自転車旅行の魅力

自転車旅行をしていると告げると、よく言われるのが「体力的に大変でしょう?シャワーも浴びれないし私には無理だなぁ」という言葉。

シャワーに関してはよく分からんが、自転車旅行は果たして体力的に厳しいものだろうか?
私は決してそうは思わない。
私は中高校生時代はスポーツを部活動でしていたが、大学生時代は一切しなかったし、社会人になってからは休日は家に引きこもっている方が多かった。

体格に関しても、今でこそ多少体重は増えたが自転車旅行デビューした20歳の頃は、身長170㎝に対して54㎏のヒョロガリ体系であった。
それでも、当時もそして現在も、体力的にどうしようもなく厳しい思いをしたことは一度もないと記憶している。
結局、自転車で走っていれば最低限の体力は否が応でも付くため、体力的な問題は自然に解決される。
シャワーを浴びれないという偏見も、それは各々の旅行のスタイル次第でどうとでもなる話で、宿泊先をホテルにすることを徹底すれば解決する話である。

自転車旅行に興味を持っている人は決して多くはないにしろ、少なからず存在していることを、旅行中に私の話を興味を持って聞いてくれる人達の存在から、私は知っている。
しかし、上述のような理由をもってして自転車旅行に出ることを躊躇しているのであれば、それは非常にもったいないことである。
私は、もっともっと日本人の自転車旅行者が増えてほしい。
(※特に女性。女性とペアランがしている外国人自転車旅行者が憎らしい程に羨ましい。)

そこで今回の記事では、日本人自転車旅行者(特に女性)増加キャンペーンと評し、自転車旅行の魅力をお伝えできればと考えている。

(写真は日本の北海道西部にあるハイウェイ、オロロンライン)
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①時間に捕らわれることが少ない。
普通、旅行に行くとなればまず何をするだろうか?交通手段の確保(車のレンタル、飛行機チケットの確保等)、宿泊場所の確保、現地で行うレジャーの予約、等になると思う。
そしてさらにこれを遡れば、「出発日を決めなければならない」のである。

これは実は非常に大きなストレスとなるのではないかと、私は考えている。
私が旅行先でよく見る光景としては、バックパッカー達が毎日スマートフォンやパソコンの画面を眺め、少しでも安い航空チケットや宿泊先の予約を確保する、というものである。
これはつまり、先の予定を決めることで、自分の未来の行動を制限することになる。
出発前までは楽しみにしていたが、出発当日になって「体調が悪くなった」だとか、「やっぱり旅行行くの面倒くさい」とならない保証はないのだ。

その点、自転車旅行者は自分の出発日を絶対的に決める必要はなく、出発時間も好きな時間に設定できる。
事実、私はこの旅行中において「明日出発する」と高らかに同宿者に宣言をしても、当日になって気分が乗らなくて「やっぱり辞めた。翌日にする」という行為を複数回とっている。
気分が乗らなければ、無理に出発する必要が自転車旅行の場合はないのだ。

もちろん、日本人は忙しい人種であり、旅行の終了日が決まっている人の方が大半であろう。
そういう理由で「のんびり時間をかけて自転車旅行をするなんでできない」という人のためにおススメの方法が、輪行である。
輪行とは、自転車を主に袋(箱に入れて運ぶ人もいる)に入れて持ち運びながら、バスや電車で移動することである。
輪行ならば、行きは最寄り駅まで電車等で移動し、自分の走りたい場所のみを走り、帰り道はまた輪行して帰宅するという、自転車旅行のおいしい部分のみを堪能することができるのだ。

「自転車旅行は常に自分の力で進まなければならない」という考えを輪行は覆してくれ、かつ自転車旅行をより簡単なものにしてくれる。

(写真は東京都・伊豆大島。ハイウェイ「月と砂漠ライン」の先にある、日本で唯一の砂漠)

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②他人(外的要因)から干渉されることが少ない。
これは上述①の話に少し通じる話になる。
交通機関や宿泊施設に予約をするということは、要は「各交通手段、宿泊場所、レジャーを利用させて頂く」立場になるのであり、外的要因に頼ったものとなる。
外的要因に頼るということは、要求されることに対しこちらも妥協し、協力的にならなければならない。(例:飛行機の乗車時間の遵守)

しかし困ったことに、その頼るべき外的要因は決して絶対ではない。
例えば、乗るつもりだった飛行機や列車が遅延するという話は旅行では多々ある話だろう。
その場合、日本(もしくは先進国)では各交通会社が対応をして代替案を提供してくれることも多いだろうが、海外ではそうもいかず、各個人で何とか対応を強いられることの方が多いのではないか。
その際には、個人で、かつ現地の言語で各対応窓口と対話、交渉を強いられる。

自分の過失による原因ではなく、外的要因による予定の遅延・変更ほどイラつくことはない。
その点、自転車旅行は自分自身が動力のため、到着予定がずれることはあっても出発日・時間が遅れることはない。
非常に精神的に優しい旅行手段であると言える。

(写真は日本の鹿児島県・佐多岬に通じる佐多岬ロードパーク。九州最南端に通じる道であり、野生の猿が多く生息している)
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③速度が遅いが故に、景色や文化の変化をより楽しむことができる。

