山が私に来い~Piscoまで

Lima~Pisco
10/7~10/8 (505~506days)

10/7
日本からの荷物も無事届き、一週間近く滞在したLimaを出発する。
濱さんも同日に出発なのだが、今回はルートが全く違う。
私は沿岸を南下し、Nazca経由でCuscoへ。濱さんは山岳ルートを通りCuscoへ。

次に会うのはCuscoかな、という話はしつつも、もしかしたらこれが南米で出会う最後のタイミングになるかもしれない。
それにしてもいつも通りの簡単な別れの挨拶だったけれども。
何だかまた会うような予感がするし、今さら大仰な挨拶も何だか恥ずかしいし。
RIMG8264


800万人の人口を誇るリマを抜けるには決死の覚悟が必要だろうと危惧していたのだが、入ってきた時よりも大分楽に抜けることができた。
とは言っても、確か30キロ程走ってようやく脱出できた気がする。
RIMG8267
郊外に出ると何もない砂漠地帯となる。
ペルーの道を走っていてよく見かけるのが宣伝看板で、ほとんどの看板に共通しているのが大体グラマーなネーチャンのグラビアが載っていること。

小さなタイヤ屋でも、軒に出している小さな看板に「LLANTA(タイヤ)」と書いてその横にネーチャンがウッフンしている。
むしろネーチャンのウッフン画像の方がタイヤの文字よりでかい。

この写真は多分ブロック会社のものなのだけれども、この会社に行って「ブロック下さい」なんて頼んでも、ブロックを持ってくるのは上半身裸の小太りのペルー人男性に違いない。
よしんば女性でも、でっぷりした体型で、「天空の城ラピュタ」に出てくるドーラそっくりに違いない。

それでもこのグラビアを見て、ペルー人男性は「あら、いいですねぇ。」となって来店するのだろうか・・・。
一種のパネルマジックだと思うのだが。
RIMG8269
いやー、それにしても何もない。
いくら走っても見えるのは砂漠のみ。
だからこそ、些細なことでも変に目がいってしまう。
これなんか、最高にどうでもいいのに目がいってしまう。
RIMG8270
この日はChilcaというLimaから70キロ程の街で泊まろうと思っていたのだが、14時半には着いてしまったためそのままスルーしていた。

地図を見るとLimaから100キロ程でAsiaという町があるらしく、「Asiaに泊まるアジア人、いいじゃん」と、それを目指して走っていた。
しかし、100キロを越えてもそのAsiaが一向に見当たらない。

いや、正確には看板はあったのだけれども、看板が指し示す海岸沿いには町というには余りにも小さすぎる集落が広がるばかりで、とてもホテルがあるようには見えなかった。

「Asiaの街本体はもっと先にあるだろう」と高を括り更に先へと進むのだが、先ほどまでちらほらあったレストランやガソリンスタンドすら見なくなり、事態はますます悪化してきた。

110キロ、時間は17時半。
砂漠地帯はとてもじゃないけれども、野宿ができるような環境にない。
砂丘の影に隠れるにしてもそこまで進むのに深砂にタイヤを取られ、時間は掛かるしその間は滅茶苦茶に目立つ。

これは不味いな・・・と尚進んでいると、道路右手、砂丘の下に何やら政府関連と思しき建物がある。
トラックが何台か入っていくことと、施設の形状からどうやら検疫所のようだ。
RIMG8273
一度はこの施設もスルーして進み、Asiaの街が現れることに賭けたのだが、少し進んだ視界が開けた所で諦めた。
先には全く何も存在しない砂漠が広がるばかりだった。

引き返し、砂丘を下って検疫所のオフィスにいる職員に声を掛けた。
「今日、ここで野宿してもいい?」

職員は少し困った様子で悩んだ末、「敷地内は無理だけど、入り口付近ならいいよ。黄色い小屋があるだろ?その近く。」と言ってくれた。
入り口はオフィスから少し離れているが、施設には24時間誰かがいるようなので安全面でも大丈夫そうだ。

入り口にはおっちゃんが言う黄色い小屋があり、見た目は駐車場等によくあるチケット発行小屋のようなものだ。
取り合えずテントは張らずにご飯を作り、一息つく。
陽も落ち、テントでも張ろうかと思ったのだが、小屋を除くと中は椅子ひとつないがらんどうの空間で、どうやら利用していないようだ。

ドアノブを回してみると、何の手ごたえもなくガチャンと開いた。
「使ってないみたいやし、一晩だけならええやろ・・・」
中は外気よりもかなり温かいし、自転車を突っ込み、マットと寝袋を敷いてみるとかなり快適な空間だ。

