悪路の洗礼~エディオンダ湖まで・宝石の道1日目

宝石の道入り口~Laguna Hedionda
11/30 (559days)

11/30
Alotaから35キロ地点、宝石の道の入り口前でパンとチーズを昼食に食べ、いざ突入。
入り口から即上り坂は全く予期していなかった上に、傾斜がきつくて砂にタイヤを取られてとてもじゃないが自転車を漕ぐなんて不可能。

さらに道路が狭い上、ツアーの車が結構通ってくる。
はっきり言ってこの悪路で車のために道を開ける気などさらさらないため、対向車は無視して道を譲らずに自転車を押していく。

偶に車が逆に譲らず、こっちが仕方なく路肩に避けるのだが、窓を開けて「ヘイ、アミーゴ!元気か?アミーゴ!?」とかツアーが終了して変にテンションの高い人間が声を掛けてくる。
「黙ってくれ、というか早くそこをどけ。お前がいるから路肩の深砂利にタイヤ取られてんだよ。」と言いたい言葉が出ない程、坂がきつくて息が切れる。
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ほとんど登山に近いな、これは。
総重量70キロ近くの鉄の塊を押しての登山。
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 上りが3キロ続き、標高4600メートルに達した後は下りになり、小さなアップダウンを繰り返す高原に出たのだが、待っていたのは放射状に広がる無数の轍と、靴が足首のカットまで埋まる程の深砂利。
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いくら南米最難関と名高い道といえど、「所詮はペルー沿岸の温い道を走ってきた奴が言ってるんだろう?アンデスの山岳部を常に走ってきた俺なら余裕だろう」という奢りが正直なところあった。

実際走ってみて、いや、手で自転車を押してみてそれが誤りであったことが分かった。
乗れないどころか、押している自転車のタイヤが砂に取られて傾き、どんどんと意図しない方向へと向かっていく。
確かに、こんな道は今まで走ったことが無い。
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しばらくすると、かろうじて自転車に乗ることができるようになってきた。

相変わらず砂は深く、いつ自転車に乗ることができないこの状況下では「手で押す方が楽だ」というのは分かっているのだが、やはり自分はサイクリストな訳で、それがたとえ40、50メートルしか乗れない距離だとしても自転車に乗っていたい。

そんな格好いいことを思いつき、意地でもペダルを漕ごうと試みたのだが、砂が深くなった瞬間にペダルがビタッ、自転車が横倒しにズテッ。

いやぁ、漕ぎ続けるなんて無理ですよ、はっはっは。
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宝石の道入り口から走ること、いやほとんど押すこと14キロ。
下り坂の先に一つ目の湖、Laguna Cañapaが見えて来た。
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湖が見えた時のまず初めの感想が「よかった、道を間違えてなかった・・・」というものだった。
GPSもスマートフォンも持たない中、無数に伸びる轍の中から一つ選んで進んでいる私にとって、ちゃんと正しい道を進めているか常に不安に思っていたのだ。

それが、持っている紙地図通りこのLaguna Cañapaに辿り着いたことに、まずはホッとした思いがした。
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ほっとした後に湖に目を凝らすと、フラミンゴが湖の浅い所に何匹も群れている。
結構うるさい鳴き声で泣くんだな、フラミンゴは。遠くからでもギャアギャア声が聞こえてくる。
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しばらく湖を眺めた後、気合を入れなおす。
この日の目的地に定めていたLaguna Hediondaはまだ10キロ先。
Laguna Cañapaの時点で16時半。
ここまでの道の状況を鑑みて、急がなければ日没に間に合わない。

そう思ってペダルを蹴りだした、いや、蹴りだそうとした。
ペダルを蹴り、足を宙に浮かした瞬間に自転車が横倒しにされる。
固そうに見える地面が、実は全く固くなく滅茶苦茶に柔らかい砂だった。

今までも砂が深かったのだが、Laguna Cañapaからは群を抜いて酷い。
押しても押してもズズズッ・・・と、3メートルも進めば自転車がその重みで嫌な音を立て、タイヤが砂に埋もれていく。
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悪路に喘ぎながら地面に目を落とすと、こんな悪路にも自転車の轍が数本、私と同じように少しでもマシな場所を探そうと「あっちでもない、こっちでもない」と右往左往しながら先へと伸びているのが見えた。

私の他にも阿保がいる。この事実にはとても勇気づけられた。
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ほとんど自転車を押して歩くこと1時間程だろうか、道の先に湖が見えた。
湖畔に人工物があり、Laguna Hediondaにあるホテルに間違いないのだが、一度下って上り坂なのも間違いがない。
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最後の最後にこの上り坂で息を切らせて自転車を押し、Laguna Hediondaのホテルに着いたのは18時過ぎ、日没の少し前だった。
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ホテルのすぐ裏側は湖になっており、フラミンゴがたくさん群れている。
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鳥相手に飛ぶの禁止とは・・・
ボリビア警察は違反切符を切りまくってウハウハだろうな。
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ホテルは高くて泊まれないだろうことは分かっていたため、近くにテントを張らせてもらった。
少し夜が更けてから、ホテルの人から「夜は滅茶苦茶に冷えるから、食堂で寝てもいいよ」と言ってもらえたため、荷物はテント内にそのままにし、寝袋とマットだけ持って寝かせてもらった。

まさか初日からこんなに厳しい道程になるとは・・・いささか宝石の道を舐めていたらしい。
「明日からも頑張るぞ!」という気持ちより、「明日もこんな感じなの・・・」という後ろ向きな気持ちのまま、疲れから夢も全くない眠りへと落ちて行った。
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(走行ルート:宝石の道入り口→Laguna Hedionda)

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