【世界遺産】ワスカラン国立公園~急

Parque Nacional Huascarán(ワスカラン国立公園)
9/21~9/23 (489~491days)
9/21
標高4700メートルでの野宿も、思っていた以上に寒くない。
しかしテントを見てみると、さすがに凍りついていたため、しばらく朝日の陽に曝して乾かしつつ、ゆっくりと準備する。
野宿で朝をここまでのんびりするのは初めてかもしれない。
頂上からはまるで前日の走行を真逆にしたかのように、ぐにゃぐにゃと折れ込んだ道がずっと下まで続いている。
しかし下りといえど、未舗装路は当然続いている訳で、スピードが出せるわけではない。
ブレーキを掛けつつそろそろと下っていく。
まぁ、自転車に乗れるだけまだマシだと思って下っていく。
風景はというと、前日の風景が凄まじすぎたため少し見劣りはしてしまうか、といったところ。
とはいえ、下りも氷河を湛えた雪山が周りを囲んでいる絶景ではあり、風景に対して些か贅沢になってしまっているようだ。
そして下る事15キロ程、またまたあの人に遭遇。
そう、中米を一緒にペアランし、その後再びエクアドルの国境手前までペアランした濱さんだ。
実はワスカラン国立公園に突入する前に連絡を取り合っていたため、遭遇することは分かっていたのだがこれで3回目となる。
自転車乗りというのは向かう方角が同じであれば遭遇する確率は高いのだが、それでも二度と会えないことも多い。
そんな中で3回も遭遇するというのは、これまた縁というものだろう。
濱さんは私が来たYungay方面へと上っていく最中で、ここから公園を出てからのルート情報やHuarazにあるワスカラン国立公園復路後の安宿情報などをもらった。
私からは、公園内の水を飲むと体調崩しますよ、ということぐらいしかなかったが・・・。
実際、昨夜からどうも体調がおかしい。
腹の具合がまずおかしく、微熱があったりなかったり、という症状がある。
恐らくフィルターに通した沢の水だと思うのだが・・・。
とにかくお互いの無事と健闘を励まし合い、袂を分かつ。
恐らく次の再開はHuarazか、首都のLimaになるだろう。
濱さんと別れて進むこと3キロどうやら公園の出口に辿り着いたようだ。
どうやら、というのも公園東側には料金所などなく、モニュメントなどもない。
その代わり民家が見え始めたため「あ、公園を抜けたな」という感じ。
走っていて別に寂しさや孤独感というのは感じないのだが、自然の中にいた後に民家や舗装路など、人の生活を感じ取れるものを見ると安心するというのは人間の本能なのだろうか。
田園と氷河・・・あまりマッチしないかな。
この日走ること35キロ程。
Yanamaという集落に到着。
公園の東側入り口から一番手前の町ということもあり、もう少し栄えているかと思っていたが本当に何もない集落。
安宿はあるため、14時と早い時間だったが早めに投宿することにした。
ネットは広場前の役所で無料で使わせてもらうことができたため、生存報告など最低限のことはすることができた。
9/22~9/23
Yanamaから南下し、ワスカラン国立公園南東側入り口手前、Chacasの町に行くにはルートが2つある。
一つはメイン道路となる道で、San Luisを経由するルート。こちらは標高3200メートルのYanamaから2500メートルの川底まで下り、再びChacasの位置する標高3300メートルまで上り返すルート。
二つ目はYanama南にある標高4100メートルの峠を越え、Chacasまで下るルート。
こちらは4000メートル級の峠を越えなければならないが、Chacasまでは上記のルートよりも10キロ程ショートカットとなる。
獲得標高的には二つ目のルートの方が少なくなるため、二つ目のルートを採用して進むことにした。
当然予想通りなのだが、未舗装路で林道の狭い道を走る事になる。
道はきつくないのだが、前日に比較して体調が明らかに悪化している。
朝から軽い下痢だったのだが、その影響からか足に力が入らない。
恐らくChacasまで向う物だと思うのだが、やたらとコレクティーボ(乗り合いバス)がこんなローカル道にもかなりの数通っていく。
途中、一台のコレクティーボ、恐らく学生のためのものだろう、が停まっており、話しかけられた。
休憩がてら私も止まり、先生と思しき男性と話をする。
ペルーでは話をすると大体金の話になるのだが、先生曰く「ペルー人は金を持っていないから、ほとんどの人間は自国から出られない。だから例えばペルーから日本に行くには幾ら掛かるのか、というのが気になるんだよ。」と言っていた。
安全上、金の話は聞かれてもぼやかすのだが、なるほどなと納得する話だった。
生徒からはスモモをお土産にもらい、お礼を言って出発する。
怒涛のロバ。
目の前の曲がり角から急に現れて走ってきた時は「うおっ」と怯んでしまう程の迫力があった。
確かこんなシーンがBack To The FutureⅢの冒頭であったな。
過去のアメリカ西部にタイムスリップして、馬に乗ったインディアンに追いかけられるやつ。
Yanamaから10キロ、頂上の標高4100メートルまで上ると平原が広がっており、その側を下る道が見て取れる。
大地に巨大な亀裂が走っている中、家畜が平然と草を食んでいる。
アラスカ、カナダ、そしてペルーでとそれなりの数の氷河を見て来た私なりの私見だが、かつてはここにも氷河が流れ込んでいたのだと思う。
今まで見て来た氷河達と地形が酷似している。特にカナダのColumbia Icefieldそっくりだ。
ともあれさぁさぁ、こっから下りでっせ、下りまっせ!
