砂漠にだって温泉くらい湧く~Aguas Calientesまで・宝石の道9日目

Laguna Hedionda~Aguas Calientes
12/8 (567days)
12/8
あれだけ吹き荒れる風も、夜から朝にかけては全くの無風になる。
音が無い世界の中で、モゾモゾと寝袋からはい出て、お湯を沸かしてコーヒーを飲む。
最高の朝の始まりを、宝石の道では当たり前の様に迎えることができる。
そういえばフラミンゴって、寝てる時も片足上げて寝てるのだろうか。
キャンプ地の小屋から道路に戻るには、砂地の中自転車を押さなければならない。
僅か1キロ程の距離を戻るのに、30分も掛かってしまった。
しかも、Laguna Hediondaと隣接するように別の湖・Laguna Kollpaが少しすると見えるのだが、そちらの方が風防となる廃墟がたくさんあり、明らかに条件が良かった。
まぁ、こればっかりは結果論だし、この道は情報が少なすぎるので仕方がない。
集落は全くの無人なのだが、以前は塩田でも営んでいたのだろう。
湖の一部が綺麗に田んぼの形になっている。
Laguna Kollpaを抜けると、砂漠の中を西に突っ切るように道が伸びている。
今後、こんな風景の中で走る事ができる国はあるのだろうか。
臭い言い方にはなるが、自然の中では如何に人間が小さい存在かということを実感させられるというのは、この旅行中では今のところ宝石の道しかない。
もちろんアメリカの国立公園なんかも凄い自然だったのだけれども、やはりあれは人に管理されたものだったと、今は思う。
ここは管理もされていないし、むき出しの自然が広がっている。
それでも誰かが住んでいた痕はあるわけで。
こういう廃墟の壁を風除けにして、昼休憩を取る。
左右が塩湖に囲まれた中、メイン道路との合流地点を目指す。
Laguna Hediondaから走る事32キロ、ようやく宝石の道メインルートと合流するT字路に到着。
いやぁ、長い寄り道だった。
我ながら、よくこんな過酷な道で寄り道する気になったよなと、今は思う。
寄り道してよかったな、とも。
T字路のすぐ傍には大きな湖、Laguna Chalviriがある。
水の色が絵具の水色の様で、今までの湖とは少し毛色が違っている。
宝石の道の中では、お気に入りの湖だ。
T字路から走ること5キロ程。
いくつかのホテルと商店が並ぶ場所に到着。
Laguna Chalviriに隣接する形で、コンクリートで囲まれた小さな、湯気が立つ泉がある。
そう、こんな僻地にも天然の温泉があるのだ。
この温泉は宝石の道の後半に差し掛かる場所に位置している。
ここまで頑張って走ってきたサイクリストのためのご褒美としか思えない、完璧なタイミングと湯加減で、温泉の神様も粋な事をしなさる。
14時頃に到着し、17時くらいまで漬かりっぱなしだった。
やっぱり日本人には温泉ですな。
なお、夕方を過ぎるとツアーの車がバンバンやってきて、こんなに小さな温泉が人でギュウギュウのすし詰め状態になっているのを見て、もう一度入る気にはなれなかった。
まぁ、3時間も入れば十分満足したよ・・・と無理やり自分を納得させたのでしたとさ。
(走行ルート:Laguna Hedionda→Aguas Calientes)