絶景中毒と下る詐欺にはご注意を

Cuenca~Oña北東7キロ
8/22 (459days) 

8/22
3泊したCuencaの都市を出発する。
チンボラソ山で再会した濱さんとはここでお別れ。
元々Cuencaまでペアランという話だったのだが、出発する日もルートも同じなのに、Cuenca以降は一緒に走らないというのは、何とも自転車乗りらしくて面白い。

今まで出会った人たち全員がそうだったのだが、自転車旅行者というのは自立した旅行者なのだと思う。
お互い付いたり離れたりを全く気にせず、それぞれのペースを大切にするし、お互いそのことを尊重し合う。

まぁ、濱さんとはルートが同じである限りまた近い内に会えるはず。
濱さんに見送られ、私の方が先にホステルを出発する。
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Cuencaの都市から走ること20キロ。
あっという間に大都市圏から抜け出して牧草地帯へと突入する。
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大型の散水機はニュージーランド及びアメリカ合衆国までの北米地域ではよく見かけたが、中米以降では初めて見た気がする。
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それにしても、エクアドルではお馴染みであったパッチワーク状の農耕地はなく、谷深いアンデス山脈の中を走る雄大な景色もなく、とにかく単調で退屈な風景が続く。

コロンビア国境からCuencaまでのエクアドル走行というのは、毎日がドラマチックであったように思う。
雪山あり、岩山あり、標高4000メートルオーバーの道あり・・・。
毎日「すっげーなぁ」と感心してしまう絶景が必ずあった。

人間というのは「慣れる生き物」だというが、そうした絶景を毎日の様に見ていると、普通の景色では満足ができなくなってしまうようだ。

「つまらんぞ、早くいつもの様な絶景を持ってこい!」と、何とも贅沢で身勝手な要求を心の中で持ちながら、イライラと進んで行く。
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10時半頃、Cumbeという町に到着。
紙地図上ではこのCumbeから先、まともな町が全く載っていない。
少し早いが昼食休憩を取ることにした。
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豚の煮物とポテト。
多分食ったのはこの豚なのだけれども、顔と手足が真っ黒で体は真っ白なのを見て、「まるで自転車旅行者みたいだな」と少し可笑しかった。
私も服を着ている時は、体の見えている部分全てが陽に焼けて真っ黒なのだが、服を脱げば体は真っ白なので、何故だか親近感が湧いた。

なお、ここで昼食を取っている間に濱さんが先んじで前方の山道に突っ込んで行った。
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Cumbeの町は山道への入り口だったようで、町を抜けるとすぐに上り坂が始まった。
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山深くなるにつれてインディヘナの人々が住む地域に変わったのか、家々も可愛らしいものがポツンポツンと立ち並んでいる。
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しかしCumbeで昼休憩を取って本当に正解だった。
Cumbe以降20キロ程は全く集落もレストランも見当たらず、しかも雨まで降りだしてしまった。

体は急激に冷やされていき、それだけで体力は消耗されていく。
昼食を取ってなかったらかなりしんどい走行になっていただろう。
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その雨もそこまで長く続いたわけではなく、気付いたら止んでいた。
標高も気付いたら3300メートルまで上ってきていたため、雨雲を突き抜けて雲上まで出てきたのかもしれない。
5メートル先まで何も見えなかった視界が嘘の様に開け、青空と気持ちのいい景色が広がっている。
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しかしここからがきつかった。
標高は3300メートルを超えており、かつ周りに今いる場所よりも高い山は見当たらない。
必然一気に下り始めるはずだと私の中で確信があり、実際道も何度も下りに突入した・・・

・・・と思いきや「残念でしたー上りなおします^^」という下る詐欺が何度も繰り返され、その詐欺に毎度毎度まんまと騙された。
上り返しの度に「この辺りの山道は性格悪いやっちゃなぁ・・・」と呪いながら息を切らせて上っていた。
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下る詐欺に引っかかり続ける事何度目かで一つの集落に辿り着くと、その背後に雲海が広がるのが見えた。
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私は風景の中では海よりも山の方が好きなのだが、山の中に在って海まで感じさせてくれる雲海という存在は、最高の贅沢だと思う。

山の縁を見てみると、浜辺に寄せては返す白波を見ている様で非常に心地が良い。
やはりエクアドルでの走行に見る風景は、こう絶景でなくてはいけない。
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本当はこの雲海が見える位置にテントを張りたかったのだが、まだ時間が早いためもう少し先へと進んでみた。
林の中、山頂まで道がうねり上っていくのが見える。
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林道をようよう上り切った後、標高3300メートルから恐ろしい程の角度と長さをもってして一気に谷底まで下り落ちる。
下り坂は20キロ近く続き、標高も1800メートル台まで落ちていた。

流石に1500メートルも落ちると生態系も変わる様で、路肩にサボテンやトゲを持った植物が多く生えていて、茂みの中で野宿するのは厳しそうだ。
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谷底からの上り返しの途中、瓦礫を積んでいるスペースが路肩にあり、ちょうどこんもり積まれた瓦礫が道路から死角になっている。
そこに自転車を突っ込み、野宿することにした。
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テントは真っ暗になるまで張るのを待ち、先に晩ご飯の調理をしていたのだが、徐々に夕暮れに真っ赤に染まる空にその手を止め、眺めていた。
気付けばこの日もドラマティックな一日だったな、と思いつつ、暗闇の中でテントを立てた。
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(走行ルート:Cuenca→Oña北東7キロ)

コメント

  1. 前の記事の町並みも良いですねぇ❗窓やドアの絵が面白い(^^)
    でも、この夕日?これは素晴らしい❗✨いつまでも眺められますね。
    コーヒーかハイボール片手にずっと見てたいです!

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