飛びます、飛びます。~San Pedro de Atacamaまで・宝石の道最終日

Laguna Blanca~San Pedro de Atacama
12/10~12/13 (569~572days)

12/10

前日の内に、ホテルに朝食を頼んでおいたのだが、10BSでパンケーキが一人3つずつとジャムしか出ず、宝石の道最終日は腹持ちに不安を抱えてのスタート。
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走れはするものの、やはり砂でタイヤが取られて降りて押さざるを得ない区間がある。
最後までサービス精神旺盛なボリビア。

それでもほとんどの区間は乗れるし、自転車を押したときに感じる重量は、この道に突入した頃から比べて段違いに軽い。
Uyuniであれだけ食料を買い込んで、サイドバックにも入りきらないくらいにパンパンだったのが、今は僅かな缶詰を残してキレイさっぱり、ゼロ。
何だか、「あぁ、本当に走り切ったんだな」という感慨が湧いてくる。

ホテルから走る事6キロ、ボリビア側のイミグレーションオフィスに到着。
オフィスの周りには、これから宝石の道をツアーで回るのであろう4WDだらけ。
この道って自転車旅行者にだけ有名なんじゃなくて、そんなにツアーで来たい人が多いに程名が知れてたの?

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オフィスに入ると2人職員がいて、自転車で来た私と濱さんを見てか、割と友好な態度を見せている。
と、私たちがパスポートを出すと、そのまま笑顔で「出国税15BSね」と言ってきた。

聞かなかった振りをして、まず濱さんがパスポートを職員に渡し、出国スタンプをあっさりもらった。

(お、スタンプさえもらえばこっちの物だ・・・)
そう思い、私もしれっとパスポートを出し、黙って眺めていたのだが、スタンプを押すか!と思われた職員の手が寸前で止まり、「15BSね。」と再度言ってきた。
(あと一息だったのに!)

そもそも、15BSも何も、昨夜泊まったホテルでボリビア通貨はキレイさっぱり使い切ってしまったため、一文も持っていない。
ここまでの流れだと、私が出国税を払わない不届き物だと思われるだろうが、ちょっと待ってもらいたい。
ボリビア出国に当たって、出国税と公式に存在しているか否かはグレーゾーンなのだ。

過去にもやはり、この国境を越える際、出国税を取られたという日本人自転車旅行者がいたというのは、事前の調べで分かっていた。
が、同様に払わずに通過した旅行者も多数いる。

色んな情報をネットで収集したが、出国税が必要だとする情報の方が少なく、また公式にも出てこない。
払ったという情報も、要求されたのは5BSだったり25BSだったりと、一定していない。かなりきな臭い。

私は「小遣い稼ぎだろう」と判断し、宝石の道に突入していた。
というか、要求されるとも思っていなかった。

それが、しっかりと要求されてしまった。
とりあえず、「他の旅行者は払ったなんて言ってなかったけど?」と言ってみた。

すると職員は、紙を一枚、目の前に突きつけて来た。
一瞥したに過ぎないが、どうやら政府のお触れ的な書面らしく、15BSほにゃららと書いてある。
最後に偉い人の物なのか、サインまで。

流石に書面を出された時はマジなのかな?と思ったが、この時点でもフェイクを疑っていたため、「Que es esta?(何、これ?)」と言ってみた。
それを聞いた職員は、ふぅっとため息をつき、私のパスポートにスタンプを押し、手で払う仕草をして退室を促した。

・・・まぁ、こんな僻地に飛ばされて小遣い稼ぎたい心境も分からんではないよ。

社会人時代、電車が1時間に一本、お昼時間時は本数ゼロになる群馬県某市に飛ばされた時は、私も「手当くらいくれよ・・・」という心境だった。

何はともあれ、無事にチリ入国。
とは言っても、チリ側のイミグレーションはここにはなく、50キロ強進んだ所にあるSan Pedro de Atacamaまで行き、処理をしなければならない。

看板は立っていて、ここからはチリだという区切りは一応ここからなされている。
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そして、この看板を境にくっきりと両国の力関係がはっきりと分かる事象が。
先に延びる道が、チリ側は綺麗に舗装されたアスファルト舗装になったのだ。
Uyuniから未舗装路の深い砂地を走る事13日間、流石にこの変化には感動すら覚えた。
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イミグレーションからは上り坂なのだが、それが気にならない程にスムーズに進んで行く。
やっぱり、フル装備の自転車はアスファルトで走るもんだな。
ヨーロピアン程軽装のスタイルなら未舗装路でもいいかもしれないけど、日本人サイクリストは不思議な事に皆重装備だし。

