秒速20メートル〜Tarvik北10kmまで

Alta西5km〜Tarvik北10km
5/26 (736days)

5/26
テントのレインカバーの隙間から陽射しが射し込んで来ているのに、それと同時にカバーを打つ雨の音。
晴れなのに雨。いわゆる狐の嫁入り、というやつですな。

結局、雨が上がるのを待っていたら、10時近くになってしまった。
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出発してすぐに自転車走行不可のトンネルがあり、迂回路を選択することを余儀なくされる。
距離的には3キロ程のロス。

それにしてもこの日は風が強い。
どうも海の方から吹いてくるようで、横風でかなり煽られる。

しばらくして本線に合流。
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迂回路に行かずトンネルを進んでいたら、抜けた後に大きな橋を渡る事になっていた。
この日の強風だと、あの橋の上では突風でかなり危険な状況だっただろうから、そういう自然環境も含めてのトンネル内自転車走行不可だったのかも。
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 本線合流後はフィヨルド沿いに、いくつかトンネルを抜けて進んで行く。
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何個目かのトンネルを抜けた後にベンチ付きのパーキングエリアがあり、景色も良いため昼食休憩にすることに。

ただ、やはり風が強いため、机の上に食料を並べるのにも気を遣いながら・・・ということになる。
基本的に常に風が吹いていたのだが、昼食を食べている間から、その中に一瞬だけ「ビュウッ!」という突風が混ざる様になってきた。

その一瞬の突風が、どんどん強くなってくる。
もちろん食べ物が飛ばされない様に気を付けていたのだが、重たい瓶詰めのジャムが吹っ飛ばされる程になってきた。

突風はますますその勢いを増し、ベンチに立てかけていた自転車が、その突風で横倒しにされる程に。
嘘だろ?総重量60キロ近くになる重さだぞ!?
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早々に休憩を切り上げ、先に進んだのだが、その頃には突風ではなく、その自転車を倒した勢いの風が常に吹き荒れるように。

「風の中での走行なら南米・パタゴニアで嫌という程味わってきたんじゃあっ!」
という自負があったのだが、この日の風はそんなパタゴニアの風すら凌駕してしまった。

しばらくは何とか進んでいたのだが、横から吹く風に押し倒されそうになり、遂には正面から吹く風にまで後ろにひっくり返されそうになり、余りの恐怖に自転車を降りてしまったのだ。

そこからはもう自転車を押して進むことすら困難で、ガードレールをギュッと掴んで自転車と体が吹っ飛ばされないよう、立ち往生を余儀なくされた。

海の方を見ると、風で空中に巻き上げられた海水の飛沫が陽射しを受け、虹のカーテンがそこかしこに舞っている。
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少しだけ風が弱まった間隙を突き、自転車を押してなんとかTarvikという集落に到着。
以前自転車が漕げるような状況ではなく、スーパーマーケットに逃げ込んだ。

Wifiがキャッチできたため、現地気象サイトを確認すると、風速が「秒速20メートル」と出ている。
日本の気象庁の解説によると、秒速20メートルという強さの風は「何かにつかまっていないと立っていられない」程の強さらしい。

そりゃ走れねぇよ・・・。
いや、それどころかこの集落に辿り着いていなかったら、相当危険な状況だったかもしれない。
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スーパーで一時間半程休憩していると、少し風が弱まってきた。
とはいっても、自転車には乗れるレベルにはなっただけで、依然としてかなり強い。
それでも、この集落には野宿できそうな場所がないため、進む事に。
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フィヨルド沿いに景色も良く、天気も良い。
問題は風だけ。
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ドラクエⅢ思い出した。
対岸にあるゾーマの城にいくため、虹の橋を掛けるやつ。
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あぁ、何が悲しくてこんな暴風の中で自転車漕がんといかんのだ。

なぁ。お前もそう思うだろ?
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結局この風に耐えかね、Tarvikから一時間進んだだけで、茂みの中に突っ込んで野宿することに。
樹が密集した場所で、ここなら風もやり過ごせるだろうとの思惑があったのだが、これがズバリ的中。
テントが風で暴れることもなく簡単に設置でき、何とか平穏な夜を過ごすことができた。
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 (走行ルート:Alta西5km→Tarvik北10km)

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