コロンビアシルエットクイズ~アンデス山脈の麓まで

Cartagena~El Quince
7/1~7/6 (407~412days)

7/1
約1か月半もの間一緒に走った濱さんを見送った私も、1日遅れでCartagenaを離れて南米走行を開始することにした。
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メキシコのCancunからグアテマラのLanquinまでは台湾人カップルのChungとEnidと、グアテマラのAntiguaからこのCartagenaまでは濱さんと一緒に走ってきた。
私にとって、一人で自転車を走らせることは実に4か月振りのこととなる。
(※正確にはLanquinからAntiguaまでの7日間は一人での走行だったけれども)
流石に1か月半もの間を共にした濱さんと別れる際は寂しさの方が強かった気がするが、一緒に走ってきたサイクリストと別れる際にはいつも寂しさと、一種の開放感がすっと頭の中に吹き込む。

この4か月間の間、地図は彼等の持つスマートフォンの地図アプリを頼りにしていたため、ルートやその日の終了予定場所などは全て任せ切りにしていた。
一人で走る以上はそうもいかない。
Cartagenaの市街地にある本屋へ行き、コロンビア全域の紙の地図を購入し、宿の机一面に広げて眺めてみた。

紙の地図というのは、どうしてこうも男心をくすぐるのだろうか。
この紙切れ一枚に、何故だか多くのロマンが詰まっているように感じる。
私の購入した地図は等高線が引かれ、標高別で色分けがされているのだが、地図を眺めているとその色分けされた地形が実際の山であるかのように立体的に浮き上がってくる。
目で追う予定ルートの先には、地図から浮き上がったアンデス山脈が聳え立っていた。
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アメリカ大陸終盤戦、世界の最果ての町アルゼンチンのUshuaiaまでの走行がこのCartagenaから始まると考えると、不安よりも高揚感が押し寄せてくる。
その高揚感を感じながら、この日は眠りに就いた。

7/2
天気は快晴。南米走行開始の初日の朝にふさわしい、爽やかな朝だ。
しばらく自転車に乗らない日々が続いていたため重さにふらつかないか心配していたが、サンブラス諸島のヨットツアーでほとんど毎日泳いで体を動かしていたためか、意外とスムーズに漕ぎだすことができた。

Cartagenaは100万人の人口を持つ大都市であり、脱出するのに苦労するのではないかと心配していたのだが、日曜日の早朝だからなのか想像していたよりも交通量は少ない。
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15キロ程走ると高速道路の料金所があり、そこを通過すると大都市の面影はなくなり、回りには街路樹が並ぶちょっとした坂道が始まる。
Cartagenaの自転車乗りにとっては格好のコースなのだろうか、ロードバイクが上っては私を追い抜いていき、逆側車線ではどんどんと丘の上から下ってくる。

それにしても暑い!
こんなに暑い地域は今までなかったのではないか、という程に暑く、走り始めてまだ間もないのに止めどなく汗が噴き出て、腕に大粒の水玉を作っている。

丘の頂上では中央分離帯にちょっとした休憩スペースがあり、そこに数人のロードバイカーが木陰の下で足を休めている。
私もそこに混ざり、紙地図を広げて一休みする。

アメリカ大陸の国はどこも道路がシンプルなため頻繁に確認する必要もないのだが、休憩中は特にすることもないし地図は見ているだけで面白いため、足休めのついでによく眺めている。
ロードバイカー達からすれば珍しいのか、「どこからどこへ行くんだ?」という話から地図を一緒に眺めはじめ、「この道は今から下りに入るから楽だぞ」と道の解説までやり始めた。
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事実その通りで、彼等と別れた後は道は下り基調になり、大きな川がすぐ脇を流れる開けた道が前方に広がるようになった。
大きな橋を渡ってその川を越えた後は、ひたすらにフラットな道が続き、殺人的な日差しが遮る物の無いまま頭上に降り続いている。
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少し走った所、レストランが両脇を挟む通りに出た。
どうやらトラックの運転手達の休憩ポイントなのか、多くのトラックが脇に止まっている。
トラックに目をやると、一台のトラックにつき2人程の男がホースを使って水を掛けている。
どうやら運転手からお金をもらって洗車をしているようで、水は川からモーターを使ってくみ上げている。

