【世界遺産】ポルトベロの要塞群・サンブラス諸島クルーズ

Panama City~Cartagena,Colombia
Portobelo(ポルトベロ)
6/20~6/27 (396~403days)
6/20
4泊したLuna’s Castle Hostelを離れ、自転車を走らせる我々。
向かう所は首都Panama Cityから北へ進むこと130キロ先にある港町・Puerto Lindo。
中米の最東端の国パナマと南米北西のコロンビアは、地図上で見れば陸続きになっている。
そこはDarien Gap(ダリエンギャップ)と呼ばれる地域で、舗装道路は一切なくジャングルが広がっている。
正確には轍はあるらしいのだが、南米から中米へ経由する麻薬輸送ルートとしてコロンビアのカルテルが支配しており、非常に危険とのことで走行が不能なのだ。
(※カルテルに多額の賄賂を支払いつつ、交渉しながら進むこともできるとか、できないとか・・・。)
そのため、パナマからコロンビアへの陸路入国は不可であり、空路か海路での入国ということになる。
自転車旅行者にとって、空路、すなわち飛行機の手配というのは非常に面倒くさい。
自転車を梱包するための段ボール箱の手配、空港までの移動、重量オーバーに対する超過料金の支払い等々・・・。
大陸間の移動以外には、極力飛行機は利用したくない。
そして、私がフェリーでの船旅が好きなことも関係しているのか、海路入国というのには不思議な魅力があるように感じられる。
更に船旅なら自転車をそのままの姿で載せることができるため、自転車旅行者に優しい移動手段だと言える。
以前はパナマからコロンビアまで定期便のフェリーが出ていたらしいのだが、数年前に何の前触れもなく運行を終了してしまったらしい。
現在はカリブ海のサンブラス諸島を巡りながらコロンビアへ向かう、ヨットクルーズツアーのみが不定期に就航されている。
(※5泊6日の船旅、約US550ドル。個人ヨットにヒッチハイクをお願いし、US100ドル程度で行く手段もある、らしい・・・。)
自転車輸送の簡単さ、船旅に感じるロマンから、濱さん共々「ヨットでの移動しかねえ!」ということで、我々はパナマのPuerto LindoからコロンビアのCartagenaまでのヨットクルーズに申し込んだのであった。
そしてこの日Panama Cityを脱出し、2日間を掛けてPuerto Lindoを目指すこととなった。
Panama Cityは超巨大都市であり、脱出するのには多大な労力を要する。
高層ビル群を抜け、乱雑とした住宅街を抜け、交通量の多い交差点を抜け・・・。
体力的にもそうだが、精神的に非常にストレスが溜まる。
そして中心街から少し抜けた所、交通量の多い立体交差点にて、私の先を走る濱さんが信号待ちをしているバスの横をすり抜けて先へと行った。
私も着いていこうとしたのだが、ちょうど青信号になったため巻き込みを恐れて、バスが進むのを待った。
このバスが何故かやたらちんたらとして動かない。再び赤信号となり、私だけ交差点を渡ることができなかった。
濱さんはそれに気づかず、先へと進んでいるのが見えた。
「まぁ、その内気付いて止まるだろう」と高をくくり、青信号になって改めて進んだ。
だが、そこにいるはずの濱さんがどこにもいない。
「あれ、結構距離を離されたか?」
と、さらに進むが全く姿が見えない。
「その内いるだろ、その内・・・」
進むごとに不安が膨らんでいく。
3キロ、5キロ・・・10キロの時点で、私は完全にはぐれてしまった、ということを確信した。
これは非常にまずい。
濱さんと一緒に走っていた関係で、地図に関しては濱さんのスマートフォンに完全に頼り切りになってしまっていたのであり、私は紙の地図すら持っていない。今持っているのは方位磁石のみである。
そして、はぐれた場所が非常にまずい。治安の悪い中米国の、しかも首都だ。
28歳になる大の大人の私だが、まさか迷子で泣きそうになるとは思ってもみなかった。
こうなってしまった以上、一人で進むしかない。
幸い中心部からは抜けていたため、「恐らく複雑な道ではないだろう」と信じ、方位磁石が示す北の方向をひたすらに走った。
少し進んだ先、運がいいことにマクドナルドを発見した。
無料のWifiがあり、パソコンを開いてGoogle Mapを確認した。
どうやらルートに間違いはなく、このまま一本道で進めばPortobeloを経由してPuerto Lindoまで一本道で行けるようだ。
ホッと一息つくと、濱さんからメールが届いている。
Panama Cityから80キロ先、Sabanitasという町のマクドナルドで落ち合おう、というメッセージを見て、パソコンを閉じて再出発した。
地図がない走行というのは、非常に緊張感がある。
さらに私にとって一人で自転車を走らせることはメキシコのCancun以来であり、実に3か月以上ぶりということになる。
不安と緊張が最初の内は私を取り巻いていたが、後は一本道で迷いようがないし、以前は一人で走っていたわけだしで、走るごとに薄れていった。
逆に一人で走ることの開放感を感じつつ、Sabanitasまでの田舎道を走った。
Sabanitasのマクドナルドには16時到着。
私の方が早かったようで、濱さんの姿はまだ見えない。
昼飯も無しに走り続けて空腹だったため、ビッグマックセットを食べ、30分程経った後に濱さんが到着した。
どうやらはぐれた時に、路肩で立ち止まっていたのだが、私がそれに気づかずに追い越してしまっていたようだ。
とにかくほっとした。
この日はSabanitasの消防署にお願いし、建物内にテントを張らせてもらうことで一夜を過ごした。
