこんもりと盛られた、青い葉っぱ「だけ」と、白米が並んでいた。
それでもさすが食の中国と思うのは、ただの青い葉っぱ炒めが充分おかず足りえるのであって、ご飯を2杯おかわりしてしまった。
結果、うーんと首を傾げたくなるものの、味的には満足のいく昼食だった。
中国は小さい町にいくと、町の入り口によくこういうアーチが架かっているのを目にする。
見てみると、「〇〇さんと〇〇さん、ご結婚おめでとう」的なことが書かれているのがわかる。
田舎の方はまだまだ隣人同士のつながりが、中国では強いのだろう。
この日の目的地、泉州に近づいたところ、前方に明らかに進行速度の遅い乗り物が見えた。
距離を詰めていくと、やはり荷物を積んだ自転車旅行者。
声を掛けてみると、中国人で、中国で初めて出会った自転車旅行者だ。
会話は中国語だったのだが、英語も何となく理解できる人で、どうやら私と同じく上海付近からやってきたらしい。
「翌日には廈門に行くんだ」と言うので、私と同じ予定じゃん!
しかし、彼はこの日泉州よりもさらに先の町に行くと言うので、どうやらこの日のみの邂逅となりそう。
「どこに泊まるんだ?」と聞かれたため、「泉州にあるユースホステルに行く」と答えると、「そうか、行くぞ!」と彼は言う。
あれ?泉州のもっと先に行くんじゃ…?
どうやら先導してくれるみたいで、ありがたく後ろに着いて走ることに。
2軒目は無事、営業してました。
最初「198元(約3,200円)アルよ」と言われ、ユースホステルでふざけんな!と思ったのだが、それはどうやら個室の値段らしく、こんな汚い自転車旅行者が金持ってる風に見えるかね?
ドミトリーは50元とのことで、やれやれと一安心。
この時点で夕方過ぎであり、流石に彼もここに泊まるのかな?と思ったが、どうやら本当に先に進む様で、挨拶だけしてささっと行ってしまった。
泉州自体は特に見所があるわけでもないと、下調べ段階では思っていたのだが、宿の周りはライトアップされていたりして少し観光地化されているらしい。
それでも特に見所はないのだが。
晩御飯に回鍋肉を頼んだのだが、これが木桶に入って出されてきた。
後々知ることになるのだが、木桶に入れて丼飯の様に出すのが、中国の南部の文化らしい。
(走行ルート:蒲田江口→泉州)
食レポが面白い😉