サボテンだけの公園・サワロ国立公園

Grand Canyon National Park~Tucson
Saguaro National Park(サワロ国立公園)
10/15~10/23 (148~156days)

10/15~10/20
グランドキャニオン国立公園を抜けた後、南下してFlagstaffという町で数日滞在した。
カナダ以来、アメリカでは初めてWarmshowerを利用し、数日間ホストの家で滞在させてもらった。(自転車旅行者のインターネット組織。ホストは旅行者にシャワーや寝床を提供してくれる。)
この町で自転車屋にスポークの交換を依頼し、フロントスポークの予備も3本作ってもらった。

FlagstaffのWarmshowerのホストの家では僕の他、Gian(ジャン)というアメリカ人の自転車旅行者も滞在していた。
ジャンはノガレスという町からメキシコに入国するとのことで、途中までは一緒のルートを通る事になる。
自然、Phoenixまで一緒に走ることになった。
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ジャンは非常にナイスガイで気さくに冗談を言い、楽しいサイクリングを一緒に楽しむことができた。
また、彼は普段Warmshowerをよく利用するようで、それに便乗する形で彼と一緒にホストの家に滞在させてもらった。ジャンと一緒に走ったのは2日と半日程だったが、彼にも、ホストの方々にも非常に良くしてもらった。
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そして、どのホストの家でも必ずと言っていいほど大統領選に関するテレビが常時付いていて、みんなテレビに釘付けになっていた。
各々に指示する候補者がもちろんいて、大統領選の話になると双方ヒートアップしているのが、英語をあまり理解できない自分にも伝わってくる。

「ナオ、君はBegining Change(アメリカが変わる瞬間)に立ち会ってるんだぞ!」
と、半分冗談っぽく、半分本気でジャンが言っていたのが印象的だった。

アメリカが変わることは僕にはよく分からないが、FlagStaff以降、風景は目に見えて変わってきた。
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砂漠が広がり、森林が姿を消した。
そして森林の代わりに、サボテンが乱立する世界へと変わった。
自分の持っているメキシコのステレオタイプ通りの風景が目の前に広がることに、アメリカ縦断が終わり、新世界であるメキシコへと近づいていることを実感する。

Phoenixに到着する手前で、ジャンとはぐれてしまった。
ちゃんとした別れの挨拶を交わすことができなかったのは今も心残りになっているが、別れは自転車旅行者にとって付き物。
向かう国が一緒なら、きっとまたどこかで会えるだろう。
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フェニックスでは自転車のタイヤ、SCHWALBEのマラソンプラスを購入することができた。
(※購入店舗はSun Cycley。僕は事前に電話で取り置きを依頼していた。ちなみにLandis Cycleryはマラソンプラス取り扱いなし。)

ここ最近はパンクが頻発するようになり、タイヤが寿命を迎えていたので、ホッと一安心。
(従来のタイヤの寿命は大体5,000キロ。僕は12,000キロマラソンプラスで走ることができた。中には15,000キロ走ったという猛者もいるとか。)
メキシコ以南ではマラソンプラスを現地調達することが難しいと判断し、スペアを含め4本購入した。
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(※右から新品、交換前の後輪と前輪。ここまで擦り切れていればもう限界。)

フェニックスはアリゾナ州の州都ということもあり、今まで訪れた都市の中で最も巨大な規模を誇る。
北部と南部はそれなりの収入を持つ世帯の小奇麗な住宅街が立ち並ぶが、南寄り中心部では多くのホームレスや、見るからにボロボロの住宅、タトゥーショップやタバコショップなど、雰囲気はあまりよくない。
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自転車屋でタイヤ交換を終えた時には既に日は落ち始めていた。
真っ暗になる前に中心部を抜けなければならない。急ぎ気味にペダルを漕ぐ。

フェニックス南部、空港付近になると住宅街はなくなり、商業施設や工業施設が増え始め、人通りもほとんどなくなる。
ちょうどいい河川敷があったため、この日はそこで野宿をした。
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フラッグスタッフからフェニックスまでの1週間近く、毎晩誰かの家に滞在させてもらった。
シャワーを浴び、ご飯を頂き、家のベッドで寝るというのは非常に有難い。快適な環境と安全が約束される。
しかし、やはりそれが何日も続いてしまうと緊張感がなくなってしまうようだ。
この日の野宿で、再び旅のヒリヒリした緊張感と開放感が戻ってきたようで、非常に心地よかった。

