コロンビア最後の街・Ipialesへ

Pasto~Ipiales
7/27~7/28 (433~434days)

7/27
朝目を覚ましてみると、窓の外では雨が降っている。
もう一泊Pastoでしようかとも思ったが、前日の中華屋での豪遊がボディブローでじわじわどころか、顔面こめかみに右ストレート、速効性を持って私のお財布事情を圧迫しているのであり、そんな余裕はない。

幸い天気予報を見るに10時頃から降水確率は10%前後に落ちるようで、実際その通り9時過ぎには雨は上がり、10時になるころには地面も少し乾いてきたため高級ホテルを出発した。

標高2600メートルのPastoではあるのだが、街を出るとすぐに上りが始まり、あっという間に背後のPastoが小さく見えるところまで標高が上がる。
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回りの風景は牧草地が広がり、風景としては見所もなく退屈。
天気も怪しい色の雲が上空に立ち込め、既に少し小雨が降っており、いつ大崩れするかも分からない。
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12時頃、標高は3000メートルを超える。
3000メートルを超えたのはいつ以来だろう?Mexico Cityを出た後のPueblaまでの峠以来だろうか。
流石にこの高さになって自転車を止めると、すぐに体が冷やされて体温が奪われる。
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時間も丁度よく、標高3000メートルとキリもいいため路肩にあったレストランに入って昼食を取った。
温かいスープが、冷えた体に染みる。
このスープの他にも鶏肉と米のプレートが出てきたため、お腹いっぱいになった。

この時に料理を食べながらふと思ったのは、こんなにも山深い集落なのに、料理にキノコ類は一切出さないのか?ということだった。
アンデス山脈真っ只中のこの区間だけではない。コロンビアはおろか、メキシコから始まる中米諸国においてもキノコを口にした記憶が一切ない。
一度濱さんと中米をペアランしている時に、濱さんが作ったキノコベースの粉末スープくらいだろうか。

雨が多く、豊かな森林を持つ中南米においてキノコが生えていないということは考えにくいので、そもそもキノコを食べるという文化がないのだろうか?
まぁ、私はキノコ類はマツタケとマッシュルームしか食べられないので、食卓に全く上がってこないというのは私にとって非常に好都合ではあるのだが。

ちなみに小話として、アラスカ・カナダでは自然発生的な山火事が頻繁に発生するのだが、山火事が収まりしばらく月日が経った後、ヘリコプターや大型トラックがその火事現場に我先に!と続々集まってくるらしい。

理由としては、山火事後の森林は多大な栄養素を持つ土壌になっており、キノコが大発生するらしい。
そのため業者が前述の様に大型重機を駆使してキノコを収穫し、市場へと流すらしいのだがこれがかなりの大ビジネスになっている、という話をカナダ走行中に教えてもらった。

これは中南米、ビジネスチャンスが眠ってるんじゃねえか!?
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という夢想をしつつレストランを後にすると、そこがちょうど頂上だったようで一気に下りが始まった。
横風が強く走行に集中しなければならないため、そんな夢想など強風に吹き飛ばされてしまったのだが、この区間の走行は楽しかった。
広大な農耕地が広がっているのだが、その農耕地と山が見事に調和し、まるでパッチワークのようだ。
正に人と自然の共同作品と言えるような風景が目の前にある。
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その後もパッチワーク区間をガンガン下っていき、いつの間にか傍を流れるようになった川を見ながら走っていく。
下り切って谷底までたどり着いた後、少し上った所にあるPedregalという集落に14時到着。

この時点で標高1700メートル。
コロンビア最後の街・Ipialesまでは残り40キロ弱だが、標高3000メートル近くまで上らなければならない。
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時間的にここから1000メートル以上上ることは難しいため、この日はこのPedregalに宿泊することにした。
ホテルにて一泊30,000ペソ(約1100円)と最初言われたが、「少し負かりませんか?」というと20,000ペソまで落としてくれた。
大体通常であれば30,000ペソ→28,000~25,000ペソが攻防ラインなのだが、いきなり20,000ペソまで落としてくれるとは驚き。

この限界集落に何故かホテルが5件程軒を並べてしのぎを削っているため、どのホテルも生き残りに必死なのだろう。
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7/28
国境沿いの街、Ipialesまで残り40キロ、標高1000メートルのアップ。
ずっと上り坂が続くのかと思っていたが、意外とアップダウンの連続で、川沿いを徐々に上っていく感じ。
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ゆっくりゆっくり切り立った崖の間の道を上っていき、気が付けば標高も2000メートルを越えてきた。
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はぁはぁ息を切らしながら上っていると、わき目に滝が見えた。
綺麗だな、と思ってふと上を見やるともの凄い高さから落ちてきている。
更にこのままずーっと谷底まで流れ落ちて川にまで合流することを考えると、3,000メートルは落ちているだろうか。
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その後は標高2,200~2,300メートルをウロウロして中々標高が上がってこない。
これは後半戦がしんどいかもなぁ・・・と思いつつ自転車を走らせる。