とはいかず、結構上りを織り交ぜて中々簡単には下がらせてくれない。
それでもこのルートを取って正解だった。
ペルーの中でもど田舎の集落を見ることもできるし。
しかし、Google Map上に表示されていて当てにしていた集落にレストランがないのには参った。
時間はちょうど12時頃だったので休憩もしたかったし、何よりこの日は補給食をバナナくらいしか持っていない。
しかしレストランがあってもおかしくない規模ではあったのに、一軒もないというのは普段住民はどうしてるのだろう。
仕方なしに進むのだが、この集落を過ぎたあたりから腹の具合がかなりヤバい状態になってきた。
この先にAcochacaという町があり、そこならレストランやホテルがあるはず。
朝の時点で腹具合はよくなかったのだがまだ余裕がある方で、「今日通過する町はAcochaca(アコチャカ)、Chacas(チャカス)か。はは、赤坂サカスと似てるな。アコチャカチャカス、アコチャカチャカス。」なんて呟いていたのだが・・・
もう全くそんなこと考える余裕すらなく、祈るような気持で下っていた。
というか、もう間に合わずに野糞したのだが、何度も何度も野糞している内に紙が無くなり、最終的にはグアテマラでスペイン語を勉強している時に使っていたノートの紙を使っていた。
というわけで、写真はほとんどというか、道中この2枚しか撮っていない。
結局Acochacaに着いたのは14時半。
レストランで遅めの昼食を取っていると、レストランのお母さんと息子さんとその奥さんが興味津々で話しかけてくる。
「お腹の調子が悪い」というと、「じゃあコカ茶を飲むと言い。お腹が温まるよ」と言われ、コカ茶を出してくれた。
日本ではもちろん飲むことのできない茶(コカインの原料となるコカの葉を使うため)のだが、南米では高山病対策や風の時に茶にして飲むことは普通らしい。
味に関しては普通の紅茶に似ており、ややスッキリ目、といったところか。普通に美味しかった。
正直Acochacaに着いた
時点で相当に疲弊しており、ここで泊まることも考えたのだがお母さん曰く「Chacas?あぁ絶対40分以上は掛かんないよ!近いよ!」という言葉を信じ、Acochacaを離れる。
Acochaca以降も腹具合は良くならず、かつ2時間掛かったよ、お母さん。
Acochaca以降はアスファルト道になったのだが、それでも上り続けるため体力的にかなりきつかった。
Chacasはこれから観光地として大きく栄えようとしているのだろう、かなり綺麗に整えられた広場に、家もペルーの他の集落比較だが、かなり綺麗だ。
広場に向かう途中、ホテルのオーナーに声を掛けられ、そのままお邪魔することにした。
値段は少し高く40ソルと言われたが、最終的に30ソル(約1020円)にしてくれた。
オーナーも親切で、お腹の調子が悪いことを伝えると、ラフランス?のような果物で作った特製スープを作ってくれた。
ホテルは温水が出ないという不備はあったが、オーナーも親切だしWifiは高速だったため、体力回復のために2泊することにした。
Chacasはワスカラン国立公園の南東側からの入り口にあたる町であり、これからどんどん観光地化が進んで行くんだろうな、という雰囲気があった。
今は恐らくまだまだ有名ではないため、静かで過ごしやすい良い町だった。
私の母校である関西学院大学のキャンパスにどことなく雰囲気が似ているのも、そう思った理由かもしれない。
翌朝目を覚ますと、教会の前では結婚式をしていた。
新郎と神父は常に芝生の上に座っていて、来てくれた人にジュースやらを振舞ってるよう。
公園には何とブックボックス(すみません、正式名称知りません)まで設置されている。
アメリカでは時々見かけたのだが、読み終わった本を一冊ボックスに入れると、中の本を一冊交換で持っていけるという物だ。
南米でそれが成立するということが驚きだが、山間部の小さい集落で回りみな知り合い、という関係なら成り立つか。
金があればChacasにもう一泊してもいいんだけれども。
この町、何もないけれども雰囲気はいいので個人的にはお勧めの町です。
そしてなんとこの小さな集落に、私を含めて4人の自転車旅行者が同じ日に集ったのも驚きだ。
一人はブラジル人、もう二人はペアのイギリス人。
ブラジル人は私が来た道を北上していくが、イギリス人は私と同じルートでワスカラン国立公園を横断し、Huarazへと行く。
「一緒に行こうよ」と誘われたが、7時に出発するらしく、私には早すぎることと、腹具合がまだ万全ではない。
記事を書いているリアルタイムでは、ちょうどChacasを明日出発するつもりなのだが、どうなることやら。
(走行ルート:Parque Nacional Huascarán→Yanama→Chacas)
素晴らしい。高地
素晴らしい。高地はコカの葉カヂルのもあります。頑張った。
コスタリカで会った老自転車乗りも、「南米ではコカの葉を齧りながら走っていたぞ」と言っていました。
そこらへんに生えているのでしょうか?
> 素晴らしい。高地はコカの葉カヂルのもあります。頑張った。