無の8時間~Palpaまで

Ica~Palpa
10/10 (508days)

10/10
朝パソコンの電源を付けてみると、残りバッテリーが極僅かになっている。
コンセントには今も電源ケーブルが刺さっているのだが・・・軽くコードを揺すってみると、充電されたりされなかったり。
どうやら断線しかかっているらしい。
すっきりしない気持ちの中、Icaのホステルを出発する。

もう見慣れた景色の砂漠地帯。
この日は風が強く、遮る物のない中でつむじ風が猛威を振るっている。
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荒涼とした風景の中、滅茶苦茶に暇なため、今朝断線したパソコンの電源ケーブルの処遇について考える。
私のパソコンはASUS社製なのだけれども、パソコンに差し込む側のプラグが特殊形状のため、海外での新品を発見することが非常に困難だ。
日本から送ってもらうか、クスコの中古電気屋で奇跡的に見つかることに賭けるか・・・。

ベストなのは、「通信機器を持たないこと」だと思っている。
通信機器さえ無ければ今回の様な下らないことに頭を悩ませないで済むし、より「海外を走っている」感を味わえる気がしてならない。

それでも、家族への生存報告ということを考えると、中々難しい。
手紙という方法を使えば、それも解決されるはずなのだが・・・

「極力電子機器に依存しないスタイルを採りたい」という理由でパソコンのみを持ち、スマートフォンを持ってきていなかった。
いざこういう状況に直面し、それに頭を悩ませていることを考えると、如何にネットに依存しているかというのが浮き彫りになり情けなくなる。
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 それにしても乾燥のためだろうか、そこまで暑さを感じないのは不思議だ。
乾いた大地に入った無数のヒビを見るに、雨は長い間降っていないだろう。
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こんな何もない不毛の大地にも、集落があり人々が暮らしている。
しかし、何か作物を育てている気配も、家畜がいる気配も全くない。

ここに住む人々は、何を生業として暮らしているのだろうか・・・?
水も無い、商店も無い、緑も無い・・・正に不毛の大地に。
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30キロ程走った所、割と大きめの集落の入り口にあったレストランに入り、昼食休憩。
沿岸部(と言っていいのか、もう大分沿岸から内陸に入ったけれども)は山岳部と比べてご飯の料金が高い。
山岳部だと大体5~6ソル(約170~200円)だったのが、ここ沿岸部では8~10ソル(約270~340円)。

味は・・・やや沿岸部の方が美味しいかな・・・?
そう話に聞いていたためそう思い込んでいるだけかもしれない。

米が美味しい!とはっきり言えたのは、飽くまでもペルー北部の水源豊かだったJaen周辺くらいだろうか。
それ以降は、沿岸部でもモチっとしていたり、山岳部同様カスカスだったり。

ただ、ここのご飯は米も味付けも美味しかった。
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昼食後もひたすらに砂漠なのだが、風景にある変化が現れた。
街路樹が等間隔で植えられている。
とは言っても、葉一つ付いていない弱々しい樹なのだが。

風が強いため、みな一様に風が吹き抜ける方角へと曲がっている。
水も無い、風も強い環境ではとても立派な街路樹とはなり得ないはずなのだが、「とにかく、この砂漠に緑を!」という地元住民たちの努力なのだろうか。
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しばらく走ること数10キロ。
それまで遠巻きに見えていた山々が少しずつ近づき始め、進むごとに距離が縮まってきた。
いや、山というよりも砂丘といった方が正しそうだ。
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遂には完全に砂丘の間の中を走り始めた。
砂漠には完全に飽きていたが、砂丘の中を走るのは新鮮で少し面白い。
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砂丘の間の丘を上り切ると、緩く長い九十九折れの下り坂が始まり、その先の谷底には集落が。
あそこがこの日の目的地、Palpaに違いないと意気揚々と下っていく。
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が、下り切ってみるとここはまた別の小さな集落で、また一つ丘を越えた先がPalpaらしい。
時間はもう17時。夕暮れに差し掛かっているこのタイミングで、もう一つ丘越えはキツイ・・・。
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丘を上り切った先、再び谷底に集落が。
先ほどより少し大きめなので、ここが間違いなくPalpaだろう。
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下り切った所、無事Palpaに17時半到着。
セントロの裏に15ソル(約520円)の安宿があったため投宿。

ネットはないけれどもまぁいいや、とベッドに寝っ転がって文庫本を読んでいると、どうも回りの部屋達から艶めかしい声や音が漏れ聞こえてくる・・・どうやら連れ込み宿だったらしい。

まぁいいか・・・と気にせずに文庫本を読んでいると、今度は「うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」という雄たけびが。
そうだった、この日は2018年サッカーワールドカップ南米予選、ペルーvsコロンビアの開催日で、この日勝てばペルーは実に30年ぶりの本戦参加決定となる大一番なのだった。
19時半になったため、キックオフになったのだ。

その後は正に大狂乱。
嬌声、歓声、悲鳴、ベッドの軋む音。この小さい町のどこにそんなエネルギーがあったんじゃい!というくらいやかましい。
これなら紛れられるだろうと、私も無意味に「あぁぁーっ!」「うるさいっ!」とか叫んでみた。やっぱり紛れられた。

ちなみにペルーvsコロンビアは1:1の引き分けとなり、なんとペルーは出場権を掛けてオセアニア予選1位のニュージーランドとのプレーオフ開催が決定した。
11月11日と11月15日。この日はまたペルー中が大騒ぎになるだろうから、私も今から喉の調子を整えていい感じで「うるせえぞっ!」と叫べる様にコンディションを整えている。
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(走行ルート:Ica→Palpa)

コメント

  1. 未知の町、道路から展望ですが、感動です。素晴らしい。有難う御座います。

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