おまけが本番〜Olderfjord西30kmまで

Nordkapp〜Olderfjord西30km
5/24 (734days)
5/24
昨晩はノールカップの敷地内でテントを張らせてもらえたのだが、ノールカップにはペグダウンができるような柔らかい地面がない。
そこら辺にたくさん転がっていたブロックを積み上げ、そこにロープとペグを噛ませて無理矢理テントを設営。
ただ、このブロックも吹き飛ばされる程の強風が昨晩は吹き荒れていた。
一応こういう工夫で、非自立式テントでもペグダウンできない場所で設営できるのだが、やはり不便なことに代わりはない。
こういうところが、自転車旅行者にとって自立式テントが圧倒的に支持されている理由だろう。
さて、ノールカップは確かにヨーロッパ走行における一区切りではあったのだが、ここがゴールではない。
シェンゲン協定域内の滞在許可日数は、残り28日。
まだ一ヶ月弱あるので、もう少しヨーロッパを楽しみたい。
そんな訳で、ノールカップに到達少し前からその後のルートを検討していたのだが、まずはロフォーテン諸島を走る事にした。
ロフォーテン諸島はノルウェー北西に位置しており、氷河によって削られたフィヨルドがギザギザ状に島の先端まで続いており、海沿いに雄大な自然を見ながら進む事ができる・・・
と、ヨーロッパサイクリストから、南米にいる間から教えてもらっていた。
どちらかと言うと、当初からノールカップよりかはロフォーテン諸島を走ることを楽しみにしていたので、ここからのおまけ走行の方が、ヨーロッパ走行における本番だと言えるのだ。
ノールカップからロフォーテン諸島の終着の街・Å(オー)までは1,000キロちょっと。
大体10日程度の走行になるだろう。
残りの滞在許可日数からして、余裕を持って走ることができる。
そうと決まれば、すぐにノールカップを出発し、来た道を100キロ程戻って、分岐のあった集落まで戻らなければならない。
ただ、もうあの長い海底トンネルは通りたくない。
幸い、ノールカップにはたくさんのキャンピングカーが泊まっている。
自転車を積み込むための設備を持っている車がほとんどであり、運搬は容易のはず。
ということで、ここはヒッチハイクでこの100キロを飛ばすことにした。
早速、休憩所内にいる人に声を掛けてみる。
すんなりと2組目で乗せてくれるというカップルが見つかり、我ながら「出来過ぎだな」と思いつつ、彼等と一緒に駐車場へ向かう。
しかし、いざ見てみると彼等の車はキャンピングカーではなくセダンの乗用車であり、トランクから後部座席からびっしりと隙間無くキャンプ用品が積み込まれている。
とても荷物満載の自転車が入り込む余地はない様に見える。
何とかスペースを作ろうと四苦八苦してくれている姿を見て、申し訳なくなり「ごめん、他の人を探すよ」と私が言うと、「いやいや、やってみないと分からないから」という。
実際、かなり無理をしてスペースを空けてくれ、自転車を積む事ができた。
しかも、当然私は後部座席側の狭いスペースに乗り入れるつもりだったのだが、彼女の方が「助手席に乗ってくれ」といって聞かない。
代わりに彼女が狭いスペースに体を滑り込ませ、私を助手席に乗せた車はその後、100キロの道程を1時間半程で走り、無事分岐点のある集落に戻ってくることができた。
彼等はウクライナからレンタカーで旅行に来て、ヨーロッパをキャンプしながら回っているとのこと。
「ぜひコーヒーでも奢らせてくれ」と言ったのだが、この日はこれから晩ご飯の魚を釣るための漁場を探さないといけない・・・ということで、荷物を積み込み直した後、すぐに去って行った。
どうもありがとうございました。
分岐の集落に到着した時点で13時半。
車で一日分はすっ飛ばすことができたんだし、カフェでゆっくりするか・・・
コーヒーを飲みつつ、ネットで遊んでいたらもう15時。
本当にネットで時間浪費する癖、直さないとなぁ。
重い腰を上げ、ようやくこの日初めてペダルを回す。
あ、すぐに雨降ってきやがった・・・嫌だなぁ。
休息ばっちり取ったのに、ダラダラした上りと雨のせいで、全くペースが伸びない。
その上、この日はとても寒い。
昨日から寒気が流れ込んでいるのか、ノールカップも到着した時点では3℃しかなかった。
この日もそれくらいの気温だろう。
川沿いに進んでいるのだが、テントを張れる場所が全然見つからない。
結局、いまいちペースを伸ばせないまま18時半まで走り、ようやく路肩に少しだけ死角になるような空き地を発見。
早速テントを立てようとしたのだが、
「バキッ」
「あっ」
ガソリンストーブの次は、テントに受難が。
ポールが折れてしまった。
以前からテンションが掛かった時に「キンキン」という、嫌な音は聞こえていたので予感はしていたので、大きな驚きは無かったが・・・さすがに困る。
5年使用の中古品だったので、まぁ寿命か・・・。
ガソリンストーブは最悪壊れても何とか凌げるのだが、テントは死活問題だ。
手持ちの装備で何とかするしかない。
バッグをひっくり返して工具箱を取り出し、針金とテープでぐるぐる巻きにする。
これで何とか持ちこたえて欲しいのだが・・・。
ロフォーテン諸島までの道程は、どうやら簡単ではなさそうだ。
(走行ルート:Nordkapp→Olderfjord西30km)