街道の終着~Villa O’Higginsまで

Rio Bravo~Villa O’Higgins
2/21 ~2/23(642~644days)
2/21
フェリーの小屋で迎える朝。
明朝に大粒の雨が天井を叩く音で目を覚ましたのだが、その雨も徐々に落ち着いた。
雲の隙間から射し込む陽射しが、まるで薄いカーテンの様に見える。
アウストラル街道上、最後の町であるVilla O’Higginsまでは残り100キロ程。
2日間でたどり着けるだろう、くらいに考えて出発する。
最初は平坦な道が続いていたのだが、峠に差し掛かって上りが始まったことに加え、雨が降り出した。
しかも大降りで。
最後の最後で、全く持ってないな、私は・・・。
びしょ濡れになりながらの峠越えになるなら、もう少し待合室でダラダラしていればよかった。
午前中だけで峠を3つ程越えたのだが、この3つそれぞれが小粒ながら中々にしんどい。
道の状態も悪く、穴だらけの上、雨に濡れた地面はかなり滑りやすい。
未舗装路で雨ならば、下りではブレーキを掛け過ぎるとスリップしてしまい、逆に危険である。
ブレーキを掛けずにそのまま下ってしまう方が安全だったりするのだが、スピードに乗った状態で下りの先に穴があるとか、殺しに掛かっているとしか思えない。
はいはい、上りますよ。上ればいいんでしょうよ。
3つ目の峠を越えて湿地帯に入り、ようやく道も平坦になってくれた。
途中からは雨も上がってくれ、多少は落ち着いて走る事ができた。
曇っていてよく見えないのだが、どうやら周りは氷河を纏った山に囲まれているらしい。
氷河からは無数の筋が伸び、それぞれが私が今走っている道路を横切り、力強い滝となって湖に流れ込んでいく。
大きい滝ばかりではない。
どんなに小さな雫も逃さないと、この道の上で乾いた岩壁は存在せず、水で滴っている。
雄大な自然を誇るこのパタゴニア地方にあっても、「どんな小さなものも無駄にはしない」という、自然のしたたかさと力強さを垣間見た。
出発した時には2日掛かるかな?と思っていたVilla O’Higginsまでの道程だが、道中に野宿できるような場所がなく、結局走り切ってしまうことに。
そして19時半、無事到着。
このVilla O’Higginsから南に8キロ走った所が、アウストラル街道の終着点となる。
実質的には、この町でアウストラル街道は終わり。
ここより先は湖によって道が分断されているため、それを越えるためにまたフェリーに乗る必要がある。
そして、その湖を越えて少し走った先には、アルゼンチン国境が待ち構えている。
この湖を越えてからのチリ-アルゼンチン国境越えが「世界で最も美しく、最も過酷な国境越え」と言われているらしい。
道と言うか、森林の中のトレッキングコースを抜けていくようだが。
Villa O’Higginsに到着してすぐ、町の中にあるフェリー会社のオフィスに向かったのだが、「次のフェリーは3日後だよ」とのこと。
しばらくこの何もないVilla O’Higginsの町で強制的に休養させられることになった。
とはいえ何もない町なので、自分の食べたいものを料理以外、ほとんどネットで遊んでいただけだったけど。
卵とじ。
クリームシチュー。
自転車の清掃もしたけど、堕落した2日間でした。
(走行ルート:Rio Bravo→Villa O’Higgins)