レストランに入って座ってその様子を眺めていると、どうやら洗車屋はたくさんいるようで、通過するトラックに道路の両脇から大声で呼びかけ、客の奪い合いとなっているようだった。
一体どれくらいの収入になっているのだろうか・・・。
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ホンジュラス以降はほとんどそうだったのだが、コロンビアも料理にトルティーヤ(トウモロコシを水に溶かして生地にし、薄く伸ばしたもの)は出されずに米が主食になっている。
鶏か牛か豚かを焼いたAsado(アサド、グリル的な意味合い)が多く、大体8000ペソ(1ペソ=27円。約290円)くらいで食べることができる。

あるプロ野球選手が引退後のインタビューで「これからは食べなくていいんだ、というのが一番うれしい。」と答えていた。
一年間のシーズンを戦い続けるためには、とにかく量を食べて体重を維持しなければならないそうだ。
プロのアーティストと同列に語るのはおこがましいのは分かっているが、自転車旅行も同じで1日100キロ進むためにはとにかく食べなければいけない。

しかしこうも暑いと食べるのも億劫になるのだが、中米から南米の料理はとにかく味が濃いため食べるのがしんどい。

そう考えると、日本における料理の味の多様性や、素麺に代表される季節に応じた料理のバリエーションというのは本当に素晴らしいものがあると気づかされる。
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昼食を取って少し走った所、東側に直進して進むメイン道路の25号線と、南側に折れて南下するローカル道の90号線に分かれる分岐点が現れる。
最終的にSincelejoという街で合流することになるのだが、90号線の方が若干距離が短くなるため、私は90号線を走ることとした。

90号線はローカル道ということもあり、路肩はあまり広くない。
しかし車通りがそこまで多くないため、それにより路肩が狭いことに対するストレスはほとんどない。
道路には並木が覆いかぶさって日陰ができ、辺りは牧草地で走っていて気持ちがいい。
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途中に休憩を挟みつつ、南米走行初日から110キロも走ってしまった。
しばらくの間自転車に乗らない日が続いていたので、自転車で走るということが嬉しく、楽しかったのだろう。
この日はSan Onofreという、小さいながらも綺麗に整えられた教会がある街で宿泊した。
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7/3
昨夜に降った雨の水がまだ地面を濡らしている早朝、San Onofreを出発する。
この日も晴天だが、昨夜の雨に道路が冷やされたことと木陰が相まって、涼しく快適な一日の始まり。
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50キロ程走った所、食堂のある小さな集落で昼食休憩を取った。
昼間からコロナビールを飲む酔っ払いに話しかけられ、最初こそ対応していたものの早口で全く理解できないし、食事中はゆっくりしたいから放っておいて欲しいのだが、彼の口は一切閉じられることはなかった。

普段なら食べ終わって30分はぼーっとしたいのだが、余りにも鬱陶しいのでお金を払ってさっさと出てしまった。
ほとんど理解はできなかったのだが、彼の口から発せられていた単語の中で「Japones(日本人)」・「Presidente(大統領)」・「Malo(悪い)」・注射を打つ振りと、手錠を掛けられるジェスチャーは理解することができた。
不穏なワードがバシバシと飛び交っていたが、これが意味することは何なのか・・・我が国の首相、ひいては国政批判なのだろうか。
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昼食後はSincelejoへ向けてじわじわと標高を上げる上りが始まる。
たかだか標高200メートル程しか上がらないのだが、登り切ったところから眼下に見える牧草地のパノラマはどこまでも広がっているようだ。
コロンビアの牧草地は凹凸があり、見た目に非常に美しい。
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Sincelejoは登り切った先にある大きな街で、スクレ県の県都になっている。
まだまだ早い時間のため、Sincelejoは通過し、先へと進む。
道は下り基調になり、再び牧草地の間を走る。
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夕方頃、Chinuという小さな町に到着。
町の中心にはホテルがなく、郊外のHospedajeに投宿した。
Chinuはどうも高所得層のための町なのか、立ち並ぶ家々が軒並み2階建ての白塗りの立派な家で、中心にある教会も同様に立派な物が建っていた。
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7/4
この日は朝からアップダウンの連続。