自転車旅行とは、非常に遅い速度で日々移動を重ねる。
バスや飛行機が数時間で行く距離を、自転車旅行者は数日間を掛けて進む。
バスや飛行機がただただ通過してしまう小さな村や風景を、自転車旅行はその目で、鼻で、肌で感じながら通過していく。
多くの観光地を巡るという点においては、バックパッカーに軍配が上がるだろうが、現地の人間の生活や文化に触れるという点においては、自転車旅行の方が圧倒的に濃い濃度を以って感じることができると私は思う。

そして、これは特に海外を走る上での自転車旅行の醍醐味になるのだが、違う国に入国する際にはほぼ間違いなく陸路入国ということになる。
陸路入国とは面白いもので、地図で見ると国と国とは明確に線引きがされている。
しかし実際に国境沿いに行ってみると、あるのは精々金網のフェンスと両国のイミグレーションオフィス(出入国管理局)の小さい建物くらいだ。
しかしその薄い金網を越えると、確かに全く違う世界が広がっているのだ。

例えば私がアメリカからメキシコに入国した際の話。
出国処理のないアメリカ側のイミグレーションオフィスを素通りする際に、「どこから来た?へぇ、アラスカからアルゼンチンまで!頑張れよ!」という会話を国境警備員の5名ほどと会話をした。
その後、20メートル先にあるメキシコのイミグレーションオフィスに入った時には、15名ほどいた国境警備員達は誰一人英語を話すことができなかった。
この時はたった20メートルでここまで世界が変わるのか!と驚きと困惑をしたものである。

アラスカからカナダ、アメリカからメキシコに入国した際には、嗅覚でも国の変化を感じ取ったものである。
ウソの様な話に聞こえるかもしれないが、国が変わると本当に匂いが変わるのである。
カナダに入国した際にはそれまで全く感じなかった花の甘い香りを感じたし、メキシコに入国した際には硫黄のような、ガス臭い匂いを感じた。

そして、国が変われば国民性も当然変わる。
メキシコからベリーズに入国した際には、まず家や店の周りにあったフェンスが無くなったことにびっくりした。そして、人々もメキシコ人に比べて笑顔が多く、手を振ってくれる。
グアテマラに入国すると、人々はさらに、逆に厚かましく感じるほどに笑顔と大きな挨拶を持ってして駆け寄ってくるようになった。

飛行機やバスでの移動の場合
、長いときには10時間以上もの間、機内に居続けることになる。
その間は外界とは一切遮断されているため、そうした変化や空気感を味わうことがない。
しかし、自転車旅行の場合は常に外界と接触を持っているため、五感をフルに使ってそうした変化を感じ取ることができるのである。
これは、自転車旅行ならではの独特な醍醐味であると私は思っている。

(写真は日本の青森県・八戸にある屋台街。声を掛けてもらい、ご馳走して頂いた)
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④自転車を使うが故の出会いがある
自転車旅行とは決してメジャーなジャンルではない。
そうした珍しさに加え、多くの人が「わざわざ自転車で旅行して頑張っている」と見なしてくださり、声を掛けてくださる。
当事者にすれば、自分が好きな自転車に乗って移動しているだけなので特に頑張っているつもりもないのだが、やはり声を掛けてもらえるということは非常に嬉しい。

もちろん、こちらから声をかける機会も多い。
自転車旅行は旅行といえど、現地で生活をしながら移動をするという側面が強い。
「毎日少しずつ引っ越しをしながら移動する」というのが一番しっくりくるだろうか。
日々の食材の確保、昼食を取るためレストランや屋台で注文、寝床の確保。
これらを毎日こなすには、現地の人々と少なからずコミュニケーションをとる必要がある。

交渉事や業務的な会話ではなく、現地の人々との「生きた会話」が圧倒的に多い。
そうした「生きた会話」の結果、仲良くなって食事に誘われたり、家に泊まらせてもらったりということが良くあるのである。
私自身、この旅行中にそうした出会いが多く、大切な友人が各国にできた。

(写真は日本の北海道・宗谷岬。日本最北端のモニュメントは自転車旅行者の聖地)
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⑤自分の足で進むという面白さ
結局これが一番私が伝えたいことで、自転車旅行の一番の醍醐味であると思う。
そして、これに関しては多くを語らない。


「自分の足で、知らない土地や国を走るのって凄いワクワクするんだよ」

以上5か条をもって、私の自転車旅行者(特に女性)増加キャンペーンを締めさせて頂く。
日本にもたくさん自転車で走って面白い場所があります。
ぜひ皆さん日本から自転車旅行を始めてみてください!
(※今回はそうした意図を含め、写真はすべて日本の物とさせて頂きました。)

コメント

  1. 素晴らしい。カナダからウシュワイヤへの自転車旅人と沢山遭遇です。当時は驚きのみでした。が、少しは現実を理解です。サンキュウです。

  2. 自転車に乗ってる後ろ姿は誰かに写してもらったのかな?

  3. この時は一緒にいった人に撮ってもらいました

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