徐々に良くなる風景~Lakselv北24まで

Karigasniemi北西5km~Lakselv北24km
5/21 (731days)
5/21
昨日の夕方から夜に掛けて降り続けていた雨だが、この日起きてみると快晴。
雨が降っていると当然走る気が削がれる訳だが、ヨーロッパでは雨が降ると気温がガクッと下がる。
晴れていると日中25℃前後の気温が、雨が降ると5℃前後にまで落ちてしまう。
気分が削がれるどころか、目覚めた時に雨だと、走る気力は皆無になる。
中途半端に曇り空でも、「あぁ、これ出発したら雨降られるんじゃないかなぁ」なんて事を思ってしまい、テントから出られなくなってしまう。
そんな訳で、朝起きてテントのファスナーを開けて、この日の様に気持ちいいくらいの快晴だと、思わずニンマリしてしまうくらい上機嫌になる私。
野宿した場所
から程なくして集落があり、その規模に似つかわしくない立派なツーリストインフォメーションがあった。
カフェも併設していたため、水を補充させてもらおうと思ったが、ドアが施錠されている。
おかしい、ドアには9時開店とあり、今はもう9時半になっているのに・・・。
翌日に気付くことになるのだが、ノルウェー入国時点で時差が発生しており、フィンランドより1時間遅い。
東西の横移動が大きくあったわけでもなく、自分としてはただただ北へ向かって進んでいるつもりだったので、時差が発生しているなんて思ってもいなかった。
そしてこの集落からだらーっとした長い上りが始まる。
この日は開けた景色で、先の方までその上りが続いているのがはっきり分かる。うげーっ。
あれだけ快晴だった空が、気付いた頃には灰色の雲に覆われ、遂には上り坂の途中で雨が降って来た。
朝はニンマリ戎顔だった私も、流石に雨と上り坂の組み合わせには般若顔になる。
雨も勢いを増す一方で、たまらなくなり路肩で自転車を止め、濡れない様にその上からカバーを掛け、私もその下に潜り込んで雨宿りをする。
結構長い時間雨宿りすることになり、ついでに昼食もカバーの下で済ませてしまう。
が、流石にカバーだけだと横風が吹けば全く意味がないので、雨は依然降っているけど昼食終わりにすぐ進むことに。
Stockholmで買った冬用手袋は完全防水ではないため、長時間雨に打たれるとじんわり中まで染みてきてしまう。
ちょうどこの時食パンを食べきったため、空になった袋を手袋に巻き付けて出発する。
上り坂はその後もじわーっと続き、手元の高度計で400メートルくらいまで上って来た。
ドイツから走ってきてフィンランドまで、多少のアップダウンはあったものの、最大高度はせいぜい200メートルちょっとだったと思う。
ノルウェーはスカンジナビア山脈が北から南までずっと走っているため、峠越えが多くなりそうだ。
上りもピークに達した所で、視界が開けた良い景色が目の前に広がる。
天気もちょうど良くなったタイミングで、気持ちが良い。
少し雪を被った山々に、その麓を流れる川、青空。
自転車走行という点では、初めて「ヨーロッパに来て良かったな」と思った瞬間かもしれない。
下り坂に転じてからも良い景色は続く。
ノルウェーはこういうよく分からない広告が設置されていることが多い。
多分、速度超過を諫めるものだとは思うのだけれど。
中には男女が抱き合ったりしている広告があったりして、それなんかは全く意味が分からない。
下り切った後はアップダウンが続き、87キロ走ってLakselvに到着。
Nordkappまで200キロを切った。
Lakselvに着いた時点で17時40分。
集落内にテントを張れそうな森がなかったため、コンビニで水だけもらい、先へ進むことに。
Lakselvからはフィヨルド(氷河によって形成された入り江・湾)に沿って進むことになる。
景色は良くて走っていて楽しいのだが、右手は海、左手は急斜面の山肌というのがずっと続き、テントを張れそうな場所が見つからず、流石に焦り始める私。
結局Lakselvから進むこと25キロ、路肩にギリギリテントを張れそうな死角を見つけ、そこに自転車を突っ込む。
前の記事で「自転車旅行で頑張って走るなんて馬鹿らしい」とは書いたけれども、この日は強制的に頑張らされたな。
景色が良かったから良しとしようか。
(走行ルート:Karigasniemi北西5km→Lakselv北24キロ)