チンボラソから下界へ~Guamoteまで

Ambato南西70キロ~Guamote
8/15 (452days)

8/15
テントを複数の暴漢に棒か何かで殴られ続けているのか?という程の暴風が夜通し吹き荒れていたのだが、朝になっても変わらずにチンボラソの方角から吹き下ろされている。
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初めての標高4000メートル超でのテント泊ということで、ボトルの水が凍ったり、テントから出た時に地面が凍りついていたりとかを期待していたのだが、実際にはフリースを着ないと寒いかな?程度であり、想像とは違っていた。

眠る時も半袖Tシャツにパンツ一丁でも少し暑いくらいで、これに関してはNANGA社の寝袋・オーロラDX750の凄さを初めて垣間見た気がする。

暴風に暴れるテント生地を畳むのに苦しみながら撤収準備をし、9時になりベースキャンプを出発する。
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寒さは想像していたものとは違ったものの、やはり見える風景は地球とは思えない様な物が広がっている。
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ベースキャンプから進むこと2キロ程だろうか、路肩にマウンテンバイクのコース標識があり、その先を不毛の大地の上に轍だけが、小高い丘の先の見えなくなる場所まで続いている。
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風も強いしダートだしで、大変なのは分かっているのだが、何故だか「あ、走ってみれば楽しそうだな。」という気持ちが働き、吸い込まれるようにこの道を走り始めていた。
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時折深砂にタイヤを取られたり、横風に押されて倒れそうになったりするが、舗装路を走るよりも「一つの惑星の上を走っている」感覚があり、何だかとてもワクワクする。
どこに向かっているのかは分からないが、いつも以上の自由がこの道にはあった。
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一つの小さな丘を越えた所で先を見ると、道はまだまだ先まで続き、岩山の向こうまで続いている様だ。
風はますます強くなっており、奥まで行けば帰りは向かい風をモロに受ける形になるため、ここで引き返すことにした。
僅か3キロ程ではあったが、この道は標高4000メートルの世界を色濃く私の記憶に残してくれたように思う。
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ガタガタの道を走ったためか、スピードメーターのセンサーの位置がずれてしまったようで、反応がない。

入り口の看板に自転車を立てかけ、調整をしようとすると「オラ!(こんにちは)」という声が聞こえた。
条件反射で声の主を見ずに「オラ」と返事を返し、顔を上げてみるとでかい荷物を積んだ自転車が。

「あぁ、自転車旅行者か。ヨーロピアンかな・・・あれ?見たことあるな・・・あぁ!?濱さん!!」

ここでの再会は本当に驚いた。
そう、グアテマラからコロンビアまでを一緒に走った濱さんが、目の前にいたのだ。
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コロンビアのMedellinで再会した後はルートが違い、かつ私の方がまっすぐ南下してきていたため、よっぽど私のペースが遅くなければチリやペルーくらいまで再会することはないと思っていた。

私のペースが極度に遅い事はないと思っていたが、それ以上に濱さんのペースが早かったのだろう。
とにかく、ここでの再会はものすごく驚いた。

折角だからお互いチンボラソの麓を走っている姿を撮ろう、ということになり、私も撮ってもらった。
自分が自転車を走らせている時の写真というのは普段撮れないため、非常に貴重だ。
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お互い写真を撮った後は、一本道で進む方角も当然ながら一緒であるため、自然一緒に走ることとなった。
濱さんと一緒に走るのはパナマ以来のことだ。

コロンビア以降、私は何組かのヨーロピアンの自転車旅行者と数回短時間だけだが一緒に走る機会があった。
だがやはり、同郷の同士という意識があるのだろうか、日本人自転車旅行者と走るのはまた特別な嬉しさというものがある。
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そして一緒に走り始めることすぐに、凄い勢いで道は下りはじめ、標高をグングン下げていく。
鹿の様な見た目の動物・ビクーニャは姿を消し、灰色の大地に緑色が戻り始め、気温も上がり始める。

集落も農地とともに現れ始め、まさに「下界に降りてきた」という言葉がしっくりくる程の世界の変わりようだった。
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坂道を下る間、背後に回ったチンボラソをバックミラーで見ながら下り、時折自転車を止めて振り返ってみる。
どんどん丘や農地に隠れされていくチンボラソを、名残惜しく思いながら見ていた。
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下り切った町で昼食を取り、その後は農地や牧草地が広がる牧歌的な風景の中を進み、夕方前、坂道を下る最中に少し大きめの集落が下った先に広がるのが見えた。
この日の目的地であるGuamoteの街だ。
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下り切り、Guamoteの街に入ってみると、今まで訪れたエクアドルの街とは少し雰囲気が違う。
悪い意味ではなく、どこか寂れた様な、昔の西部劇のような雰囲気を醸し出した不思議な街である様に感じた。
時代の流れに取り残された昔の街、というのがしっくりくるだろうか。
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標高4000メートルから下ってきたこともあり、休養ということでこのGuamoteの街でホテルの部屋を濱さんとシェアをして2泊することとした。
それにしても、こんな寂れた街でホテルが一人一泊15ドルもするっつうのはどういうことだって。

(走行ルート:Ambato南西70キロ→Guamote)

コメント

  1. 文章がまた上手くなったね。
    面白かった✨

  2. 標高が違うとこんなにも風景が違うとは。それにしても南米の山々は美しいですね。どの写真もすごく綺麗なんですが、カメラは何を使っているんですか?
    ちなみに私はリャマを食べたことがあります。南米の動物写真をみると思い出してしまいます(笑)

  3. ありがとうございます。精進します
    > 文章がまた上手くなったね。
    > 面白かった✨

  4. 南米、特にエクアドルの山々というのは、はっきり申し上げてレベルが違う程の美しさです。「この道今までの中でも最高やな!」というのを毎日更新し続けるので、底が見えません。
    カメラは一眼レフはPENTAXのK-S2を、コンデジはRICOHのWG-5を使っています。
    最近はほとんど一眼で撮影した物をブログで紹介しております。
    カメラに関しては全く知識も無く、ど素人ですので、そうおっしゃて頂けると非常に喜ばしいです。
    リャマを食べたとは!羊に近い味だと想像しますが・・・。ニュージーランドを走った時は羊肉を毎日食べていたので、もしそれに近ければハマりそうです。
    > 標高が違うとこんなにも風景が違うとは。それにしても南米の山々は美しいですね。どの写真もすごく綺麗なんですが、カメラは何を使っているんですか?
    > ちなみに私はリャマを食べたことがあります。南米の動物写真をみると思い出してしまいます(笑)

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