自転車で行く長野旅行④~乗鞍岳・畳平

乗鞍高原ユースホステル~岐阜・高山駅
8/29~8/30
8/29
前夜にユースホステルのオーナーさんと一緒に確認した天気予報では、この日は雨予報。
いざ蓋を開けてみると、今朝は晴れたり曇りなったり、実に微妙な天気。
「この様子なら、雨は降らないかもしれないけど上っていくに連れてガスっているかも」と、オーナーさんの予想。
「取り合えず畳平を目指して、ガスっていたら戻ってきます」と言い残し、出発することに。
出発してみると、天候を不安に思っていたのが馬鹿らしく思う程に良い天気で、この様子なら問題なく畳平を越えて、岐阜側まで行けそうだ。
ユースホステルから進むこと数キロ、標高を300メートル上げたところに三本滝駐車場が現れた。
一般車両はここが終点で、バスに乗換なければならない。
自転車は通過できるのだが、ゲートには「乗鞍スカイライン 濃霧のため自転車通行止め」の立て看板が出ている。
・・・なんてこった。
ゲート側に立っている看守さんに聞いてみると、峠の頂上である畳平から岐阜側の山腹に掛けて濃霧が発生しているとのこと。
その関係で、岐阜側の乗鞍スカイラインが通行止めになっているらしい。
三本滝の駐車場から畳平まで、長野側の乗鞍エコーラインは通行可能ということなので、畳平までは行くことに。
その前に、この駐車場は名前の通り、三本滝まで通じるトレッキングコースの入り口となっている。
滝まではそこまで距離も無いらしく、折角いい天気なので、トレッキングをしていくことに。
駐車場から歩くこと2、30分で最奥部に到着。
なるほど、名前の通り三本の滝があるのね。
滝には手の届くところまで近づくことができ、そこから飛ぶ飛沫が体中に降り注ぐ。
浴びると涼しさに包まれているようで、夏真っ盛りにいることを忘れられる。
滝の規模は大きくはないのだが、観光客は少ないことと、日本にこんないい場所があったのかという小さな感動があり、とても満足したトレッキングになった。
トレッキングを終え、少し駐車場で休憩してから、今度こそ畳平へと向けて出発。
長野側はこれだけ晴れているのだから、畳平に到着するころには霧も晴れているといいのだが。
前から後ろから、ロードバイクに乗ったサイクリスト達とすれ違い、追い抜かれていく。
車は通行止めだし、景色は良いしでサイクリストには天国の様な道だ。
途中、標高2,300メートル程のところに山小屋があり、ここで昼休憩をしていくことに。
登っている最中に少し出会ったサイクリストの方々とここで合流し、蕎麦を食べて後半戦に備える。
山小屋からは山頂と思わしき所が見えているのだが、やはりガスっているようだ。
山頂まではまだ400メートル標高を上げなければならない。
一時間半くらいの道程だろうと予想を立てて、再び走り出す。
長野側はこんなに晴れているのに、岐阜側があれだけガスるのは、日本海側からの湿った空気がちょうど畳平で止まってしまうからだろうか。
山小屋を越えて少し進むと森林限界を突破したのか、大きな樹が辺りから姿を消した。
背の低い高山植物が植わっているだけで、山肌に通された道がはっきりと見通すことができる。
こんなに良い道が日本にあったなんて…
南米にも劣らない走りごたえのある道で、うるさい車もない。
一大リゾート地に成り得るこの地を、開発せずに自然保護に努める決定をした長野県と岐阜県の政治家達には、尊敬の念を抱かざるをえない。
そして15時半頃、スカイラインの頂上である長野と岐阜の県境に到着。
この看板から数百メートルも進めば、畳平の駐車場だ。
畳平は、長野側の晴天が嘘だったかのように濃霧に包まれ、タイミングによっては数10メートル先に停まっているバスでさえ、見ることができない。
こんな状態だと、岐阜側の乗鞍スカイラインが通行止めになるのは無理もない。
駐車場にはいくつか山小屋と土産屋があるだけだが、多くの登山客がそれぞれを賑わせている。
この駐車場が、自動車ないしは自転車で来られる日本最高標高であり、どの撮影用看板にもそのことが明記している。
標高は2,702メートル。
私に遅れて15分程で、道中の山小屋で蕎麦を一緒に食べたサイクリストの人が到着。
折角なので、一緒に写真を撮ってもらうことに。
彼等はこの駐車場にある山小屋の一つに、今晩は泊って、翌日改めて岐阜側へと下っていくとのこと。
私は乗鞍ユースホステルに「濃霧で岐阜に下れないなら戻ってきます」という約束を付けていたため、来た道を戻って17時半頃にユースホステルに戻った。
戻る道中の長野側はやはり晴天だったのが印象的で、県境が畳平にされているのは、遥か昔からこうして畳平を境に天候ががらりと変わるからなのだろう。
8/30
翌日、バスで畳平まで輪行で向かった。
畳平で自転車を組み立てて、改めて岐阜側を下るつもりだったのだが、この日も濃霧で岐阜側は通行止めとなっていた…。
こうなってしまっては仕方ないので、畳平からゴールである岐阜・高山駅までバスを乗り継いで向い、私の長野自転車旅行は終わりを迎えた。
(走行ルート:乗鞍ユースホステル→三本滝→畳平→岐阜・高山駅)