最後のアンデス越えへ～Potrerillos北16kmまで

Mendoza～Potrerillos北16km
1/12 （602days）

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Mendozaでは結局ガソリンストーブを入手できなかったため、チリの首都・Santiagoまではひもじい食生活が続くことが確実となった。
出発前にチョリソーを焼き、お弁当にしてから3泊したMendozaのホステルを発つ。

MendozaからSantiagoまでの距離は約300キロ。
Santiagoへ向かう前に、素通りして更に西へと進み、沿岸にある街Vina del Marへと向かう。
そのため、実際には400キロ以上走る事になる。

流石にワインの名産地・Mendoza。
出発すると道の左右にブドウ畑がずらっと続いている。
大都市だけあって、今まで通過して来た街にあったブドウ畑とは規模が違う。

Mendozaから走る事30キロ、分岐を西に折れて7号線へと入る。
路肩は無く、あったとしても砂利に覆われているため車道を走るのだが、アンデス山脈を越える峠に向かう道にしては、交通量が異常に多い。
この道が、アルゼンチンとチリを結ぶ数ある道路の中でもメインとなる物なのだろうか。

傍を通り過ぎていく車の発するゴォーっという音が非常に鬱陶しく、風景は良いのにこの道の魅力を半減させてしまっている。

高度計にふと目をやると、針は標高1500メートルを指している。Mendozaの標高は700メートル。
Mendozaを出発してから思ったよりもペースが上がらず、「170キロ激走の反動か？」と思ったのだが、何てことは無い、フラットに見えていた道は地味に上り坂だった。

標高1500メートルをピークに道は短い下り坂に入り、その底にパステルカラーの湖が。

アルゼンチンは国土が広く、道の分岐がほとんどない。
それに加え、シエスタ文化のせいで集落のレストランで休憩することなど鼻から諦めているため、昼休憩などはもっぱら適当な路肩に止めてパンやフルーツを食べるだけになっている。
そんなわけで、わざわざ地図を広げて道や集落の場所を確認することなど滅多にしない。

このパステルカラーの湖自体は、はっきり言って特別に綺麗なわけではない。
ただ、地図を見ていれば「あぁ、そろそろ湖が見えてくるんだろうな」とかが予想できるのだが、この湖の存在は上述の理由で全く予期していなかったのであり、下り坂の先に突如現れたため、意外性というスパイスが加わり、印象に残っている。

この湖の畔にPotrerillosという集落があり、到着した時間は17時頃。
走行を終了するのにちょうどいい時間であり、キャンプ場もあるということで行ってみたのだが、テント泊が何と260ペソ（約1300円）という思わず「ふざけるなよ」と言ってやりたくなる暴利。

・・・と、その時は思ったのだけれども、今改めて文章にして起こしていると「あぁ、アメリカやカナダだったらあり得た値段であり、そこまで目くじら立てる程でもないか」と思った。
南米の物価が余りにも安かったため、出費するか否か、という自分の中の判断が相当にシビア、というかケチ臭くなっている気がする。

まぁ、ただのテント泊にこんな値段はいずれにせよ払わないけど。

というわけで、Potrerillosでの宿泊は諦め、先へと進むことに。

・・・したのだけれども、午前中はあれだけ良かった天気が嘘の様に、頭上には「早くお前の頭上に雨水垂らしてやりたいぜ、へっへっへ」という悪ーい顔をした雨雲さんが。

Potrerillosを出た時は「野宿場所なんかすぐ見つかるだろう」と思っていたのだが、先へ進むと渓谷の中に道が通るようになった。
そうなると道の左右はすぐ山肌なのであり、とてもテントを張れる死角などない。
かつ、今のように雨が降りそうな状況なら、雨除けの屋根は絶対に欲しい。
そんな好条件の場所はとてもじゃないがこの道では見つかるはずもなく。