10/21
フェニックス以降、砂漠とサボテンと綿花畑の中、一本道が一直線に南東へ向かって伸びる。
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グランドキャニオン国立公園で2,000メートルあった標高は1,000メートルを切るところまで下がり、それに伴い体感する気温が非常に高くなった。30℃以上は間違いなくあるだろう。
乾燥しているため水を頻繁に飲むのだが、ペットボトルに入った水は直射日光に曝されることで、お湯と言っていいほどまでに温くなっている。
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道中、真っ白に塗られた一台の美しい自転車を路肩で見つけた。
どうやらこの道路上で車に撥ねられて亡くなったサイクリストの物らしい。
アメリカやカナダでは路肩で誰かのお墓があることは珍しくない。
しかし、こんなにも見通しの良い、路肩も広い道路で轢かれることがあるのか・・・
推測に過ぎないが熱中症になり、ふらついていたところを撥ねられたのではないだろうか。
それ程、この周辺の気温は高い。実際、僕も何度かぼーっとしながら走っていた。
気を引き締め、ハァハァ言いながらもしっかりと前を見据えて進む。
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Coolledgeという町に着き、Walmartを見つけ、真っ先に冷たいレモネードを購入。
熱中症気味なのか、手に力が入らず、キャップを開けるのもおぼつかない。
冷たさが本当にありがたい。2リットル近くのレモネードを一気に飲み干す。
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この日はWalmartの隣にある公園で、テントを立てて野宿。
大通りに面してはいるが、いい具合に茂みがテントを隠してくれた。

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Cooledge以降も、景色は変わらずに一本道。
しかし10号線インターステイツ(高速道路)の横にローカルの道路が通っているため、車通りを気にすることなくゆっくりと進むことができる。
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時折現れるマクドナルドには非常に助けられている。
Lサイズのドリンクカップが1ドルちょっとで飲み放題。
この猛暑の中のサイクリングで、マクドナルドを見つけると休憩がてら必ず入るようになってしまった。
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この日はMarana周辺、Saguaro National Park(サワロ国立公園)まで16マイル地点の空地で野宿。

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暑くならない朝の内に距離を稼ぎ、9時頃にサワロ国立公園の入り口に到着。
この公園、はっきり言って全く知らなかった。
数日前に地図を眺めていると、通る予定の道沿いに位置しているのを偶々見つけ、「それならついでに行ってみるかい」くらいの軽い気持ちで寄ったのだ。

実際、本当にローカルの国立公園のようで、車が数台走っているのを見かけた程度。
そして何があるのかと言えば、見渡す限りのサボテンのみ。
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美しいかと聞かれれば、お世辞抜きにもそうは言えない国立公園である。
しかし、今までの峡谷や氷河と違って、全く今まで経験したことがない光景には非常に興味深い物を感じた。
一口にサボテンと言っても、ぱっと見るだけでたくさんの種類がある。
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何よりも驚いたのは、サボテンがこんなにも高くなるのか、ということである。
日本で見るサボテンは大体手の平サイズの小さい物か、どれだけ大きくても背丈程のものだろう。
このサワロ国立公園では5メートルは優に超え、10メートル近い高さのサボテンも珍しくない。
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また、このような砂漠地帯にも生態系が存在し、たくさんの野生動物が生息しているという。
ネズミやリスや鳥、イノシシがサボテンを食べ、フクロウなどはサボテンに穴を開け、その穴を巣にするという。
不毛地帯にも生物が生きていることは非常に驚きを覚える。人間にとっても、この辺りは水は非常に貴重なのだ。
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サワロ国立公園を抜けた後も、サボテンの森林はTucson Mountain Parkと名前を変えて続く。
急角度の坂道を上り終えた後、今まで通過した道を望むことができる。
緑が眼下に広がっているが、その全てがサボテンで構成されている。
日本はおろか今まで通過したカナダやアメリカの他の地域でも考えられなかった光景だ。

この丘を下れば、Tucsonの町はすぐそこだ。
ツーソンはメキシコとの国境付近に位置する都市で、かなりの規模を誇る。
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このまま南下してメキシコに入国するならば、恐らくツーソンが最後の中都市だろう。
ここで数日滞在し、準備をするためにWarmshowerのホスト、エレナにコンタクトを取った。
彼女は快く迎えてくれ、この記事を書いている現在も、彼女の家に滞在させてもらっている。

アメリカの滞在可能日数は残り20日程。
ここからどういうルートを取っていくかは、僕にもまだ分かっていない・・・

コメント

  1. 裕福的な地域と貧しい地域と、アメリカって言うだけで後者はなんか怖い感じしますね(”;)
    綿の畑は綺麗ですねぇ(^ー^)あたしは、見渡すかぎりのサボテン風景のが気になってますけど!しかし大きなサボテンですね…(*_*;あたしも伊豆のサボテン公園しか知らないので(笑)写真で世界の風景見られるのってやっぱりいいですね(^^)感謝です!
    今回はかなり快適に過ごした見たいですね。ホストの皆さんに感謝ですね(^o^)v

  2. 日本でももちろんそうした地域格差はありますけれど、海外というだけで緊張感は跳ね上がりますね。
    サボテンは本当に印象的でした!そういえばここから東はほとんどサボテン見てないなぁ・・・

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