何とかなった~Santa Lucia南4kmまで

Chaiten南20km~Santa Lucia南4km
2/6 (627days)
アウストラル街道ではよく雨が降る、というのはサイクリストの間では周知の事実であり、当然覚悟もしていたのだが、いざ降られると本当にテンションが下がる。
しかもこの日はボートに果たして乗れるのか、未知数のまま進んでいる。
乗れなかった場合、この雨の中来た道を40キロ走ってChaitenへ逆戻り。
雨天走行の低テンション+ボートに乗れなかったテンションの落差から算出するに、Chaitenに戻るのに3~4日は必要になるな。
雨合羽をバッグから引っ張り出しての雨天走行は、コロンビア以来半年振りくらいか?
しっかりとした記憶がないのだが、「南米で雨に降られるなんて当然ないと思っていた」と油断していたくらいには平和ボケしていた。
多分覚えていないだけで、どこかで着ていた気もするけど。
20km走り、ボート乗り場があるPuerto Cardenasに到着。
ボート6艇程停泊しているが、確かに小さい。
その内の2艇が、まだ自転車をギリギリ載せられる大きさか・・・といったところ。
ボートは出発準備をしているようで、乗組員が何名か作業をしていた。
その人たちに「自転車は載せられる?」と聞くと、「Si, un momento(大丈夫だよ、ちょっと待ってね)」とのこと。
よかった、やっぱり来てよかった・・・。
出航を待つ間、アメリカからメキシコに入国する時のことを思い出していた。
メキシコに入国すると言うと、多くのアメリカ人が顔を引きつらせて「メキシコは危険だぞ」と忠告してきた。
そう言う人たちに「メキシコに行ったことあるの?」と聞くと、ほとんどの人が「無い」と答えた。
いざメキシコに入ってみると、危険どころか皆親切で、面白い場所が多く、ご飯もとても美味しかった。
今では、メキシコは私が最も好きな国の一つになっている。
今回のフェリーにしても、このボート乗り場に来るまで誰一人「自転車を載せられるよ」と言わなかった。
でも、実際には載せることができる。
ほとんどの人が自転車と一緒にこのボートに乗る事なんてないのだから、「知らないだけ」なのだろう。
結局、行ってみないと、やってみないと、分からないもんなのだ。
結果はどちらに転がるかは分からないけれども。悪い方に転がることだってあるだろう。
今回は、良い方に転がってくれた。
ボートは9時ちょうどに出航。
乗ったボートはやはり小さく、船尾に自転車が2台程置けるスペースがある程度。
自転車は紐でくくられることもなく、手すりにもたれさせているだけなのだが、ボートの速度はかなり出ている。
結構冷や冷やしながら、上下する窓の外の風景を眺めていた。
約一時間後、無事湖南のボート乗り場に到着。
上陸地点はアウストラル街道から外れた脇道にあるため、12キロ程西進することで本線に合流できる。
しかし、走り始めて間もなく、フェリーに乗っていた間は止んでいた雨がまた振り出し、徐々に強さを増してきた。
フェリーに1時間乗っていたこともあって、既に筋肉は熱を失っており、更にそこから雨に濡れた体は体温を急激に奪われ、震えるような寒さになってきた。
堪らなくなり、たまたま見つけることができたバス停に逃げ込み、雨を凌ぐ。
あまりにも寒くて、フリースを着こんで、更にガソリンストーブまで引っ張り出してお茶まで淹れる始末。
結局一時間半ほど待ち、雨が落ち着いて青空が垣間見えるくらいには回復したため出発する。
ものの10分でまた土砂降りに。
道も未舗装路のアップダウンが続いて、正直かなりしんどい。
で、ボート乗り場から12キロ走り、無事アウストラル街道本線に合流。
ちょうど件の土砂災害に巻き込まれたSanta Luciaの集落の南側に出て来たのだが、その余りの被害の大きさと、全く復旧していない現状にしばしば呆然とする。
この惨状を見て、「自分のエゴを通すために無理をしてここにやってきた自転車旅行者を、ここに住む人達はどう思うだろう」と、申し訳なく思った。
本線に合流してからも雨は全く止む気配がない。
雨天走行の中でここまでずぶ濡れになってしまえば、小休止という選択肢は非常に悪手。
ただでさえ冷えた体が更に芯まで冷え、風邪を引きかねない。
であるからして、採れる選択肢は2つ。
走り続けるか、すぐさま走行終了して寝床を確保するか。
というわけで、Santa Luciaから南に4キロ進んだ所にキャンプ場を発見したため、そこに逃げ込む。
全くの無人で受け付けもなく、門も閉じていたのだがこの状況では四の五の言ってられん。
屋根も無いけれども、樹があるだけまだマシだ。
前記事でキャンプ場には泊まらないって言ってたって?
もちろん泊まりたくないけど、緊急時はそりゃ別です。
ちなみにシャワー、キッチン、Wifi付きキャンプ場はバンバン使っていきます。
14時くらいにこのキャンプ場に着いてからは、ひたすらテントの中でじーっと座り込んでいた。
夕方過ぎにようやく人が着て、無事2,000ペソ(約400円)の料金も払えたけど、明日はこの雨止んでくれるんかいな・・・。
(走行ルート:Chaiten南20km→Santa Lucia南4km)