この日は霧雨が降る曇り空のため暑くくはないのだが、下り坂だとオープンフィンガーの手袋では手が少し悴む程には寒い。
かといって上り坂だと全身を使って走るため、汗だくになる。
そのため基本的には半袖シャツに半ズボンスタイルで走っている。
霧雨程度だと、レインウェアも普段は着ない。

手袋はアメリカでグローブを買ったため、もっと寒くなってきたらそれで対応できるのだが、上半身に関してはちょうど良い服装を今回の旅行では持ってこなかった。
ウィンドブレーカー系のジャケットは持っていると使い勝手がよさそうだが、無い物ねだりになってしまう。

そもそも自転車旅行において、服装の取捨選択は旅行前の準備はかなり難しかった。
まず最低限の下着、Tシャツ類などは外すことはできない。

その次は防寒着になるのだが、厚手の物はかさ張ってしまうため少し薄手のダウンジャケット、フリースを私は選択した。
この防寒着はあくまでも歩行中、テント内での着用を想定したもので、走行中を想定したものではない。
走行中に着ることは、保温性が高すぎて適していない。
しかし寒冷地のことを考えると、やはりこれらのアイテムは外すことはできなかった。

この時点でサイドバックはほぼ満タンであり、当時私の中で優先順位が低いと思われたウィンドブレーカーは選考漏れという形になった。

いざ出発してみると、カナダ・アメリカならいざしらず、メキシコ以降はこうしたスポーツに特化した衣類はほぼ無いか、あっても非常に高価なものになっている。
Tシャツ一つとっても速乾性素材の物などは、やはりあったとしても高価で中々買おうという気にはならなかった。

今衣類のアイテム選択をできるとしたら、走行中の服装を最優先で考えて速乾性素材のTシャツは多めに、ウィンドブレーカーをまず初めに積み込むだろう。
そしてダウンやフリース等の飽くまでも走行外で着る服装に関しては、寒くなってきた時点で現地調達をする方向で考えるだろう。
荷物の軽減にもなるし、そこまで高くもないだろうし、そもそもの優先順位がこっちの方が実際には低かった。

これに関しては反省点であり、もし誰か自転車旅行に行く人がいれば、アドバイスする点だと思う。
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話を本題に戻すと、標高はやはり2300メートルから上がらず、Ipialesまでの距離は10キロを切った。
標高3000メートル付近まで上ると考えると、残り10キロ弱で700メートル近く上るのは中々ハードだ。
ちょうど中規模の集落に到着したこともあり、昼食休憩を取る。
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昼食後はやはり午前中よりも少しきつい走行で、長い坂道がダラダラとずっと続く。
道中には限界集落が点在しており、どうもこの付近は適した土がよく採れるのか、ブロック焼きの釜土がたくさん建っている。

集落があるということは人が住んでいるのであり、人が住むところには何故か犬が付いて回る。
そしてこの付近から、犬の凶暴性が増した気がする。
エクアドルからペルーに掛けて、犬が非常に凶暴であることは自転車旅行者の間で有名な話なのだが、エクアドル国境手前で既にその傾向があるようで、こちらが棒を振り回して追い払ってもしつこく距離を縮めてくる。

基本的に立ち止まって威嚇して対応するのだが、交通量が多かったり路肩がなかったりすると速度を上げてぶっちぎって逃げ切る。
が、上り坂ではぶっち切ることはできないし、路肩もないことが多い。
アンデス山脈ど真ん中の地域で犬の凶暴性が増すというのは頭が痛いし、本当に勘弁してもらいたい。
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結局ピークは標高2860メートルまで上り、少し尾根を走った所でIpialesに到着。
変なオブジェがあったり壁画も結構多かったりして、意外とアートの街なのだろうか。
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それにしてもIpialesの街は坂がえげつない。
中心部がちょっとした小高い丘の上にあるのだが、坂の角度はきついし長いしで、瞬間風速的には街中がこの日一番疲れた気がする。
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中心部にある一泊18,000ペソ(約670円)の激安宿に投宿。
ここがコロンビア走行の終着点。
後はIpialesの近くにあるLas Lajasという村にある有名な教会を見に行って、エクアドル入国となる。
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Ipialesの中心部にある教会の写真と共に、今回はお別れです。
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(走行ルート:Pasto→Pedregal→Ipiales)

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