ウユニ塩湖でLet’s Camping

Tauha~Salar de Uyuni
11/21~11/22 (550~551days)

11/21
人は生活している中で、誰もがささやかな夢を持っていると思う。
大人になってからの私のささやかな夢の中の一つに「ウユニ塩湖を自転車で走る」というものがあり、それが正にこの日現実のものなるべく、塩湖が目の前に大海のごとく広がっている。
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目の前には遠くに見える陸地以外、全くの真っ白の世界が広がっている。

GPSもスマートフォンも持っていない私は、ウユニ塩湖に着くまでは「コンパスを無くしてしまったらどうしよう、遭難するんじゃないか」と不安を持っていたのだが、ツアーの車が通った轍が真南へと向かっているのが足元にはっきりと見える。
これならば遭難することはなさそうだと、少しホッとして恐る恐る進みだす。
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塩が網目状に模様を作り、それが一面に凸凹に広がっている。
その上を走ると「ジャリっ、ジャリっ」という塩が砕ける音がはっきりと聞こえる。

逆に轍の上ではその凸凹は潰されており、まるでアスファルト舗装の上を走っているかのようにスムーズに進んで行く。
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気色に全く変化がないため、ものの10分程で走ることには飽きるのだが、「あり得ない環境下、風景の中で走っている」という事実と感覚から、妙な高揚感が体の奥から湧いてくる。
何かいい事があって気付いたらニヤケ顔になっている、という感覚に近いだろうか。
何だか分からないけど、とにかく楽しい。

途中、後ろからLa Pazで別れた濱さんが追いついてきてペアランをしつつ、塩湖を走っている姿を撮ってもらった。
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轍に乗って走っていると、遠くに浮いている島が見えて来た。
あれがウユニ塩湖中央にあるインカワシ島だろう。

真っ白な世界のウユニ塩湖にあっては、距離感というのは全く狂ったものとなってしまう。
徐々に大きくなるインカワシ島だけが、距離感を修正してくれる唯一の存在の様に思える。
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Tauhaから走ること40キロ弱、16時頃インカワシ島に到着。
ツアーの車が20台程も止まっており、観光客がごった返している。

塩湖上は途中から陽射しが強く、殺人的な暑さとなっていた。
そのため、島に辿り着くと真っ先に日陰に入り、陽が沈むまではずっと休憩をしていた。
喉が異常に乾いたのは暑さに加え、360度塩に囲まれたことによって体の水分が奪われたのだろうか。
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陽が沈みだすとストーブを引っ張り出し、晩ご飯を調理する。

ウユニ塩湖は「日本人が行きたい世界の観光地」というジャンルにおいて、マチュピチュと1位2位を争う超人気スポットとなっている。

そんな超人気スポットで、時間を全く気にせず、絶景からそっぽを向いて自炊ができるというのは自転車旅行者の特権だろう。
自分の足で自由に動けるからこそ、贅沢に時間を使うことができる。
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ご飯を食べつつ、気が向いたら目の前の塩湖の方に目を向ける。
ふと見ると、ちょうど塩湖に太陽が沈んで行くところだった。

陽が沈んでからは風が出てきたため、インカワシ島の周りで風邪を避けるようにテントを張り、テントの中で小説を読み、眠くなってから眠りに就いた。
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11/22
ウユニ塩湖2日目。
地平線の上から太陽が昇ってき、白い大地を照らしていく。

ご来光を見届けた後は、テントに入ってコーヒーを入れる。
ウユニ塩湖の上で手挽のミルでコーヒーを淹れて飲むというのも、この旅行に出る前からのささやかな夢だった。
特別な状況で飲むコーヒーというのは、かくも旨い物か・・・。
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インカワシ島から東へ100キロも進むとUyuniの街へと着くのだが、頑張って走りたくもないしもう一泊塩湖の上でキャンプをしたい。

というわけで、午前中はインカワシ島でダラダラと過ごす。
本を読んだりコーヒーを飲んだり・・・午前中を走らずにこんなにも贅沢に時間を使ったのは旅行中初めてじゃないだろうか。
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日本の国旗もあるけど、なんか日が小さくないか・・・?
カリカリ梅の日の丸弁当に見える。
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インカワシ島には無数のサボテンが生息している。
サボテンがあるような島は近くにはないため、恐らく全部親戚同士なんだろうな。
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13時頃に濱さんが先立って出発し、私も13時半頃にインカワシ島を出発して東へと進路を取った。
インカワシ島以降はどことなく塩が黄色っぽくなり、真っ白という具合ではなくなったように思う。
ウユニ塩湖は北側の方が圧倒的に綺麗だった。
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後は穴が多くなったため、回りの風景に余り集中できなくなった。
轍の上でも塩の凸凹があるため、スピードにも思ったより乗ることができない。
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それでも360度地平線のため、テントを張る為にはツアー車から見えなくなる日没近くまで走らなければならない。

そして日没が近づき55キロ程走った頃、轍から外れた場所へ少し入った場所で走行を終了した。
テントを張るのは完全日没後にし、先に晩ご飯を作って食べながら、地平線の奥へと消えていく太陽を眺めていた。
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太陽が沈むとテントを張り、中で日記を書いたり小説を読んだりしていた。
そして夜が更けてテントから出てみると、そこには何も遮る物がない、360度広がる天然のプラネタリウムが頭上を覆っていた。

「ウユニ塩湖で星を眺める」というささやかな夢を、またしてもこの日叶えることができたのでした。
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(走行ルート:Tauha→Salar de Uyuni)

コメント

  1. 私もウユニ塩湖は乾季の真っ白な世界を観ました。ウユニ塩湖は日本人は皆、雨季の鏡張りを観に行くので、乾季に行ったというと残念だという人がいたけど、私は乾季こそウユニ塩湖は素晴らしいと思うんです。こんな真っ白な世界を体験できる場所はそうないなぁ、と。塩湖の上で大の字で寝転びながらすごく感動した思い出があるので、今回の記事はすごく楽しみでした。

  2. 塩湖の塩です。コブシ一個程度をビニールの袋にいれて、土産です。死海の塩も土産です。自宅に大切に保存です。良い思いです。参考まで。

  3. 私は鏡張りは一切見なかったので一概には言えませんが、やはりサイクリストとしては走りやすい乾季の方を好みます。
    恐らく、雨季の鏡張りを走っていたら風景よりも「自転車大丈夫かな・・・」ということを気にしていたと思います。
    ウユニで寝転がるというのは、私も本当に気持ち良かったです。

  4. 私も絶対にウユニの塩で料理してやろうと思っていたのですが、当日は完全に忘れていました・・・。

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