コロンビアの本気~Pastoまで 前編

Popayán~El Remolino
7/23~7/24 (429~430days)

7/23
さすがに自転車から離れて3日もすると少しは「走りたい」欲が復活してきたようで、結局4泊してPopayánを離れることにした。
3泊目の夜は「明日出発しようかな」と迷っていたが、4泊目には「よし、明日には出発しよう」という心構えができていた。
RIMG7128


3泊目には観光も全て終わらせていたため4泊目はただの休息だったのだが、この余分な一泊が良かったように思う。
走り出した時に、休息を取る前の数日間感じ続けていたダルさ、走っていることに対する作業感というのが無くなっていた。
休む時はとことん休んで、心構えができた時に出発するのが精神衛生上一番いいことに旅行2年目にして気付いた。

Popayánからの脱出もすんなり行き、すぐに周りから建物が消えてアップダウンの続く林道となる。
紙地図上では標高1700メートルのPopayánから1000メートルくらいまで落ちると示されており、この日は余裕の走行だろうな、と高を括っていた。
RIMG7130
予想に反して一向に標高は下がらず、上っては下がってを細かく繰り返し、どちらかというと逆に標高は少しずつ上がってきている。
しかし坂が苦にはならず、むしろ上っていて楽しい。

Medellin手前の道でもそうだったのだが、この日もペースこそ上りの時には時速6、7キロくらいしか出ないのだが、それが辛いとは思わず、回りの風景が山深くなってくる様を見て気分が高揚してくる。
どうやら私は上り坂が好きなたちらしい、というのがアンデス山脈を越える中で自分自身の新しい発見となった。
IMGP6599
IMGP6592
この道が素晴らしいところは、ふとガードレールの向こう側にある山に目をやると、その山肌に沿ってすーっと一本の道が通っていることだ。
この付近の山は、三角形のおにぎりを少しずらして置いたかのように幾重にも連なっているのだが、その間を縫うようにして道路が作られている。
ガードレールから見えるその一筋の道は、これから私が山の中を抜けていくルートを見下ろした物なのだ。

これが意味することは、とんでもなく遠回りをさせられてようやく何キロも先の対岸の道を走ることができる、ということなのだが、私はこういう風景が好きな様で、見ているだけでワクワクしてくる。
IMGP6600
IMGP6604
11時頃、上り坂の途中で小さな集落があり、ここいらで昼食でも取ろうかなと思っている所、一つのバーがあり、日曜日ということもあってか昼間っからおっさん連中が酒を煽っている。
テーブルの上にはもう収まり切らないくらいのビール瓶が置かれている。

私は上り坂の登攀真っ最中で、ゆっくりとそのバーを掠めるように通過していこうとしたのだが、おっさん連の中の一人と目が合った。
ちょっと手を振って挨拶をすると、おっさんは「おいおいチーノ(中国人)!ちょっとこっち来いよ!」とビール瓶を手に持って声を上げた。

私としても楽しそうだし少し休憩したいしで、おっさんに誘われるままに差し出された椅子に腰を掛け、おっさん達と一緒になってガハガハ笑いながら、しばらくの間めちゃくちゃなスペイン語を駆使して談笑した。
ピントがズレている理由はお察しの通りなのだが、おっさんが撮った写真はピントがちゃんと合っている・・・。
IMGP6607
IMGP6609
おっさん達に礼を言い、液体でタプタプになった腹を揺らして先を行く。
結局昼食はさらに進んだ先、標高1000メートルまで落ちた所にあるレストランで取った。

昼食後からは一転、傾斜がきつく長い上り坂が続く。
それにつれて、アンデス山脈もその隆起に更に鋭さを増し、立体的となってくる。
IMGP6628
IMGP6611
IMGP6642
更に上り、頂上の尾根伝いに走りながら下り坂へと転じる時には、眼前に広がる風景に阿呆のように口を開けて見とれていた。
人が本当に感動する風景を目の当たりにする時には、自然と口が開いて「はぇ~」という声が漏れるのだ。
IMGP6660
IMGP6655
IMGP6664
標高を900メートル台に落として坂道を下り切った所、El Bordoという町でこの日は走行を終了した。
< a title="RIMG7159" href="http://okino-worldcycling.com/wp-content/uploads/imgs/6/3/63c48f1f.jpg" target="_blank">RIMG7159
RIMG7160
7/24
この日も朝から素晴らしい山脈の風景が広がる中、標高を一気に600メートル台まで落としていく。
IMGP6667
下り切った先には大きな川が流れ、立派な橋が架かっている。
その後はアップダウンの繰り返しになるのだが、長い坂道を登らされ、谷底の川に掛かる橋を渡るために下らされるという繰り返し。
アンデス山脈の豊かな緑を保つための、重要な水源なのだろう。
IMGP6682
IMGP6678
IMGP6692
El Bordoから40キロ走った所、時間にして11時と早いタイミングだったが小さな集落があったため、早めの昼食とした。
というのも、この集落から40キロ先のEl Remolinoまで無補給区間が続くと、前日に出会った北上組のコロンビア人サイクリストに聞かされていたのだ。
IMGP6627
結果的に、確かにこの先40キロ区間は商店を1つくらいしか見ない無補給区間が続いた。
無補給に関しては特に問題はなく、水をいつも大量に持っている私にはあまり関係がない。
むしろ人里離れた場所で回りに凹凸がはっきりした山脈しか見えない状態が、非常に心地よい。
IMGP6700
IMGP6702
それよりも苦労したのが、尋常じゃないくらいの暑さである。
顔面は汗だらけになって眼は染み、口に入り込んで常にしょっぱい味がし、着ているシャツは全面体にべっとり張り付く程で、濡れぞうきんのようになっている。

回りの風景にも変化があり、あれだけ豊かな緑がいつの間にか消え失せ、不毛の大地となっていた。
見るのはアメリカ南部以来だろうか、サボテンがその不毛の大地に点々と生えている。

この道を走っている時、初めて自分が赤道に着実に近づいていることを実感した。
それと同時に、たった一日の走行でここまでの変化を見せるコロンビアの自然の懐の深さを垣間見た気がした。
RIMG7185
RIMG7203
IMGP6707
IMGP6710
RIMG7209
El Remolinoには14時半到着。
裏手に山を携えた静かで小さな町だ。
RIMG7224
RIMG7223
トラック運転手のためのピットインかという程に小さい町のため、特に何もすることはなかったのだが、ここで食べたかき氷はこの日の暑さも相まって格別の美味しさだった。
RIMG7217
RIMG7219
(走行ルート:Popayán→El Bordo→El Remolino)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です