「今晩はどうなるかと思ったけど、快適な寝床が見つかってよかった・・・」
寝袋に包まりヌクヌクといい気分で眠りに就いた。
RIMG8272
10/8
翌朝小屋の外で朝食を作っていると、職員がちょうど小屋を通り過ぎ、目が合った。
「しまった、小屋の中にいるのは不味いだろ」と思ったが、目が合ってしまった以上、「おはようございます」とあいさつした。
少し訝しむ様子で向こうも挨拶を返してきた。

かなり朝早い時間に起き、さっさと出発しようと思っていたのだが・・・。
案の定その職員が引き返して来て、「お前、ここで何している?」と質問をしてきた。
昨日私が野宿の許可を求めた男性とは別の人で、そもそも私がこの施設近くで昨夜寝ていたことすら知らないようだ。

「いや、昨日許可を得てこの小屋付近でテントを張って寝たんだけど・・・今朝は少し雨が降っているから、小屋で少し雨宿りさせてもらっただけで!」なんて嘘(最低)を織り交ぜて丸く収めようと思ったのだが、男性は「いやいや、ここは私有地だから野宿はだめだよ、何してんの」と言う。

「いや、(小屋を使ったのは悪いけど)昨日別のセニョールがこの小屋近くでテント張っていいって言ったんだよ」
「いやいや、ダメだよ」の繰り返しになった。
恐らくこの施設内では結構なお偉いさんなのだろう、いつも適当なペルー人ではなく、かなり厳粛な対応だ。

結局謝り倒し、「5分以内に出発するから!」と言い、何とか許してもらった。

この日は海沿いを走るようで、海岸線に沿って立派な家が立ち並び、時折ある砂浜にはシーズンオフで閉まってはいるが、海の家のようにテントが軒を並べている。
どうやらペルーの沿岸沿いのこの辺りはリゾート地らしい。
とは言っても一日のほとんどは曇り空だから、リゾートっぽくはないのだけれども。
IMGP0592
IMGP0593
道が少しでも海沿いを離れて海が見えなくなると、また風景は砂漠だけとなる。
本当に景色に変化がないため、走っていてもボーっとしてしまう。
こういう走行になると、少しのカーブであったり標識であったりが一大イベントになる。
IMGP0602
「パパ、急がないで・・・あなたの家族が待っているよ」かな?
恐らく交通事故防止啓発の看板だろう。
IMGP0612
Limaの本屋でかなりクオリティの高い紙地図を買ったのだが、昨夜のAsiaの時点でうすうす気づいてはいた。
というのも、この地図はかなり小さい集落でも表示しているようで、「地図上ではもうすぐ集落があるはずなんだけど・・・」と期待しても商店すらなさそうな集落だったりする。

そういうわけで、レストランを発見するのも困難で、この日も60キロ走ってようやくそれなりに大きめの集落を見つけて昼食にありつけた。
でも、この集落は地図になかった気がするんだよなぁ・・・。
IMGP0606
RIMG8274
昼食後も海岸沿いを走ったり、内陸に入って砂漠だけの景色になったりの繰り返し。
よく「海岸沿いを走るのが好き!海が絶景!」なんて自転車乗りがいるけれども、絶対嘘だろと思っている、私は。

スキューバダイビングやシュノーケルで潜るなら露知らず、自転車というアクティビティにおいて海沿いを走ることなど全く面白くもなんともない。
潮で体はべた付くわ、風は強いわ、海は見ていて飽きるわ・・・。
山の中を走ることに勝る要素が無いと思っている、私は。飽くまでも私は。

さっさと山岳地帯に戻りたい。戻って「何だこの糞坂道!二度と走るか!」と文句をブータレながらペダルを漕ぎたい。
IMGP0607
IMGP0614
IMGP0613
そんなことだから、ひたすら無心にペダルを漕ぎ続け、気が付けば120キロ走ってPiscoの街に到着。
ご飯は贅沢に中華。もう飯しか楽しみがない。
私が山岳地帯に行くのではなく、山岳地帯が私に来てほしい、そう思う2日間であった。
RIMG8275
(走行ルート:Lima→Asia→Pisco)

コメント

  1. 殆ど愚痴ですね(笑)
    1日中ペダル漕いでれば、変化求めますね(^^;
    まぁ、店長の愚痴も含めて楽しませてもらってますけど(笑)

池田 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です