【世界遺産】4000キロを旅する蝶・モナルカ蝶

1/13~1/14(228~229days)
1/13
Moreliaを発ち、48D号線を経由し、北上してメキシコシティへのメイン道路である15D号線へと戻る。
メキシコシティへの距離も300キロを切り、目と鼻の先だ。
牧草地と農地の穏やかな道を走る。
しばらくすると左手に大きな湖。今回の湖はどうやらしっかりと水があるようだ。
ミチョアカン州は危険なイメージとは裏腹に、今までのどの州よりも自然豊かで穏やかだ。
高速道路の2つ目の料金所を越えてから、メキシコでは珍しく林の中を通る道となり、坂道もきつくなる。
標高2000メートルから2400メートルまで登らされるため、自然ペースは落ちる。
夕暮れも迫っていたことから、かなり焦る。
何とかこの日の目的地であったMaravatioまでたどり着く。
この日はホテルに投宿してさっさと就寝。
1/14
Maravatioからそのまま高速道路を東へ進めば、メキシコシティへはすぐだ。
しかし、再度舵を内陸方面へと切り、ローカル道路を南へと進む。
わざわざメキシコシティへの道を遠回りするのには訳がある。
Moreliaの安宿ドミトリーで同室だった女性から、気になる情報を得ていたのだ。
「蝶が集まる聖地がある」・・・と。
その女性曰く、モナルカ蝶という種類の蝶が、毎年越冬のためにその聖地に集うという。
カナダから4000キロを超えて・・・
その話を聞いた僕は、何となくその蝶に親近感を覚えた。
モナルカ蝶は春と夏をカナダとアメリカで過ごし、冬にメキシコへと到着する。
まさに僕と同じ旅路を通っているのだ。
ただし、モナルカ蝶が集う聖地は標高3000メートルを超える高地の中にある、とのこと。
道は整備されているらしいが、かなり厳しい道程となりそうだ。
が、自転車旅行は寄り道してナンボ。
「楽をしたい。時間が掛かるから嫌だ。計画が狂うから嫌だ。」
こんな考えは、自転車旅行ではナンセンスだ。
自転車旅行の醍醐味は、走っている道中で行きたい場所、行くべき場所が自然と、どこからともなく湧いてくることにある。
そんな突発的・自然発生的な流れや直感に身を任せる余裕が、自転車旅行を更に面白く、特別なものにする。
実際走ってみると、Maravatioからの道はそこまで急こう配ではない。
樹々の生い茂る林の中を緩やかに登っていく。
Maravatioから50キロ、Angangueoという村に到着。
ここが、モナルカ蝶の集う聖地、Santuario de la Mariposa Monarcaへの起点となる。
Anguangeoはメキシコ政府観光観光局より、Pueblos Mágicos(魔法の様に魅惑的な場所)に選定された場所。
非常に小さく、人もあまりいないような場所だけれども、確かにどことなく不思議な雰囲気がある。
山の中にある、秘密の村に訪れた様な気分にさせられる。
Angangueoで一番安いと思われるホテルに投宿。(300ペソ。1ペソ5.5円、約1600円)
モナルカ蝶の集まる聖地は一つだけではなく、何か所かに分かれている。
Anguangueoから近いのは、Sierra ChincuaとEl Rosarioと2つ。
ホテルの親父さんにどっちの方が美しい?と聞くと、「2泊して両方見ていけ!」とのこと。
質問を変え、「今日、今から行けるのはどっち?」と聞くと、「Sierra Chincuaのバスは今日はもう無いけど、El Rosarioは行ける」とのこと。
この時点で14時20分頃。
「帰りのバス無くない?」と聞くと、「実際はもっとあるから大丈夫」と親父さん。
不安を感じつつも信じてEl Rosarioへ向かうことに。
バス停で待つこと20分程。
バス(というかハイエース)が来て、それに10人以上がギュウギュウになって、中には座れずに立つ人もいる中、バス(ハイエース)は出発。
バス料金は30ペソ。(約170円)
ガタガタの舗装路を、もの凄い急こう配の道をバス(ハイエース)は走っていく。
El Rosarioまでは1時間。
乗客はほとんど地元の人の様で、途中下車していき、El Rosarioに着く頃には乗客は僕一人になっていた。
El Rosarioには15時半頃到着。
世界遺産とは思えない程にちょこっとした広場、お土産屋さんに屋台が少しある程度。
バスの運転手に「帰りのバスってある?」と聞くと、「17時半にこの広場に来る」とのこと。
安心して入り口へと向かう。
入場料の50ペソ(約270円)を払い、トレッキングコースを歩いていく。
最初は階段が設置されており、割と余裕を持って歩くことができる。
が、しばらくすると階段はなくなり、特に整備もされていない山道となる。
一応、半パンに破れた靴のふざけた格好の僕でも登ることはできる。
歩いていると温かいが、立ち止まると3000メートルを超えているため少し肌寒い。
登り始めてから30分程経っただろうか。
蝶が舞っているのを見ることはあるのだが、1匹2匹程度が上空をチラチラしているのみ。
「これは期待しすぎたかなぁ・・・」と思うこと10数分。
「静かに!」という看板があり、その何十メートルか先で人が立ち止まり、皆森の方を見上げている。
「遂に到着か!すわ行かん!」と急ぐ。
人のいる場所に辿り着き、同じように森を見上げ、思わず唸る。
不思議なことにその空間の上空でだけ、無数のモナルカ蝶が狂喜乱舞し飛び交っている。
枯れ葉が茂っているように見えるが、枯れ葉ではなく全て鈴なり状に集まったモナルカ蝶。
一匹ずつは小さいのだが余りにも数が多いため、モナルカ蝶が群れている枝は重みでしなっている。
観光客達は皆、自然を尊重し、静かにモナルカ蝶たちが舞う姿を見上げている。
寝転がり、上空を見上げている人がいたので僕も真似をしてみた。
静かな森林の中で、響き渡る蝶の羽ばたく音。
信じられない話だが、これだけの数の蝶が集まると、本当に羽ばたく音が聞こえるのだ。
今まで見たこともない空間に、心の中で静かに興奮していた。
モナルカ蝶はこの聖地で冬を越し、出産する。
冬の終わり頃、その子ども、孫、ひ孫の3世代でアメリカ・カナダへと帰る。
そして5世代目の子孫が、カナダから南下し、またメキシコへとたどり着く。
5世代に渡って、カナダのメキシコ間の4000キロ、往復8000キロの旅を一年掛けて行うのだ。
近年は森林伐採の影響で、モナルカ蝶の数は激減してしまっているらしい。
この聖地が人間の手によって消されてしまう日が、いつか来るかもしれない。
せめてものできることとして、静かに、できるだけ彼らの邪魔をしないように、僕は山を後にした。
※帰り来るはずのバスが来ず、タクシーでバスの10倍以上の料金を支払い、Angangueoへと帰ったのでした。
蝶々!!!
ん~…。これは写真よりも迫力ありますね…(^^;家族みんな『うわぁっ!Σ( ̄□ ̄;)』と。期待どおりのリアクションでした(^^;ただあれだけの数の蝶々、見たくて見られる物ではないですよね!やりましたね🎵店長!あたしも動画見られてラッキーです(^o^)v
沢山の世界遺産、メキシコって良い所ですね。危ない所もどの国にもあるんでしょうけどそれ以上に素敵な所や人があるんでしょうね(*^^*)
バス(ハイエース)お尻痛くなかったですか?(笑)