突入前夜~Alota北西10kmまで

San Cristobal~Alota北西10km
11/29 (558days)
11/29
ベッドでお休み中の警察官を起こしてしまったようで、申し訳ない気持ちながら寝ぼけ眼の彼等にお礼を言って警察署を後にする。
この日の朝食も手持ちの食料は節約したいため、メルカド(市場)へと向かう。

Chuleta de Llama(リャマのあばら肉)を注文。
10BSと高くはないけれども量が少ない。
「ツーリスト向けの町なら仕方ないか・・・」と思っていると、屋台のおばちゃんからジュースの差し入れをもらえた。
杏を砂糖水で漬け込んだものか、甘くて美味しい。


かなり物足りないけれども、ジュースとクッキーを商店で買い足して8時に出発。
アスファルト舗装のように走りやすく、どんどん進むことができる。


・・・と思っていたら、10時くらいから風が強くなり、向かい風でペダルが重くなってくる。
10日分の食料を積んで超重量級の自転車になっているため、ただでさえ重いのに風が加わって遅くなるととフラフラになる。
マリオカートで言えばドンキーコングやクッパといった感じだろうか、スピードに乗れば安定するけれどもそれまでの操作感重い。
風を遮るものは何もなく、集落なんて当然ないため、お昼は道路下の排水口の中で丸まって手持ちのパンで済ませる。
ところが排水口が最高の風の通り道になっていて、あっという間に自分もパンも砂まみれになった。
まぁ、普通に考えたらそうなるわな・・・。
San Cristobalから走る事60キロでAlotaの町に到着。
ここはアフリカですか?という程に寂れている感じがする。
家のほとんどが干しレンガ作りだから、そう感じるのだろうか。
町の規模に似つかわしくない立派な体育館があり、その脇にあった蛇口で水を補給して先へと進む。
Alotaにはホテルがあるのだが、お金の節約と、翌日に宝石の道へと入る事を考えるとできるだけ距離を稼いでおきたい。
Alotaからは上り坂が始まり、またダラーっと続く嫌らしいつくりをしている。
走っていると、遠くの前方に黒い小さな影が。
進行方向は同じらしく、私よりも速度が遅いため徐々に近くなる。
「おっ、サイクリストかな?」と思い期待していたのだが、いざはっきり見えた時にびっくりした。
サイクリストではなく、大きな荷物を持ったおばあちゃんが、一人で歩いていた。
Alota以降、この先少なくとも40キロ集落など存在しないはずなのだが・・・。
この時に限らず、まわりに民家の気配がなくても、走行中に山の方に目を凝らせば人が歩いていたり岩陰に座り込んでいた、といったことがこの前後、ボリビアでは何度かあった。
こちらとしては全く無人の荒野と思っているため、人が見えたりすると非常にドキッとする。
ボリビア人は、サイヤ人やフリーザ達ですら会得していなかった「気配を消す」術を会得しているのかもしれない。
という冗談はさておき、本当にどこに住んでいるのだろう。
日が暮れてきていい加減にテントを張れる場所を見つけたいけれども、遮蔽物がない平原地帯で中々いい場所が見つからない。
意外と車通りが多く、丸見えになる場所には張れそうにもない。
しばらく走ると大きな岩がゴロゴロと転がる奇岩地帯に入った。
疲れていたからか、牛に似ていると見えた岩。
巨石がゴロゴロ転がっているため、簡単にテントを張れるだろうと奇岩地帯に入って思ったのだが、意外と道路から岩との距離が遠く、かつ道路を離れると深い砂にタイヤが取られてまともに自転車を押すことすらできない。
ようやく少し距離が近くなったところで無理やり自転車を突っ込み、テントを立てた頃にはちょうど日没となっていた。
翌日は遂に宝石の道か・・・
という感慨には全く耽ることなく、「いやぁ、今日は疲れたわ」という思いしかなく、さっさと飯を作って眠りに就いた。
(走行ルート:San Cristobal→Alota北西10km)