コロンビアは紙地図に載っていない小さな集落がたくさんあり、水分や食料補給に困る事はない。
しかしホテルに関しては、地図に載っている大きな街だと必ずあるものの、こうした小さな集落にはあったりなかったりでホテルがある確率は半々といったところ。

かといって紙地図に載っている街と街の間は60キロ程度しか離れていないため、どこでその日の走行を終わらせるかとうのが難しい。
やはり1日100キロ進むというのが一つの基準になるため、60キロという距離は微妙に物足りないものなのだ。
これはもう経験と勘で進んで行くしかないのだが、この微妙な距離はこれ以降の走行でもかなり悩まされることになる。

この日はChinuからちょうど100キロのところにPlaneta Ricaという街があるため、そのことに関して頭を悩ませなくてよさそうだ。
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しかしこの日は逆にレストランがあるような集落が全く見つからず、限界集落の様な何もない村しか現れてくれない。
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時間が経つごとに進む空腹感に耐えつつ、ほとんど限界というところでやっとレストランを見つけることができた。
Cerdo(豚肉)を頼み、食べ終わった後に「いくら?」と聞くと、「Quince mil Peso(15,000ペソ。約500円)」と言ってきた。通常の相場の2倍近い値段だ。
明らかに足元を見られたと思ったが、食ってしまったものを吐き出すわけにはいかない。
これからは注文する前にしっかり値段を確認することを徹底しようと自らを諫め、先へと進む。
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上述の物価の話に絡んだ話になるのだが、コカ・コーラというのは物価判断に非常に有効な物差しとなる。
アメリカだと1.5リットルが3ドル程で300円くらい、日本だと200円くらいだろうか。
コロンビアでは1.5リットルが3,000ペソ、約100円程と日本と比較して半額近い値段となる。

さらにこのコカ・コーラの値段との合わせ技で「ホテル1泊がコカ・コーラ〇本分」という考え方を、私はよくしている。
例えば日本の1泊当たりのホテルの相場は、東京のビジネスホテルであれば大体4000~5000円が最低相場であろうか。
となると、日本では「ホテル1泊がコカ・コーラ20本~25本分」となる。

コロンビアの1泊当たりのホテルの相場は25,000~30,000ペソくらいなので、約930~1100円程となる。
となると、コロンビアでは「ホテル1泊がコカ・コーラ8.5本~10本分」となる。

これを見れば、如何にコロンビアの物価が安いかということが分かってもらえるだろうか。
私自身これを書いていている今、「単純にコロンビアのホテル1泊の値段が安いだけじゃね?」と思ったりもしたが、そんなことはどうでもいい。とにかく、コロンビアの物価は安い。

