有馬記念出場馬控室~Quebrada Carachiまで

San Antonio de los Cobres~Quebrda de Carachi
12/19 (578days)
12/19
朝。ホテルのテレビに映るのは市民と警官隊の衝突の映像で、市民は火炎瓶を、警官隊は実弾ではないだろうがライフル銃のようなものを打ち込んでいる。
デモとかそんな規模ではなく、ほとんど「こりゃ戦争かクーデターか?」という程大規模のように見受けられる。
ホテルの人に「このニュースってどこのこと?」と聞くと、「ブエノスアイレス(アルゼンチンの首都)よ」とのこと。
おいおいマジかよ・・・。
ブエノスアイレスが世界的にも犯罪率が高く、危険な首都であるというのは有名ではあるのだが、まさかここまでヤバそうな状況とは思ってもいなかった。
前々日にお世話になったOlacapatoの病院の人は親切だったし、ここCobresの町も穏やかそのもので、テレビに映るのが同じ国での事とは思えない程、ギャップがある。
まぁ、ブエノスアイレスに寄る予定はないためこの騒乱に巻き込まれることはないだろうが、少し気は引き締めた方がよさそうだ。
昨晩食べたチョリソーが美味しかったため、肉屋でこの日の晩御飯分を買い足して出発する。
アルゼンチンのチョリソーは、焼くと油と匂いが凄く出て掃除が大変なのだが、それを差し引いても美味しい。
ジャンキーな感じが堪らない。
さぁ、出発しますか。
Cobresを出ると早々に上り坂が始まり、今にも雨が降りそうな曇り空の下、息を切らせて進んで行く。
ちなみにCobres以降は完全にアスファルト舗装に変わったのだが、上り坂となると正直アスファルト舗装だろうが未舗装路だろうが、そこまで時速は変わらない。
大きく変わるのは、ストレス無く走れるか否か、というところ。
峠のピークは標高4,080メートル。
前の方には谷の間を通り、ずっと下っていく道が見えている。
ちょうどこのピークに大きな路側帯があったため、昼食休憩。
昼飯を食い終わったら、さぁ下り。
私が山間部走行が好きな理由の一つが、このダウンヒルの存在だろう。
チマチマ小さなアップダウンを繰り返すよりも、一つ大きな峠をガーッと上り切り、ガーッと下る。
普段重たい荷物を積んでせこせことペダルを漕いでいる側としては、少しのハンドル操作だけでスピードに乗れる下り坂は、至高の幸せと言っても過言ではない。
この道は楽なだけじゃなく、風景も良くて楽しかった。
途中山肌にびっしりとサボテンが生えているのを見た時は、思わず「うわーっ」と声が漏れる程。
気持ちよく下っていたのだが、途中からあり得ないレベルの逆風が吹き出した。
気持ちよくない。全く持って気持ちよくない。
というわけで、この日は早々に走行を切り上げ、廃屋に逃げ込んでテントを張ることにした。
テントを張った後、濱さんとお互いテントの中に籠って時間を潰していたのだが、急にドドドッという音が外から聞こえて来た。
「あちゃー、廃屋かと思ってたけど、まだ人が住んでるか・・・」と思い顔を出すと、そこには大量の馬が。
元々ここの農家が飼っていたのが、廃屋となると同時に野生化したのだろうか。
一度にこんな大量の馬を見たことなど今まで無かったので、正直かなり怖い。
馬は馬で、少しでも近づくとドタドタっと逃げていくのだが、それでも怖い。
テントの外で夜通しドタドタうるさいのは何tかなりませんかね。
(走行ルート:San Antonio de los Cobres→Quebrada Carachi)