ワイナポトシの頂上へ~その③

Huayna Potosi
11/13 (542days)
ワイナ・ポトシ(西: Huayna Potosí)は、ボリビア・アンデスのレアル山群(英語版)にある山である。標高6,088m。
(中略)
名前はケチュア語で「若い丘」という意味である。
(※Wikipedia「ワイナ・ポトシ」より一部抜粋)
(※写真は私撮影)
11/13
23時起床。
朝食を取り、ハーネスに命綱となるロープでお互いを繋ぎ、24時30分、登頂アタック開始。
辺りは何も見えない暗闇で、僅かに見えるのは前を歩くガイドの姿とヘッドライトが照らす足元のみ。
この日は無風で、聞こえるのはクランポンが雪を噛む「ザクッ、ザクッ」という音だけ。
高山病にならないよう、鼻から息を吸い、口から吐く深呼吸を意識しながら進んで行く。
真っ暗なため景色を見ることはなく、とにかく呼吸と歩行のリズムを合わせることに集中していた。
時折休憩のために歩行を止めると、La Pazの光が遥か下に見えている。
もう深夜のはずなのに煌々と灯る光・・・La Pazは不夜城のごとし。
最終キャンプでは手持ちの服を全部着込んで行ったのだが、滅茶苦茶に暑くなり途中で脱ぐほどだった。
頂上に近づき標高が5900メートルを越えると流石に寒くなり、再び着込んだのだが、レンタルのジャケットはダウンではないため、それでもまだ少し肌寒い。
この時ばかりは「アンダーアーマーの寒冷地レイヤーを旅行に持ってきてよかった」と初めて思った。
途中、垂直なんじゃないか?と体感する程の斜度を、アイスアックスとクランポンを駆使して越えた。
それも二度も。
アイスクライミング体験が初日にあって本当に良かった・・・。
1泊2日だと省かれるプログラムなのだが、あれがなかったら心づもりもできていなかった。
というか、初日以外はアイスアックス使わないって言ってたじゃない・・・。
そして、5時30分。
夜明け前に無事登頂!
出発時点では後塵を拝していたのだが、途中他のグループをぶっち切って一番乗りで頂上に到着した。
登るに従って、逆にますます迫力を増して巨大に見えた頂上が、到着してみると「こんなにもちっぽけになるのか」と思え、感慨深い物があった。
一緒に登った濱さんとはもちろんそうだが、後続で続々と到着した多国籍の登山者と握手を交わして喜びを共有するというのは、非常に爽やかな物を感じた。
握手のためにさっと出される自分の右手にも相手の右手にも、何の思惑も利を求めることもなく、ただただ「俺たちやったね!」というものだからだろう。
待つこと30分。雲海の中からご来光が頭を覗かせた。
登山の中で、最も報われる瞬間だろう。
ご来光と共に辺りは一気に明るくなり、景色が開け始めた。
ワイナポトシの影富士が雲海に浮かび上がっている。
6時過ぎ、頂上から撤退開始。
名残惜しく思ったが、下山の時は登山中には全く見えなかった景色がはっきりと見えるため、これも面白かった。
下山はあっという間で、最終キャンプには8時前に到着し、少し休憩した後、ベースキャンプには10時半に到着した。
La Pazからツアー会社の迎えの車があっという間に来て、La Pazには13時前に到着。
頂上から僅か数時間で下界に戻ってきたことには、ぼけーっと放心するかのように現実感がなかった。
私と濱さんは荷物と自転車を置かせてもらっていたHostal Intiwasiにそのまままた投宿。
晩ご飯はお好み焼きと、私は普段は飲まないビールでささやかな祝杯をあげた。
アルコールも手伝ってか、翌日以降は階段を登る度に「うぅっ」と唸る程の筋肉痛に虫食まれたのでしたとさ。
すごく素晴らしい‼
「大きく見えていたものが、行ってみるとちっぽけだった。」
実感が伝わってきた。