中国善し悪し〜Shangu quまで

12/26(769days)
杭州〜Shangu qu

この日は寒く、ウィンドブレーカーの下にフリースまで着込んで出発する。
年末に寒波がきているとかで、2日後には杭州ですら氷点下まで下がり、積雪するかもしれないという予報が出ていた。
杭州は緯度で言えば九州最南端の佐多岬より、もう少し南に位置するくらいであり、それを鑑みると今回の寒波は結構強烈なもののようだ。

本来は杭州から内陸へ入り、黄山方面へ行こうと思っていたのだが、この寒波で山間部に雪が積もって通行不能に巻き込まれる恐れもあったため、中国沿岸沿いを走ることに。

運河で栄えた杭州というだけあって、都心から抜ける際には大きな橋を渡る。
この橋でバランスを崩して大クラッシュしてしまった。
幸運なことに転けた時は私以外に橋上にいなかったのだが、数分後には後続から大量の電動原付がやってきたのであり、タイミングが悪ければ大惨事だった。

くわばらくわばら。

杭州から20キロ程走ったところで、GIANTの自転車に乗った男性に声をかけられた。
もの凄く熱心に話しかけてくれるのだが、中国語なので全く理解ができない。
彼が電話を掛け、英語の話せる友人に電話をして、電話越しでの通訳を介しての会話となった。
名前は徐さん、という方らしい。

話が終わり、「じゃあ」とお別れになったかと思ったのだが、その後も並走することになり、少し進んだところで「ここに寄ってけ!」とジェスチャーを受けたので、徐さんに素直に従うことに。

どうやら彼の家兼事業所だったようで、そこに招いてくれたようだ。
食用の虫を卸しているようで、ガラスケースに展示されている。
中国では高級食材らしく、値段を見たら目玉が飛び出る価格だ。

中国のお茶や、果物を頂いた。
私も何かお返しをしなければと、iPadを使ってアメリカ大陸やヨーロッパでの旅行の写真を見せながら、身振り手振りで説明する。

お別れする時には、袋一杯に果物やビールを持たせてくれた。
徐さんは何度も握手と抱擁をし、目には涙すら浮かべているようで、「中国の人は何て情熱的なのだろう」と思った。

メールアドレスを手渡してお別れしたのだが、この夜、英語で通訳してくれた徐さんの友人からメールがあり、なぜ彼がここまで親切にしてくれたのかが分かった。

「徐さんは若い頃、あなたの様に自転車で中国や日本を旅行したのです。あなたを見て、若い頃を思い出してとても嬉しかったのだと言っていました。」

なるほど、そういうことだったのかと合点がいくと同時に、胸が熱くなるものがあった。

杭州の郊外へ出ても、依然として街は途切れない。
中国はどこでも工事中で、大きなマンションをいくつも建設している。
今でもとんでもない人口を抱える超大国だが、まだまだ住居数が足らないといわんばかりに、どこでも再開発の真っ只中だ。

それでもたまに、こういう古風な街並みが現れたりする。


この町でよく見かけたのが、赤い装飾品のお店。
この提灯のようなものだけを取り扱っており、何に使うものなのだろうか。
お正月を祝う時に、玄関先にでも飾るものなのだろうか?

もっと進んで杭州から離れて完全に田舎になると、運河が生活の一部として欠かせないものになっており、今なお現役で稼働している。
運河沿いに家が並び、運河で洗濯や野菜を洗ったり、手漕ぎ船で移動する人々の姿を見ることができる。

お昼ご飯に定食屋へ立ち寄る。
中国では面白いことに、ショーケースに食材が並べられている定食屋が結構な数である。
客はその食材を指名して調理方法まで注文し、店主はそれに従って調理をするというスタイル。
私は全く注文の仕方がわからないので、適当に相槌を打っていたらホルモン炒めができた。

ただし、こういう店はスタイル上メニューは存在しないので、値段が事前にわからない。
案の定、この店ではぼられて20元(普通の飯屋なら相場は10元くらい)取られたので利用には注意が必要だという勉強になった。

この日100キロ程走り、Shangu quの街に到着。
何はともあれ宿探しだと、80元ほどの宿を見つけて投宿。

ほっと一息ついていると、ドアがノックされ、出てみると公安警察が。
筆談で会話をすると、どうやら「ここは外国人は泊まれないから出て行く必要がある」という。
おいおい、荷物も全部自転車から外して完全にぶちまけてる状態だぞ…
しかし、とにかく出て行く必要があるということで荷物をまとめることに。

そして白バイに先導され、公安警察が指定するホテルへと向かう。
見るからに超高級ホテルに連れていかれ、フロントで値段を聞くと300元(4800円)だという。
いや、そりゃ泊まれんよ…

「ここは泊まれないからこの街から出て行くわ」と警官に告げると、「じゃあどこで寝るんだ?路上か?」と返ってきた。
ん?野宿はオッケーなの?と尋ねると、「大丈夫だよ。暖かい寝袋とか用意はあるのか?寒いから注意しろよ」という。

外国人が泊まれるホテルが制限される理由については、「外国人には中国の良い部分だけを見せたい」という中国共産党の思惑があるからだと言われている。
それなら、野宿という行為はもっとダメだと思うのだが…

結局Shangu quから10キロ程走ったところで運良く竹林を見つけ、そこに突っ込んで中国初野宿。
いやはや、この日はいい出会いもあり、ホテルを追い出される憂目にも会った。
中国の良い面と悪い面を両方体験した1日だった。

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