PATAGONIA~San Sebastian南東5kmまで

Porvenir東75km~San Sebastian南東5km
3/10 (659days)
3/10
6時半起床。
雲は少しあるが、晴れている。
それでも夜中は相当に冷え込んでいたのだろう、テントが凍り付いている。
テントを干して乾かしてから出発。
平原以外に何もない、退屈な道を進んで行く。
進んで行くと・・・平原の中にポツンと一つだけ、何かがある。
風に強く煽られ、枝、葉、幹全てが大きく傾いた樹。
平原の中に、一本だけが取り残された様に立っている。
いつだっただろうか、確か高校生か大学生の頃だと思うのだが、世界の風景に関する写真集を見た時、「アルゼンチン・パタゴニア地方」と注釈の付いた写真が掲載されていた。
それが、「風に傾けられた一本の樹」だった。
ペリト・モレノ氷河、フィッツロイ、トーレス・デルパイネ。
パタゴニアといえば、美しい氷河や山に囲まれた大自然を思い浮かべる人が多いだろう。
私にとっては、この風に傾けられた樹こそが、「パタゴニアの象徴」だった。
パタゴニアとは年中暴風が吹き荒れ、不毛の大地なのだと想像し、「いつかあそこに行ってみたい」と、時折その写真の事を思い出しては願ったものである。
有名な氷河や山の事などは、それから随分と時が経ってから知った。
フィッツロイがパタゴニアにあること等は、むしろこの旅行に出てから知ったくらいだ。
この樹を見つけた時の高揚感、何とも言えないムズムズした感覚。
写真を見て何年も経っていても、やはり私にとってのパタゴニアとは、この風景なんだな。
さて、樹を通り過ぎ、テントを張った場所から25キロ進んだところで十字路に当たる。
この十字路に、前日到着予定だった例の小屋がぽつんと建っている。
入り口には「Casa de Ciclista, Pase! (サイクリストの小屋。入って!)」という落書きがある。
入り口に手を掛ける前に扉が開いてびっくりしたのだが、中には既に一人、チリ人の自転車旅行者がいて、彼が開けてくれたのだった。
彼は昨晩ここに泊ったらしい。
壁は自転車旅行者達の残した落書きで隙間なく埋まっている。
到着した時点で11時頃。
昼休憩にもまだ早いため、見学だけしてさっさと出発しようと思っていたのだが、小屋に入った途端に大粒の雨が降り出した。
いやぁ、この小屋がなかったらずぶ濡れになっていただろうから、運が良かった。
これもこの小屋のご加護か。
結局、この小屋で昼食休憩を取る事に。
雨が止んだタイミングで小屋を抜け出し、出発したのだが・・・
結局平原のど真ん中、非難する場所もない場所でまた降ってきてびしょ濡れになった。
小屋から50キロ程走り、チリのイミグレーションに到着。
フエゴ島は面白い事に、チリとアルゼンチンが領土を半分ずつに分けていて、北西部分がチリ、南東部分がアルゼンチンという感じになっている。
チリに戻ってくることはもうないので、イミグレーションもこれで見納め。
アルゼンチン側に入ると未舗装路になり、雨で濡れている上にガタガタ道でストレスが溜まる。
その分、野生動物との距離が近かったりはするのだけど。
チリのイミグレーションから走ること10キロ程で、アルゼンチン側のイミグレーションに到着。
処理自体はすぐに済んだのだが、何故か手荷物検査をされる。
不思議なのは手荷物だけで、自転車のバッグは全く見なかったんだが、この検査意味あるのか?
ここがフエゴ島の東海岸沿い。
San Sebastianからは大西洋が一面に広がるのが見える。
San Sebastianはレストラン兼ホテルとガソリンスタンドしかない。
雨を凌げる場所を探しながら、先へと進むことに。
ラッキーなことに、僅か5キロ程進んだところ、道の下に用水路があり、テントを張れるくらいのスペースがある。
ということで、ここで野宿をすることに。
私の野宿センサーも、南米終了が近づくにつれて極まって来た感があるな。
自転車旅行でしか役立たないスキルだけど。
(
走行ルート:Porvenir東75km→San Sebastian南東5km)