鉄風鋭くなって~La Esperanza西94kmまで

La Esperanza~La Esperanza西94km
3/3 (652days)

3/3
先へと進む前にLa Esperanzaに戻り、ガソリンスタンドで水を補充してから走り始める。
この日は西へと向かって進んで行くため朝から向かい風を覚悟していたのだが、予想に反してほぼ無風。
これはツイてるな。
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・・・と思っていたら、しばらくして思いっきり雨に降られた。

この日の冷え込みは厳しく、吐く息は白い。
雨は冷たく、そして強く容赦なく降ってくる。

あまりにも寒いため、雨合羽の下にはフリースとウィンドブレーカーまで着込んで走る。
自転車で走っている間、ここまで着込んで走る事は初めてだ。

お昼頃にようやく雨は止み、止むと同時に太陽が出てきた。
パタゴニア地域は、天候が文字通り「あっ」というまに変わる。

見渡す限り雲一つない快晴だったはずが、雲がその場で急に自然発生したとしか思えない程、急に頭上が灰色の雲で覆われたりする。
IMGP4735
晴れ出したけど、この日はそれでもまだ涼しさを感じる。
パタゴニアはもう短い夏を終え、秋に差し掛かろうとしているのだろうか。
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その後も風景の変わらないフラットな道を走り続け・・・
IMGP4740
分岐点に到着。
ここが、前日に風にビビッて通らなかった正規ルートとの合流地点。

この分岐にはガソリンスタンドと交番と思われる建物しかないのだが、ガソリンスタンドの窓にはびっしりとバイカーや自転車旅行者のステッカーが貼られている。
IMGP4742
このガソリンスタンドの時点で17時。
ここでテントを張らせてもらえないかお願いするか迷ったのだが、時間的にはまだまだ余裕で走れる。
飛行機のチケットももう押さえてしまったし、ここからは進める時にできるだけ進みたい。

というわけで進むことに。
IMGP4746
少しして風が吹き始めた・・・向かいから・・・
瞬く間に、風は暴風へと変わり、牙を剥く。

今思い返してみると、この日の風が私がパタゴニアで経験した中で、最も強かった。
これまでの652日間、風を理由に自転車を降りて押したことなんて、一度もない。

自転車が、体ごと倒されるなんて。

こんなにも風景はのどかなのに。
写真で見るこの風景は、静寂のイメージそのものなのに。
実際には、耳をつんざく暴風吹き荒れる世界だなんて。

進めない。
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それでも何とか自転車を降りて押して、漕いでを繰り返し、二時間かけて4キロ進んだ所・・・
道路脇に建物が見えた。

廃ホテルだ。
地獄に仏。
考えるまでもない、倒れかけたフェンスを乗り越えて、自転車ごと入り口へ乗り入れる。
IMGP4749
中には既に3人のヨーロピアンサイクリストが避難していた。
こういう時にさらっと「ようこそ、ホステル・サイクリストへ!事前予約はされておりましたか?」とジョークを言えるのが、いかにも欧米人らしい。

「予約はしてません。朝食サービスもシャワーも、ベッドもいりません。ただ、風除けの壁のサービスはありますか・・・?」
この暴風の中でもそんな返しができるようになれれば、私も格好が付くんだけどなぁ。
IMGP4747
(走行ルート:La Esperanzaに→La Esperanza西94km)

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