未舗装路走行は楽しいから個人的に好きなのだけれども、この時は流石に名残惜しさを微塵も感じず、ただただ快適さに感動していた。
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イミグレーションから走る事12キロ、標高を200メートル上げた所でT字路にぶつかり、そこからは一気にSan Pedro de Atacamaまで下っていく。
その標高差なんと2000メートル以上。

ペダルを漕がなくても一気に加速して時速60キロにも到達する程。
目の前には遮蔽物がなく、2000メートル下に広大な砂漠が広がっている。
曲がりもあまりないほとんど直線に近い道路はまるで滑走路のようで、「まるで空を飛んでいるかのようだ」と思った程、気持ちが良い。
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下っている中、宝石の道上でみたLicancabur(リカンカブール山)が私の背後でだんだん遠くなっていく。
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で、San Pedro de Atacamaに無事到着。
50キロ程を2時間くらいで駆け下りたもんで、これまでの時速5キロくらいの世界との落差が凄い。

チリは入国審査が厳しく、スタンプはあっさりくれたのだが、自転車の荷物を全部外させられてX線での荷物チェックがあった。
ペルー、ボリビアと死ぬほど適当な国にいたため、「どこまでマジでチェックしてるんだろう?」と勘ぐっていた。
仮に干し肉が残っていたら、やはり没収されるくらいだったのだろうか?
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San Pedro de Atacamaは全ての値段が聞いていたのだが、確かに高い。
事前に調べていたキャンプ場が5000CLP(大体900円強)で、キッチン設備も悪く、Wifiもない。

どうしようかねぇ、と濱さんと相談していたのだが、そこへ宝石の道で出会ったフランス人サイクリストと遭遇。
彼は1日早くAtacamaに到着しており、「俺が泊まっているホステルにキャンプサイトがあって、Wifiも快適だぞ!」ということで、連れて行ってもらった。

連れて行ってもらったのはLa casa del sol nacienteとういホステルで、値段は5000CLPと一緒だが、キッチンの設備も悪くなく、Wifiも使用可能。

宝石の道を走破していたことで非常に疲れていたこと、Quetena Chicoで別れた久保田さんとAtacamaで再会を約束していたこともあり、4泊することにした。
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Atacamaの印象だが、パッと見た限りでは「本当に先進国に来たのか?」というもので、大して見どころもないし、道は未舗装路だし、とにかく暑い!
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それでもやはり欧米人バックパッカーが多くいて、一眼カメラをぶら下げて歩いているのを見ると、やはり先進国の観光地なんだなぁ、と思わざるを得ない。
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Atacamaその乾燥した気候から星空が見えやすく、天体観測で非常に有名らしい。
町のあちこちに天体観測ツアーの会社がある。
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ちょうど私たちが着いた時にもふたご座流星群だかなんだかが飛来する日で、Atacamaにテレビ中継が来たりして盛り上がっていた。

当然普通なら「ラッキー!Atacamaで流星群が見られる!」となると思うのだが、そこは自転車旅行者。
しかも過酷な宝石の道を走破してきた我々は、道中からずっと「Atacamaでは何を食うのか」という話ばかりしていた。

流星群などに見向きもせず、4日間ただひたすらに食いたい物を作り、たらふく食いまくっていた。
(とはいっても、私は料理の知識がないためほとんど濱さん頼りだったけど)

豚カツ
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天ぷらと鶏のから揚げ
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親子丼
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グラタン
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結局、ここでは食ってばかりだったな。

(走行ルート:Laguna Blanca→San Pedro de Atacama)

コメント

  1. 素晴らしい。この言葉がすべてです。

  2. 今年はコメントでの応援、ありがとうございました。
    来年もまた無事に旅行を続け、3月頭には最南端ウシュアイアへとたどり着くように走っていきます。
    来年も、どうぞよろしくお願い致します。
    > 素晴らしい。この言葉がすべてです。
    >

kotoh360@yahoo.co.jp へ返信する コメントをキャンセル

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