6/21
Sabanitas以降、道は田舎道を極め、ジャングルに囲まれている。
道中には小さな集落があり、村人が大きな魚を釣り上げているのを見せてくれた。
緩やかなアップダウンを上っていると、ある上りの頂上からカリブ海が頭を覗かせているのが見えた。
メキシコ以来となるカリブ海に、また戻ってくることができた。
港まではまだまだ距離があるが、この海を渡りコロンビアへと向かうことになると思うと、気分が高揚したきた。
そして11時頃、Puerto Lindo手前にある港町、Portobeloに到着した。
非常に小さな町で、人口5000人にも満たないとのことだが、16世紀から18世紀に掛けてスペイン植民地時代の重要貿易港として栄え、現在でもその当時に築かれた要塞が遺構として残されている。
その要塞群は世界遺産都市て登録されている。
Portobeloの町は全く世界遺産を携えているとは思えない程に静かで、「住民が世界遺産であることを知らないんじゃないか?」という程にゆっくりとした時間が流れている。
Portobeloで昼食を取った後、Puerto Lindoへむけてラストスパート。
そして14時頃、中米の本当の最終地点、Puerto Lindoに到着。
ここはPortobeloよりも更に小さく、スーパーマーケットすらないような小さな村。
夜にアイスクリームを買おうと、小さな商店で尋ねると「あぁ、アイスクリームならここから数軒隣の家で売ってくれるよ」と言われた。
「嘘だろ」と思って訪ねてみると、本当にただの一軒家でそこのお母さんが冷蔵庫から出して売ってくれた。
まだまだ隣人同士の関係が密接だった頃、昭和初期の日本もこんな感じの緩い雰囲気だったのだろうか。
6/22
正午の12時、Puerto Lindoのホテルにて、我々が乗り込むヨット・Ti Vaouのキャプテンと落ち合う。
私が想像していた海の男とは、筋骨隆々の入れ墨のがっつり入ったような人物像だったのだが、Ti Vaouのキャプテンは30歳代と若く、ひょろっとしている。
我々の同乗者が揃ったところで少し先の港まで移動し、キャプテンから説明を受けた後、「ではこの周辺の町で夕食をとってもらい、それから船に乗せるから、解散」と言われ、あらら?となる私。
てっきり13時には船に乗って出向するものだと思っていたのだが・・・我々の同乗者も同じように思っていたらしく、「まぁ仕方ないね」といった風。
しかし夕食も終わり、20時、21時、22時を過ぎても一向に船が港に迎えに来ない。
23時にもなろうかというところで同乗者がしびれを切らし、近くのレストランのオーナーに交渉し、小型ボートで我々を船まで運んでくれるように手配をしてくれた。
船にはキャプテン他クルーは誰もおらず、待つこと30分程でようやくキャプテンたちが船に乗り込んできた。
私としてはこの時点でキャプテンを一切信用できず、この航海事態も無事に終わるのか?と少々不安になりながら、この日からTi Vaouによるカリブ海クルーズが始まったのである。
6/23~6/27
我々を含め、乗客は7名。クルーはキャプテンを含め3名と犬1匹。
乗客は私と濱さんが日本で被っている以外、オーストラリア・USA・カナダ・オランダ・韓国と全員が国籍違いのインターナショナルな組み合わせ。
誰もが非常に愉快で友好的で、非常に楽しい船旅となった。
航海は5泊6日の行程で、4日目まではサンブラス諸島と言われる小さな島々を巡りながら航海することとなる。
非常に可愛らしい、恐らく歩いて10分で周れるような小さな小島が点々とあり、毎日のようにシュノーケリングを楽しむことができた。
水は澄んでおり、海の中はサンゴ礁が広がっている。
サンブラス諸島にはクナ族と呼ばれる民族が住んでおり、モーターボートに乗って民芸品を各ヨットに売り込みにきたりする。
ある日には、彼等が手漕ぎ舟に乗り、素潜りでロブスターを捕まえる漁を間近で見ることができた。
引っ掻き棒を一本だけ持ち、水深10メートル程まで潜り、岩の隙間に潜むロブスターを見事に捕らえる。
私が見ていた僅か30分程の間に3、4匹は捕まえていた。
その夜はクルーがクナ族から買ってくれたのか、ロブスターがひしめく様に食卓に並べられた。
最後の2日間は全速前進でコロンビアへと向かうため、船はノンストップとなる。
ノンストップとはいっても、帆船であるため無風状態だと歩くよりも遅くなってしまうのだが・・・。
船室は蒸し暑くとてもいられないので、大体乗客全員が甲板の上で横になって本を読むなり音楽を聴くなり、のんびりとした時間を過ごしていた。
そして6日目の最終日。
当初予定では早朝に到着するはずが、正午を過ぎ、夕方を迎えても、コロンビアに着かない。
陸地はうっすらと見えているのだが、無風状態のため船が歩くよりも遅い速度でしか進まない。
我々は何もできないため、ひたすらに甲板で海を眺めていることしかできない。
そして遂に、21時頃。
もうすっかりと陽が落ちて、街の灯りがイルミネーションのように海を美しく縁取った頃に、無事コロンビアのCartagenaに到着。
船の倉庫に入れていた自転車も、6日ぶりに対面したがどうやら大きな問題はなさそうである。
ここCartagenaで数日間掛けて体勢を整えた後、アンデス山脈が待ち構える南米走行がいよいよ始まる。
(走行ルート:Panama City→Sabanitas→Puerto Lindo→Cartagena)
アンデス山脈前の優雅な?時間でしたね(^-^)
綺麗な海ですね✨
元気そうで良かったですよ+(^.^)
ロブスターが美味しそう。
町並みもいいですね!