本筋に話を戻し、昼休憩後もアップダウンが続き、ひたすらに牧草地が続く。
確かに綺麗なのだが、流石に食傷気味になってきていることと暑さから、気持ち的にも少ししんどくなってくる。
早くアンデス山脈の風景が見たい、とこの頃から思い始めている。
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Planeta Ricaには14時半頃と早い時間に到着。
走りながら前述のコーラの話を考えていたからか、この日は久しぶりにアメリカンな食事がしたいとハンバーガーを夕食とした。
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7/5
朝に後輪タイヤを触るとパンクしている。
出発から2日目にも一度パンクしており、Cartagenaで交換後早くも2回目だ。
最強のタイヤ、シュワルベのマラソンプラスでこのペースのパンクは速すぎる。
朝からテンションが上がらず、体調もそれにつられてあまり良くない中、もう既に飽きてしまった牧草地の中を今日もひた走る。
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昼飯を食べていると、「昨日他の自転車旅行者が通過していったぞ」とレストランの親父。
恐らく私の先を走っている濱さんだろう。
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道はその後工事区間に入り、片側走行規制がされ、大型トラックがすぐ脇を走り抜ける中での走行を余儀なくされた。
砂埃を吸い込んでストレスマックスの状態で進んでいると、工事の道路整理をしている女性が「Quieres agua?(水欲しい?」と袋入りの水を4つも持たせてくれた。
ここに至るまでもそうなのだが、コロンビア人は応援の言葉をくれたりととにかく親切な心を持っている。
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途中屋台の果汁100%のジュースを飲んでリフレッシュし、14時半にCaucasiaの街に到着。
翌々日から始まるであろうアンデス山脈走行に備え、この日は70キロ未満の走行で終了。
奮発して中華レストランの炒飯を食べ、英気を養う。
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7/6
この日はアンデス山脈の麓まで行きたいと、地図を眺めてから出発する。
灼熱のコロンビアも昼前までは涼しいため、早めの出発でできるだけ午前中に距離を稼ぎたい。
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昼食休憩を取った後、気温はやはり高くなるのだが、大きな川沿いに道路が通る様になり涼しい風が流れてくる。
これまでも川を橋で渡ることは何度かあったが、渡った後、川はすぐに姿を隠してしまっていた。
この日は長い距離川沿いに走ることができ、久しぶりに牧草地以外の風景が見ることができたことが嬉しかった。
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アンデス山脈手前に大きな街、Tarazaがあるのだが、山脈入り口まで40キロ程残っている。
翌日にアンデス山脈走行を開始することを考えると、できるだけ入り口に近づいておきたい。
Tarazaを通過して先へと進むことにした。

途中に屋台で100%果汁スイカジュースでリフレッシュし、気合を入れて進む。
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アンデス山脈が近づいてきたためか、辺りの地形も凹凸が目立つようになってきた。
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Tarazaから20キロほど走っただろうか、何故か理由は分からないが、アスファルトの地面からいくつものホースが生え、高さ3メートルくらいまで水を噴出させている集落に到着する。
地図には載っていない小さな集落だがそれなりに人も多く、ホテルがあるかを期待したが、ズタボロの営業しているかも分からないHospedaje(ホテルより下のランクの宿泊施設)しかない。
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集落を走り抜けてしまった上に、上空を見上げると、黒い嫌な感じの雲が広がり始めた。
おとなしくTarazaで泊まっておけばよかったか・・・と自分の判断ミスを嘆いていたところにガソリンスタンドが。
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コロンビアではガソリンスタンドの敷地内にホテルが併設されているのをよく見かけた。
ここのガソリンスタンドにはレストランが併設されており、ダメ元で「ホテルもやってる?」と聞くと、「あるよ、あっちの隣の建物だよ」と案内してくれた。

ホテルに投宿し、ほっと一息ついている所にザーッと激しい雨が降り始めた。まさに危機一髪のところだった。
自炊ストーブのガソリンが空になっていたため、売ってもらおうとガソスタの兄ちゃんに声を掛けると「コロンビアからのプレゼントだよ」とタダで補充をしてくれた。
やはりコロンビア人は優しい。

なおホテルの窓が隙間があるらしく、窓を打つ雨が部屋に浸水して床がびしょ濡れになったのだが・・・。
なんにせそ、翌日からアンデス山脈走行が始まる。
坂がきついのは分かっているが、それ以上に楽しみの方が大きい中で眠りに就いた。
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(走行ルート:Cartagena→San Onofre→Chinu→Planeta Rica→Caucasia→El Quince)

【おまけ】
コロンビアの道路標識は非常にユニークというか、直接的な表現が多いような気がします。
それがまたシルエットクイズのようで面白い。
一部紹介しますので、ぜひ何が描かれているのか想像して楽しんでください。
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コメント

  1. 最高の文章と写真す。自分が旅している気分です。感動です。期待です。古藤三郎

  2. コロンビアですか!のどかですねぇ。写真では涼しそうな?感じですけどやはり暑いんですね(^^;こっちも猛暑ですよ(>_<)年々暑さがキツイ様な辛いです…南米に比べたらましなのかな?アンデス山脈楽しみですね🎵体力はしんどいかもしれませんが(ーー;) 頑張って下さい! 100%ジュース美味しそうですねー。

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